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November 28, 2005

政府インターネットテレビはなんとかならないか

2005年11月10日に始まった「政府インターネットテレビ」だが、静かなスタートといえば聞こえはいいものの、正直な話いまひとつの観がある。もう少し盛り上げられないものかと思う。

「盛り上がりに欠ける」という印象の原因は、おそらくマスコミの関心の低さではないか。ブログなんかではかなり取り上げられているようだが、一部の例外を除いて、今のところマスコミから事実上黙殺状態にあるといっても過言ではないように思う。まあそれもそのはずで、ここで流されている情報はマスコミ各社にとっては別に新しい情報でもなんでもないし、どうせみんな地上波テレビのニュースで見るだろうから別に自分たちの職域が侵されるわけでもない。これまでの政府広報の延長、といった認識なのだろう。

これ、実にもったいないと思う。政府は国民に対して直接発信して、それに対するフィードバックを直接受け取れる道具を手にしたというのに。

別に間接民主制やら既存メディアの役割やらを否定するものではないが、現在のしくみが採用されている理由のひとつは技術的制約だったはずだ。その部分に関しては、現在の技術はかなりのところ充分な能力をもつソリューションを提供できるようになっている。だったら進歩の恩恵を享受したっておかしくはない。

単なる思いつきで、とりあえず3点挙げたい。

(1)コンテンツの改善
現状のつまらなさの最大の原因は、公開されているコンテンツが面白みに欠けることにある。今のようなものならテレビのニュースで充分といわれてもしかたがない。せっかく政府が直接発信するのだから、ここでしか見られないものを見せてほしい。たとえば:

①記者会見
記者会見は質疑応答まで含めるべきだ。現在は会見そのもの、つまり「原稿の棒読み部分」しか公開されていない。そういうのは原稿そのものをファイル公開すればよいのであって、正直な話、付加価値は高くない。私たちが見たいのは、質疑応答における生のやりとりで、首相なり官房長官なりが何をどんなふうに語るか、ではないか。記者がどんな質問をしたのかについて外部からチェックすることも重要だと思う。

②内閣の会議等
国会の審議の模様は、地上波放送もさることながら、インターネット中継がなされるようになったことでかなり外部から「見える」ようになってきた。内閣のほうも、行政という性格上難しいところはあろうが、もう少し公開の場で議論する方向にもっていったほうがいいと思う。閣議とか経済財政諮問会議なんかは生中継したっていいではないか。公開されると自由な議論ができなくなるという意見もあろうが、現在でも議論の要旨は公開されている。そもそも公開の場でいえない意見って何だ?人前では言えない意見で政治を動かしていいのか?と素人なら思うのではないか。

③素人記者の突撃インタビュー
企画ものがあってもいい。プロの記者でない素人、典型的には子どもとか学生とか、あるいは関心のある大人。ブロガーももちろん。そういう人が、どこでも自分の関心あるところに行って直接話を聞き、その様子を公開する、なんてどうだろう。ニーズがあるなら、常時やればいい。素人記者をどうやって選ぶか、は問題だろうけど。

(2)双方向性の強化
せっかくネットなんだから、双方向性をもっと生かそう。たとえば:

①アンケートを早く実施する
アンケートが実施できるしくみになっているようだが、今のところまだ実施されていないようだ。さっさと始めたらいい。といってもテーマが問題か。テーマ設定ひとつしようにも大もめになりそう。個々のコンテンツアンケートに関しては、例のサンプルバイアスの問題もあるし、私としてはぜひ予測市場の採用を提唱したいところだが。

②録画でなく生放送を原則とする
双方向性を最大限に生かすためには、録画でなく生中継を原則とする方向で考えたほうがいい。都合の悪いことも起きるだろうが、むしろそれでいいのではないか。国民の側も「成熟」しないといけないんだろうけど。

③コメント、トラックバックを受け付ける・RSS配信に対応する
ひとつひとつのビデオにコメントやらトラックバックやらをつけられるようにすれば、そのコンテンツに対する国民の意見がわかる。アーカイブはRSS配信に対応して、更新状況がリアルタイムにわかるのもいい。コメント欄はめちゃめちゃ荒れる可能性もだいぶあるが、意外にうまくいくかもしれない。試してみたらいいのではないか。

(3)外部チャネルの利用
せっかくの内容も、幅広く国民の目にふれなければ意味がない。インターネットだから見たい人が誰でも、というのだけでは実際にはなかなかうまくいかない。配信してくれるという先にはどんどん配信していけばいい。ポッドキャストに対応して、個人ブログにも取り入れたりできるようにする、というのもいいかも。

とにかく、今のままではもったいない。せっかく与党議員には若手もだいぶ出てきてるわけだし、ネットの活用に対しては前向きな風潮が出てきているし、やるなら今のうち、という感じがする。とりあえずやってみて、だめだったら辞めればいい。そのくらいの感じでできないだろうか。面白いと思うんだけどなぁ。

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Comments

海外在住です。
政府インターネットテレビなんてあったんですねぇ。

郵政解散時の記者会見を見たら、質疑応答まで入ってましたよ。(3ch)

提案されてるのはすべて賛成です。海外からも見れるし、英語版にしたりしても面白いんじゃないでしょうか。
いつでも見れるのも良いですよね。テレビのニュースで待つ時間がもったいないので。

Posted by: 白髭 | November 28, 2005 02:31 AM

白髭さん、コメントありがとうございます。
質疑応答の入っているものもあるんですね。調査不足でした。すいません。
海外向けの情報発信という視点を抜かしてはいけませんでした。これも反省。
視聴者からのフィードバックを政策に生かしてくれたら面白いんですけどねぇ。

Posted by: 山口 浩 | November 28, 2005 06:46 PM

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