« 東京大学ゲーム研究プロジェクト 11月定例研究会「『ゲーム内経済学』という考え方」 | Main | 乾電池から充電池へ »

November 02, 2005

雑誌目次をみる:「月刊 養豚界」 

一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「月刊 養豚界」。

誌名がいい。なんたって「養豚“界”」だ。「養豚業」でも「養豚業界」でもない。なんだかすごく立派ではないか。「養豚界の鉄人」とか「養豚界の巨匠」とかいるんだろうか。あ、きっと「養豚界のニューウェーブ」とか「養豚界のマドンナ」とかもいるにちがいない。

出版元はチクサン出版社。これまたわかりやすいね。キャッチフレーズは「豚づくりの明日をリード」だ。猪突猛進というか、豚突猛進というか。とにかく邁進するのみ!いや勇ましくていいぞ。

特集
・正しい防寒対策で豚も財布も暖まる

豚さんも寒いのだ、冬は。しっかり寒さに備えて豚さんもニッコリ、サイフもたっぷりというわけ。なんともわかりやすくかつ説得力のある記事タイトル。それにしても、防寒対策って、どんなのだろうか。帽子をかぶってマフラーをしているピグレット、を思い浮かべてしまった私はいったい…。

インタビュー
・ぶた好きさんInterBoo(新連載) 田崎真也さん
・畜産振興課新課長に聞く養豚の展望

「InterBoo」!いいねこういうノリ。今月から始まった「InterBoo」、最初の「ぶた好きさん」は、ソムリエの田崎真也さんだ。どんな「ぶた好きさん」なんだろうか。まさかペットとして豚を飼っている(最近けっこういるようだし)とか、隣にワイン好きの豚(きっと飛行艇乗りだな)が住んでるとか、小さい頃おぼれかけたところを通りかかった親切な豚に助けられた(んなばかな)とかいうんじゃあるまい。この人の場合、やはり「ぶた好き」というより「ぶた肉好き」なのではないだろうか?豚肉に合うワインは、とかやるんだろうな。田崎さんとは関係ないが、こちらのサイトには、「豚肉にはボージョレが合う」と書いてある。ふうん覚えておこう。

「畜産振興課」は、農林水産省の組織図をみると、生産局畜産部傘下の組織だ。こちらをみると、現在の課長は7月19日付人事異動で就任した姫田尚氏。いやだから何だといわれると、何でもないのだが。「養豚の展望」はどんなものなんだろう。いよいよ米国産牛肉の輸入再開となるわけで、牛肉の代替財でもある豚肉の需要はやや厳しいかもしれない。この状況をいかに乗り切るか。もっと平易にいえば、「豚丼の運命やいかに」!?

経営
・ようこそ!豚づくり一年生(22)
・消毒は技術である

豚づくりにも「ピカピカの1年生」がいるのだ。脱サラ、とかしたんだろうか。きっと「ぶた好きさん」なんだろう。日本の畜産業、もとい養豚界の将来を担う期待の人材!がんばっていただきたい。

ルポ
・がんばる農家養豚
・豚舎の作業効率向上を目指して

よくわからないのだが、「農家養豚」というのはどういう意味だろうか。ふつうの畜産をしている人は「畜産農家」っていうのかと思っていたのだが、それは「農家養豚」とはちがうのだろうか。
「豚舎の作業効率」は重要な問題だろう。何せ豚「づくり」だ。「ものづくり」なのだ。トヨタの人とかが見たら、山ほど工夫の余地があるだろう。豚づくりのジャストインタイム生産、なんてあるのだろうか。豚が出荷されると次の豚が生まれ、とはなかなかいかないか。まあエサくらいはできるかも。

環境・衛生
・豚の目線から見直そう! ~第1回豚々塾開校
・全国豚病アラカルト(43) PRRSが侵入した種豚場のオールアウトによらない清浄化
・こちら豚病相談室(47)  母豚の肩部潰瘍の原因と対策

「豚々塾」がいい。何しろ「豚の目線」だ。こういうのもマーケティングというのだろうか。豚の心をつかむエサづくり!この冬若いメス豚に流行の干草、「団塊の世代」豚の生きがいづくり。きっと講師も豚生経験豊富な豚にちがいない。…なんだかどんどん脱線していくな我ながら。

海外
・養豚体験記@CANADA  最初の農場で見た子豚出荷風景
・養豚技術者への道(2)  優れた養豚管理技術が利益を生み出す
・ヨーロッパ養豚通信(43)  EUの成長促進剤使用禁止に向けての取り組み
・海外の新研究・新技術  ロボットによる豚房洗浄の効果

おお成長促進剤だ。なんだかこわ。日本だとどうなんだろうか。Googleで「豚 成長促進剤」と入れて検索したら、こんなサイトが見つかった。出光興産にアグリバイオ事業部なんてものがあるのにも驚いたが、「枯草菌(バチルス・サブチルスDB9011株) 配合製品」という名もおどろおどろしい。「牛・豚・鶏用飼料添加物 成長促進、活力アップに“モルッカ”」だそうだ。「活力アップ」などというと、駅のキオスクで腰に手を当てて栄養ドリンクを一気飲みする背広姿の豚を思い浮かべたりしてしまうのだが、まあそれはともかく。これが上記のEUで禁止されようとしているものと同じなのかちがうのか知る由もないが、なんだかいろいろあるのだな、ということはわかる。

エッセイ
・養豚獣医師のわくわくダイアリィ(新連載)
・若手養豚家リレーエッセイ(42)  消費者に納得される環境づくりに取り組んでいます

「養豚家」だ。農家があるんだから養豚家だってあっていい。プロとしての誇りが感じられる。

目次を通してみると、表記はほぼ「豚」で統一されている(「ぶた」も1ヵ所あったが、まああれは別)。「ブタ」ではなく「豚」だ。おそらくこのあたりはこだわって書いているにちがいない。カタカナで書くのは「動物」としてのブタで、家畜としては「豚」、ということなのだろうか。

ぜんぜん関係ないが、以前アメリカで畜産農家の豚舎を見たことがある。牛もいっしょに飼われていたのだが、驚いたのは、子豚が牛乳で育てられていたことだ。そこの人に聞いたのでまちがいない。牛乳のほうがよく育つのだとか。まあ人間も牛乳を飲んでいるのだから別におかしいことはないが、へぇそういうもんかねぇ、と思った記憶がある。

これまたまったく関係ないが、このチクサン出版社は「緑グループ」というグループに属する。このグループに属する緑書房から出ている雑誌に、「季刊 少年フィッシュ」というのがある。いちいち誌名がステキだ。「少年○○」という雑誌名が、マンガ雑誌以外であったとは。当然ながら、魚大好き少年向けの雑誌だ。「さかなクン」もこういう雑誌を読んで育ったのだろうか。

豚肉に合うワインはボージョレ。というわけで、どうせ買うならどーんと樽で!という方はこちらなぞいかが。

【送料無料】2005ポールサパン・ボージョレーヌーボー15L樽

|

« 東京大学ゲーム研究プロジェクト 11月定例研究会「『ゲーム内経済学』という考え方」 | Main | 乾電池から充電池へ »

Comments

えーですな。いつもながらの軽妙な語り口。
あまりのとんとん拍子に「酔うとんか?」疑う人が出てきても講豚師あるいは活豚士よろしく、トトントントン一気に大豚円へ…。

Posted by: でんすけ | November 02, 2005 01:27 PM

大豚円のあとは、ボージョレで一杯。
おあとがよろしいようで。

Posted by: 山口 浩 | November 02, 2005 05:32 PM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 雑誌目次をみる:「月刊 養豚界」 :

« 東京大学ゲーム研究プロジェクト 11月定例研究会「『ゲーム内経済学』という考え方」 | Main | 乾電池から充電池へ »