雑誌目次をよむ:「週刊 少年マガジン」
一部に公表の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「週刊 少年マガジン」。
本来このコーナーは「ふだん目にすることのない」雑誌の目次をみてみようというものなので、こういう雑誌をとりあげるのは本来趣旨に反するのだが、まあかたいことはいわず。
「少年マガジン」は、講談社発行の週刊少年漫画誌だ。1959年3月創刊。発売は毎週水曜日。少年コミック誌では週刊少年ジャンプに次ぐ2位の発行部数を誇るという。社団法人日本雑誌協会のサイトで発行部数をみると、確かにサンデーの約300万部に次ぐ270万部となっている。一時に比べるとずいぶん減ったが、それでも270万。「少年コミック誌では」どころか、そもそもこの発行部数リスト全体でもみても第2位。ものすごい数だ。
どうも最近、「マガジン」が変わったらしい、という情報を見かけたので、久しぶりにちょっとみてみようと思ったわけだ。
2005年10月12日発売、2005年第46号の目次は次のとおり。
・アイドルグラビア 鈴木美生
・スクールランブル 小林尽
・「スクールランブル」記事
・トッキュー!! 原作/小森陽一 漫画/久保ミツロウ
・はじめの一歩 森川ジョージ
・魔法先生ネギま! 赤松 健
・ROSE HIP ZERO 藤沢とおる
・涼風 瀬尾公治
・金田一少年の事件簿 原作/天樹征丸 漫画/さとうふみや
・ぼくらの戦国白球伝 魚住青時
・MGP募集のお知らせ
・エア・ギア 大暮維人
・クニミツの政 原作/安童夕馬 漫画/朝基まさし
・SAMURAI DEEPER KYO 上条明峰
・OverDrive 安田剛士
・ゴッドハンド輝 山本航暉
・女子大生 家庭教師 濱中アイ 氏家ト全
・Full Spec 関口太郎
・090~えこといっしょ~ 亜桜まる
・あひるの空 日向武史
・ツバサ CLAMP
・GetBackers~奪還屋~ 原作/青樹佑夜 漫画/綾峰欄人
・「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」特別試写会に500組1000人をご招待
・トト! 長田悠幸
・神to戦国生徒会 原作/あかほりさとる 漫画/高田亮介
・ジゴロ次五郎 加瀬あつし
・ケンコー全裸系水泳部 ウミショー はっとりみつる
・コマコマ 米林昇輝
・魁!!クロマティ高校 野中英次
・もう、しませんから。 西本英雄
・ 情報ピモ王
・アンケートプレゼント
・第47号のお知らせ
※「さよなら絶望先生」は作者取材のため休載。
冒頭のグラビアの人はミス週刊少年マガジン2005に選ばれた20歳。小中学生向けって感じじゃないよなぁ。「金田一少年の事件簿」「GetBackers-奪還屋-」「魁!!クロマティ高校」「スクールランブル」「魔法先生ネギま!」「ツバサ」「涼風」など、テレビアニメなどになったものがけっこうある。「金田一少年」と「クロマティ高校」は実写にもなったな。ちなみに「トト」は最終回とのこと。
最近変わったという批判は、編集方針が変わった、ということらしい。Googleで検索してみると、けっこう出ている。多いのは「最近『萌え系』が増えた」というもの。たとえば「週刊少年blog!!」のコメント欄にはこんな文章が出ている。
現状を整理しますと、 萌え系漫画……ネギま!、ツバサ、スクラン、涼風、アイの5本があって、ここに新連載でウミショーと090が追加され、計7作品。現連載作品の約1/3がこれという状態は、果たして少年誌としてイイのか悪いのか…。
はてなキーワードにはこんなふうに出ている。
また、2004年から編集長が交代。巻末に作者のコメント欄を掲載したり(従来マガジンは作者コメントを掲載しない方針を貫いていた)、ヌード表現の規制を一部解禁したりと変化が見られる。
ふうん。「萌え系」がいったい何を意味するのか未だによくわからない(どうも人によってちがうみたいだし)のだが、まあそうなんだろうか。一応ひととおり見てみたのだが、昔読んでいた数十年前と比べて「そっち方面」でどう変わったのか、正直よくわからない。仮に「萌え系」を「かわいい女の子がたくさんでてきて都合のよい展開」を意味するなら、それは少年マンガの基本形の1つとも呼べるものではないのか?以前「少年マンガのキモはかわいい女の子キャラにある」という話を編集者の方に聞いたこともあるし。数が増えたというのはそうなのかもしれないが、1、2作品がよくて1/3がいかんというのはよくわからん。性表現ということでいうと、「マガジン」はその昔「デビルマン」なんかも連載していたわけで。
ともあれ、「少年サンデー」などと比べてどうも読者層をシフト、あるいは拡大させようとしているらしいことは、なんとなくわかる。ひとつは青年層。いわばベテランのマガジン読者だ。上記の「週刊少年blog!!」にも、「萌え」系を増やすのは「大きいお友達」の大人買いを狙っているのでは、といった指摘があった。それ以外にも、暴力表現は昔より過激になっていて、「これは子ども向けちゃうで!」みたいなのがあちこちにあるし。
で、もうひとつは女性読者だ、という指摘がいくつかのところでみられた。グラビアつき、マンガも都合のいい女の子満載でか!?と思うのだが、「ネギま!」と「ツバサ」は女性読者が多いとか。まあ後者はCLAMPだからわからなくもない。じゃあ「ネギま!」は?典型的ハーレム系萌えマンガだが、主人公が10歳だからいいのか?そういえば最近の少年マガジンのテレビCMでは、高校生らしき女の子が「マガジン」を読む姿が出てくる。そんなに多いのかなぁ女性読者。
こういう戦略がうまくいくのか、興味深い。対極にあると思っていたものを同居させようというわけだから。コアなファン層からは必ずしも受けていないらしいこの路線。果たしてどうなるか、今後も要注目。
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