« 雑誌目次をみる:「月刊 下水道」 | Main | 「legacy」か「main stream」か »

September 26, 2005

エンドロールをみる:「かみちゅ!」

一部に好評の「エンドロールをみる」シリーズ。今回は「かみちゅ!」。

深夜のとんでもない時間にやっているアニメだ。明示はされていないが尾道が舞台になっていて、尾道LOVE!の私としては見逃せない。御袖天満宮のような名所だけでなく、街並みやら連絡船やら学校やら、普通の場所がていねいにかつ微妙に変えて描かれているので、地元の人が見たらマニアックに楽しめるだろう(主人公宅の外観はなんだかうっすら記憶があるから、実際に存在する家屋をモデルにしているのではないだろうか)。地元で放映されていないという笑い話もあるのだが、まあDVDもあるわけだし。

ストーリーを紹介するのはこのシリーズの趣旨ではないので省略。この作品については、ゆるい雰囲気とていねいな作りの組み合わせがあちこちで評判になっているらしい。こちらのサイトには「1話の動画枚数は八千枚程度」との情報、こちらのサイトには、「1話冒頭の卵焼きを頬張るシーン。原画が27枚、動画が104枚」との情報が。これって最近の、しかもこの時間の(しかもこの種の)アニメとしてはかなりすごいことと思う。原画マンは20代後半が中心だそうで、おお次世代を担う人々がここに!という感じか。

神様やら物の怪やらがぞろぞろ出てくるわけだが、違和感があまりないのは、この作品独特のゆるさもさることながら、尾道だからという理由もあると思う。「千と千尋の神隠し」を思い出させる色使いのセンスは個人的に好みだが、作品批評が目的ではないのでこのへんにして。

というわけで本題。例によってまずはオープニングロールから。ちなみにこのオープニングロール、スタッフの名がすべてアニメーションの中に埋め込まれているという凝ったもの。

企画 1
原作 1
脚本 1
キャラクター原案 1
プロダクションデザイン 1
キャラクターデザイン 1
美術 1
色彩設計 1
撮影 1
デジタルエフェクト 1
編集 1
音楽 1
音楽監督 1
録音調整 1
音響効果 1
プロデューサー 1
アニメーションプロデューサー 1
監督 1
アニメーション制作 1社
製作 1社

制作はブレインズベース、製作はANIPLEX。提供はANIPLEX、MEDIAWORKS、ブロッコリー。


続いてエンドロール。ここでは第8話「時の河を越えて」から。

キャスト 20

この話は物の怪とかがたくさん出てくるので、比較的多いほうかもしれない。

原画 10
作監補佐 1
動画 2社

動画はミゾ企劃とブレインズベース作画室。

色指定/仕上げ検査 1
仕上 2社
背景 1社
撮影 1社5
撮影協力 1社
編集 1グループ
編集助手 1
ビジュアルアート 1
小物・メカデザイン 1

続いて音響関連。

音響プロデューサー 1
音響制作担当 1
録音 1
録音スタジオ 1社
音響制作 1社

オープニングテーマ
作詞 1
作曲 1
編曲 1
歌 1

エンディングテーマ
作詞 1
作曲・編曲 1
歌 1

エンディングテーマは主人公一橋ゆりえ役のMAKOさんが歌っている。

音楽制作 1社

オープニングアニメーション
絵コンテ・演出 1
作画監督 1
デジタル演出 1
原画 9
ビジュアルアート 1
色指定・検査 1

エンディングアニメーション 4

オンライン編集 1社1
タイトルデザイン 1
習字デザイン 1
プロデューサー 1
アシスタントプロデューサー 1
宣伝担当 2
音楽協力 1社2

「習字デザイン」というのが出てくるが、これは登場人物の1人「二宮健児」が書道(相田みつをみたいな書を書く。「なんだかなぁもう」とか。このへんのゆるさもいい)をするシーンがふんだんに出てくるため。

協力 5グループ

さて、今回のポイントはここ。「協力」として5つの名がクレジットされている。メディアワークス月刊コミック電撃大王(「かみちゅ!」を連載中)編集部、スタジオオルフェ(キャラクター原案担当の羽音たらくさんが所属)、あたりはまあ関係者だからいいとして、残りは「尾道フィルムコミッション」と「尾道の皆さん」だ。これだけ尾道をふんだんに描くには、やはり地元の方々の協力は不可欠だろう。実際、「尾道jinnのブログ」には、尾道フィルムコミッションの方がロケハンなどにも協力されているとの記載がある。もともと尾道は小津安二郎以来、数々の映画の舞台となってきているし、アニメの舞台として取り上げられるのも別におかしなことではないのだが、テレビアニメでここまできちんと実際の街並みを再現しているのはけっこう珍しいはずだ(ジブリの「耳をすませば」で、舞台となった聖蹟桜ヶ丘の住人が、自分の家が描かれているのを発見したケースがあったらしいが、本作品はどうなんだろう)。

ここで注目したいのが、第8話の「時の河を越えて」。戦艦大和が出てくる話だ。大和で尾道といえば、今冬公開予定の「男たちの大和」のロケセットが尾道に作られていて、今公開されていることと結びつけて考えざるを得ない。あくまで想像だが、ぜったいどこかでつながっていると思う。尾道FC側が持ちかけたのか、「かみちゅ!」側からなのか。「かみちゅ!」において、戦艦大和の話はやや唐突のような気がしなくもない(そもそも大和の母港は尾道じゃなくて呉だし)から、FC側の働きかけのような気もするが。まあ、だいたいこの作品、いきなり火星人が出てきたりするぶっとんだところもあるし、なんだかわからないうちに「まあこれもアリか」と納得してしまったりするからいいんだけど。ともあれ、今のタイミングで戦艦大和をとりあげたところは、「尾道」をハブにして2つのまったく別個に作られた作品が知ってか知らずかコラボレーションをしたことになるわけで、製作側にとっても尾道FC側にとっても面白いケースになったのではないだろうか。ひょっとしたらターゲット顧客層も重なってるかもしれないし。仮に全体を仕切った人がいたとしたらすごいなぁ。

制作進行 1
制作事務 1
絵コンテ・演出 1
作画監督 1
アニメーション制作 1社
製作 1社

いやそれにしても、見てるとまた尾道に行きたくなるな。なんか口実があればいいんだけど。

ちなみにDVDはこちら。今のところ第1巻が発売されている。

|

« 雑誌目次をみる:「月刊 下水道」 | Main | 「legacy」か「main stream」か »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference エンドロールをみる:「かみちゅ!」:

« 雑誌目次をみる:「月刊 下水道」 | Main | 「legacy」か「main stream」か »