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October 18, 2005

サンリオはピカチュウも恐竜も作る、という話

サンリオといえばハローキティだ。いや別に決め付けるつもりはないが、まあ一般的には「キティを作ってる会社」という印象が強いと思う。まあもちろんサンリオのキャラクターは他にもたくさんあるわけだが、いずれにしても「サンリオ的」なキャラクター、というひとつの統一された印象がある。一種のブランド戦略、ということになろうか。

しかしサンリオ自体は必ずしも「サンリオ的」なものばかり作っているわけではない、という話を聞いたので、メモのために書いておく。

といっても、ここで取り上げるのは㈱サンリオ本体ではなくて、その子会社。㈱サンリオウェーブ㈱サンリオの100%子会社だ。サイトをみると、@niftyと連携したウェブポータルのサービスを展開している企業のようだが、それ以外にも重要な業務がある。石膏などでキャラクターグッズの原型を作る業務だ。「ライセンシングアジア2005」の会場にブースが出ていたので、話を聞いてみた。

もともとサンリオでは、原型は社内で作っていた由。といっても、原型を実際に作る仕事は「原型師」と呼ばれるプロがやる。愛知県の瀬戸あたりにこういう人たちが多くいるらしい。しかし原型師だけいればできるというものでもなく、デザイナーと原型師の間をつなぐ役割がどうしても必要となる。サンリオウェーブはこの業務を子会社にしたもの、ということのようだ。

子会社化したのは、当然ながらサンリオの業績向上のため。もともとサンリオでは、2004年11月に新中期経営計画を策定し、「安定的な収益基盤の構築」を目指す方針を打ち出している。要は「経営再建計画」ということだ。その中には「ノンコア事業」の撤退なんかもあるわけだが、原型製作はある意味キャラクタービジネスにとっては「キモ」の部分でもある。残すためには収益を挙げよ、ということなのだろう。「これまでコストセンターだった原型製作部門をプロフィットセンターにしたい」のだそうだ。もうひとつは、原型師に対して安定的に発注をすることによって、囲い込みを図るというもの。このあたりはいわば「教科書通り」。

ちなみに、新中期経営計画(Project2006)の骨子はこんな感じ。そういえば数年前、株取引で大損したとかいうニュースが流れていたように思う。最近はキティに加えてシナモロールなんかも人気だし、業績も持ち直してきているようだが、なかなか順風満帆とまではいかないのだろう。

1.安定的な収益基盤の構築
 ・三菱商事株式会社との業務提携
 ・テーマパーク事業の収益構造の見直し
 ・店舗戦略見直し等による物販事業の再編
 ・成長分野「ライセンス」「海外」に注力し資源を集中配分
 ・ノンコア事業撤退

2.強固な財務体質構築
 ・減損会計の早期適用による含み損の一掃
 ・第三者割当増資による資本の充実と無償減資
 ・利益準備金及び資本剰余金取崩しによる早期復配への道筋作り
 ・有利子負債の圧縮

当然ながら、プロフィットセンターにするためには、外部からの受注も必要になる。で、ピカチュウなんかの原型も受注したりしている由。原型師はフリーの社外の人でも、デザイナーの意図を適切に原型師に伝え、きちんとした原型を仕上げるためにはなかなか高度な調整能力が必要であるため、長い経験の蓄積があるサンリオに発注するのが合理的、と考える企業も少なくないとのこと。まだ原型部門のウェブサイトもないし、コンベンションへの出展も初めてだったそうで、実際の業績のほどはまだまだかもしれないが、これもコンテンツ産業を支える1つの基盤となる重要な業務だ。質問に答えてくれた部長さんはいかにも実直そうで「いい人」ビーム全開キャラ。ぜひ応援したいところ。

サンリオには、これとやや似た業務をやっている子会社がもう1つある。㈱ココロだ。こちらにはウェブサイトがあって、みると業務内容はこうある。

・アミューズメント及び展示用ロボットの開発、企画制作、製造、販売ならびに賃貸
・コンピュータ制御応用機械の開発、企画制作、製造、販売ならびに賃貸
・自動機械、自動機器の開発、企画制作、製造、販売ならびに賃貸
・動刻の設計、製作、販売ならびに賃貸
・玩具、ゲーム用品の開発、企画制作、製造、販売
・ミニチュアロボット等のホビークラフトの開発、企画制作、製造、販売

「動刻」というのは、アミューズメントロボットのことだそうだ(「彫刻」に対応することばだろうか)。よくイベントなどにある、動く人形だ。サンリオピューロランドのものもきっとそうなのだろう。だが、この会社が最も得意としているのは、キティなどサンリオ系よりも、恐竜などの大型のものらしい。あちこちの博物館などがクライアントになっていて、考証のしっかりしたものを作っているようだ。そういえば最近の恐竜展なんかでは、動く恐竜が目玉になってるよなぁ。

その他最近では、愛知万博のインフォメーションセンターでの案内役や「ロボットステーション」での司会を務めた接客ロボットの「アクトロイド」もこの会社が製作したもの。この「アクトロイド」、なんだか「むしゅめさん」ぽい顔立ちでもあるが、もちろんそうしたものとは関係ない。海外からも引き合いが多そうで、同社の英語サイトには唐突に中国語、韓国語の説明文書がpdfで貼り付けてある。お値段はいくらか知らないが、イベント向けのレンタルがあるそうなので、ご興味のある向きはこちらへ。

日本有数のキャラクター企業であるサンリオだ。ぜひさらなる発展を期待したい。原型部門も「動刻」部門も顧客が限られるから、大儲けとはならないだろうが、こういう職人技がキャラクタービジネスやコンテンツ産業の競争力のカギを握る。最近は原型師の高齢化も目立つとかで、うまく次世代育成も含めて伸ばしていって欲しいなぁ。

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Comments

原型師 はじめて聞きました。
変換したら元警視。
語感的にはベンケーシー(古)。

Posted by: でんすけ | October 18, 2005 02:25 PM

でんすけさん、コメントありがとうございます。
ベン・ケーシーといえばケーシー高峰。
…ともあれ、原型師という職業は私も今回初めて聞きました。なんか職人ぽくて(いや職人だっつうの)かっこいいですよね。
キャラクターはデザインが単純な分かえって原型を作るのが難しいのだそうで。ハローキティも、目の位置がほんのわずかちがえばまったくちがう表情になります。プロの仕事、ですね。

Posted by: 山口 浩 | October 18, 2005 05:50 PM

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