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「夕凪の街 桜の国」

こうの史代「夕凪の街 桜の国」、双葉社、2004年。

以下はネタバレあり。注意。

以前から評判を呼んでいた作品で、今さら私が紹介するまでもない。最近韓国での刊行が決まったとかで、「原爆投下は正しかった」とのただし書きがついた件も含めて話題になった。前から気になっていたのだが、たまたま書店で見かけたので、買ってみた。

陳腐な感想を書きたくはないので書かない。ぜひ読んで、自分で感じてもらいたい。広島にゆかりのある人が身近にいる身としては、ある意味他人事ではないが、「お前の住む世界はそっちではないと誰かが言っている」という感覚は、想像を絶している。戦争でなくても、大災害に遭った人は似た思いを持つのかもしれないが、10年たった後に「てっきりわたしは死なずにすんだ人かと思ったのに」と考えざるを得なくなるのは、それが被曝であるがゆえのことだ。

読んでいて、作中人物の関係がややわかりにくかったので、系図を作ってみた。一部想像が入っているが、まあこんなものだろうと思う。平野家と石川家は親戚で、平野家の末子である旭が養子となった石川家は、「夕凪の街」の主人公である平野皆実の叔父の家にあたる。石川七波の母である京花は旧姓太田で、平野家の近所に住んでいた。今年で60周年にあたるわけだが、物語にもあるとおり、まだ「過去」にはなっていない。

書評をみると、暗い話のような印象を受ける。確かに重い内容を含んでいるが、それを乗り越えようとする強さ、明るさもある。「そして確かにこのふたりを選んで生まれてこようと決めたのだ」という七波の思いは、自分が生き残った意味を問い続けた皆実への1つの答えだ。映画化されるそうで、期待したい。

むしょうに広島に行きたくなった。

yunagi

※2005/10/29
系図を一部修正。

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Comments

TBさせていただきました。

静かで激しい、素晴らしい作品でした。

Posted by: タウム | September 09, 2006 at 11:02 PM

タウムさん、コメントありがとうございます。
確かに「静かで激しい」作品ですね。「昔の話」ばかりではないあたり、ちょっとこわい気すらします。

Posted by: 山口 浩 | September 10, 2006 at 12:34 AM

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