エンドロールをみる:「魔法遣いに大切なこと」
一部に好評の「エンドロールをみる」シリーズ。今回は「魔法遣いに大切なこと―SOMEDAY'S DREAMERS」。
徳間から角川の傘下に移った新生㈱角川大映映画(今の角川映画)が初めて手がけたテレビアニメーションシリーズ。2003年初頭、かなり遅い深夜に放映された。全12話の小さな作品だが、ていねいにつくってあるし、主人公の遠野弁とアコースティックな音楽がマッチしていて、独特のゆったりしたリズムが印象的だ。下北沢や渋谷など、現実の場所をけっこうていねいに再現しているのも、「日常に隣接」した世界観がよくあらわれている。個人的にはかなりお気に入り。ふつうのテレビアニメーションとちがった印象は、どうもこの作品の出自と関係があるらしい。オフィシャルサイトにはこんな解説がある。
この企画は、当初、実写映画のオリジナル脚本として原作者の山田典枝氏から持ち込まれ、その映像化を検討していたのですが、この脚本を読んだあるスタッフの“アニメーションでやった方がもっと面白くできるのでは?”という意見が発端となり、テレビアニメーション企画という形で動き始めたのです。
そうか実写向けだったのかぁ。個人的には、間のとり方なんかがやや少女マンガに近いと思っていたのだが(これはほめことば。念のため)。Googleで検索してみると、ファンサイトもあるが、いちゃもんをつけているものもけっこうある。好き嫌いが分かれるということだろうが、このシリーズは作品評論が目的ではないし、事情も知らずにただの個人的な好き嫌いに理屈つけて評論家ぶるのは少なくとも私の趣味ではないので、あえて反論せず無視。独特の世界観は、「物語における『魔法』の扱い方」についていろいろ考えさせるが、これも本題からはずれるのでまた別の機会に。
では、恒例によってオープニングロールから。
企画 7社
いきなり多い。角川大栄、テレビ朝日、パイオニアLDC(今のジェネオン エンタテインメント㈱)、東北新社、電通、日販、角川書店の7社だ。みんなアニメの「作り手」じゃないし。邪推かもしれないが、こう「船頭」が多いとけっこうたいへんなんじゃないか、と思ったりする。
原作・脚本 1
キャラクター原案 1
キャラクターデザイン 1
総作画監督 1
コンセプトワークス 1
美術監督 1
色彩設定 1
撮影監督 1
音楽監督 1
編集 1
背景 1
「コンセプトワークス」というのはよくわからないが、オフィシャルサイトのスタッフルームに「タイトルロゴのデザインから美術や小道具の基本設定、はてはポスターやDVDのデザインまで…“何でも意匠屋”」との解説がある。
音楽プロデューサー 1
音楽ディレクター 1
音楽協力 1社
オープニングテーマ
歌 1
作詞・作曲 1
編曲 1
オープニングアニメーション
絵コンテ・演出 2
作画監督 1
原画 6
プロデューサー 4
アニメーションプロデューサー2
監督1
アニメーション制作 2社
制作 1グループ、1社
「魔法局」
プロデューサー4というのは、角川大栄2、テレビ朝日1、パイオニアLDC1だ。著作権表示は「山田典枝・角川大栄/魔法局・テレビ朝日」とある。「魔法局」というのは製作委員会の名だろうか。公式サイトにはごていねいに「魔法労務統括局」なるサイトのバナーがあって、リンクが作られているが、リンク先のページは実際には構築中になっている。
次にエンドロール。最終回の「第12回 魔法遣いに大切なこと」から。
脚本 1
絵コンテ 1
声の出演 11
原画 21
動画チェック 3
動画 6+2社
動画の2社は、はだしぷろと年代動画。
背景 8+1社
色指定 1
仕上げ検査 1
デジタルペイント 8+1社(年代動画)
3DCG 1
デジタル撮影 4
撮影協力・特効 1社+2
エンディングテーマ
歌 1
作詞 1
作曲 1
編曲 2
オリジナルサウンドトラック盤 1社
録音調整 1
音響効果 1
選曲 1
録音助手 1
録音スタジオ 1社
音響制作 1社
キャスティング協力 1
ポストプロダクション 1社
制作担当 1
制作進行 1
デジタル進行 1
アシスタントプロデューサー 1
広報 1
宣伝プロデュース 2社
演出 1
作画監督 1
アニメーション制作 2社
制作 2社
気になるのは続編。この世界観なら、いくらでも拡張できそうだが、この点はあまり積極的には見えないふうがちょっと不満。ちなみにオフィシャルサイト(角川のサイトからはたどれないがなぜ?)をみると、スタッフの欄に主要スタッフの比較的ていねいな紹介があったりするなど、いっしょうけんめいプロモーションしようとしたらしいことがわかる。しかし基本的には、通常のテレビアニメと同じように、テレビ放映前にはコミック販売やイベントで盛り上げ、放映が終わったあとはDVD販売、ドラマCDなどの発売など、角川らしい短期集中型のメディアミックス戦略。サイドストーリーのノベライズに原作者以外の人を起用しているが、そこまでしなければならなかったのか。もうちょっと長期的に「育てて」いく姿勢で臨んだほうがこの作品には適しているようにも思えるが。
あ、理屈に走ってもしかたがない。要は個人的な好みだ。最近は書籍のかたちで続いているようだが、「アニメも続編希望!」と叫んでおく。
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