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October 12, 2005

映画からネットへ、ゲームへ:米若年男性の嗜好変化

やはり、というべきか。

これまで映画の最も重要な顧客層であった若年層男性が映画に行く回数が減ってきている、という調査結果について、New York Times電子版10月8日付の「Study Finds Young Men Attending Fewer Films」(要無料登録)から。

映画を見る習慣のある25歳未満の男性2,000人を調査した結果、今年の夏は昨年調査に比べて24%少ない数の映画しか見ていないことがわかった。女性やより上の年齢層の男性にはこの減少は見られない。調査はLAのオンライン調査会社OTXにより全米を対象に8月に行われた。誤差は2%。今年、ボックスオフィス収入は7-10%落ち込んでおり、ハリウッドではインターネットやゲームとの競争によると語られていたが、実際に確かめられたというわけだ。

じゃあ何をしているかというと、13-25歳の男性はインターネット、友だちとのIM、ビデオゲームなどにより多くの時間を費やしている。「ゲーム」というのはPS2やXboxなどのコンソールゲームらしい。オンラインゲームじゃないんだな。映画に行かなくなった理由として最も多かったのは、「コスト」だそうな。これまで最も映画好きであり、よって最も映画会社が力を入れてきた対象顧客層に最も大きな影響が現れたというのが、映画業界にとって衝撃的ということだ。要するに、若い男性が家から出なくなってきている、と分析されている。

映画のチケット代が高くなったので見る本数が減ったと回答した人は68%だったが、実際には映画のチケット価格は過去2年間それほど上昇していない。この層は平均して1人あたり55ドルを週末の娯楽のために支払うが、映画は他の娯楽に比べて安いというのもまあ事実。数年前、同じことがテレビについてもいわれたらしい。ニールセンの調査で、18-34歳の男性がプライムタイムにテレビを見ている率が急落している。嗜好の多様化もあるが、代替となる娯楽の台頭による要素も大きいといわれた。しかし今は戻っているのだそうだ。長期的にみれば、映画人口が減っているとはいえないという研究結果もあり、上記の調査結果についても「ホントかいな?」とみる向きもあるようだ。

ともあれ映画会社では、「マイレージ」プログラムやらチケットの値下げなども検討している由。

ここまでが記事の内容。

日本もアメリカも変わらないんだな、というのが私の印象。いや日本じゃゲームは落ち込んでるじゃないかとか、映画は復活してきてるじゃないかとかいう話があるのは知ってるが、そのあたりは各市場のサイクルというか、地域差というか、要するに局所的なものみたいに考えたほうがいいかもしれない。

注目したいのは、インターネットなど電子媒体を通じた「コミュニケーション」が消費、特にコンテンツ消費を代替しているということと、にもかかわらずコミュニケーション自体を疎んじる動きがあることだ。このへんはアメリカでも日本でも、ひょっとして韓国とかでも共通なのではないだろうか。友人とのコミュニケーションは、同じ「時間」という資源を消費するという意味では、普通の財の消費と代替的といえる。特にコンテンツは、「心に効く消費」だから代替性が強い。たとえば1人暮らしの人で、なんとなく淋しいからとテレビをつけっぱなしにしている人がいるが、それはコンテンツの消費というよりは、コミュニケーションの代替という要素が強いのではないかと思う。感動的なドラマや映画を見たいのも、ひょっとすると希薄な対人関係からくる欲求不満の解消かもしれない。想像だが、対人関係を求めつつも、「リアル」なものは面倒くさいから、電子媒体を通したり、代替的な擬似コミュニケーションを選んだりするということもあるのではないかと。

実際はそうでもないのに「映画のチケット代が高くなった」というのは、おそらく「比較対象であるネットとかゲームとかよりも」が省略されているからだ。より割安な代替サービスが出現したために、それまで感じていなかった割高感が出てきてしまった、ということだろう。

つきつめると、コンテンツとメディアが相互乗り入れするようなイメージなのかもしれない。コンテンツだったはずのMMORPGがプレイヤー同士をつなぐメディアとして機能し、人をつなぐメディアだったSNSのサービスがコンテンツとして消費されるようになる。とすると、インタラクティブでないコンテンツ、つまり映画のようなものは、ちょっとつらくなるな。消費対象であるメディアに載せる「パーツ」の1つになっちゃうわけだから。

もしそうだとすると、この傾向は若年男性に限った話ではないはず。その意味で、女性なんかにはみられないという上記の調査結果とは整合しないようにも思える。本当のところはどうなんだろう。ま、私のは思いつきだから、別にこだわるつもりはないのだが。

そういえば、「映画よりゲームが感動する!? RPGがトップ、変化するエンターテインメント像」なんて記事もあった。上記の調査結果とけっこう整合的だと思う。

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