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December 09, 2005

これもキャッシュフロー経営なのか

ずいぶん前のことになるが、「Semiconductor International」2005年8月号のコラムに、キャッシュフロー経営に関する興味深い話が出ていた。

半導体メーカーが半導体製造工場を建設した際、建物の建築費用は遅滞なく支払うものの、製造装置メーカーへの支払いは遅らせる、という話だ。これは例外的な話ではなく、どうも業界ではよくある話らしいが、日本独特とのこと。「海外では装置への支払いは装置納入時に80%、検収後に20%を支払っていることが多いが、あるい外資系半導体メーカーの方は、日本では日本メーカーの習慣に習って代金支払いを数ヶ月先に遅らせている」のだそうだ。

よくある話だ。自分の経験でも、打ち合わせの際の弁当代は即日精算するくせに、受託調査のために外部委託した人への報酬支払いは半年遅らせるなんていうケースがあって、職場でもめたことがあった(金額はずっと小さいけどね)。やってる側にはなぜかほとんど問題意識がない、というのもおそらくさまざまな場所で共通しているのだろう。

記事に戻ると、こうした商習慣によって支払い期日を遅くできるメリットを享受している企業の中には、キャッシュフロー経営を標榜する一流企業も含まれるのだそうだ。で、記事は支払いを遅らせるのもキャッシュフロー管理の一環、なのかね?と皮肉というか批判というか、まあ怒ってるわけだ。

さらに、そのコラムの下には投書欄があって、半導体メーカーが注文書を発行せずに事実上仕事を発注し、注文書がないことをいいことに追加仕様や変更の要求をする、という投書が紹介されている。

これも半導体メーカーだけの話ではないと思う。自省をこめていえば、コンピュータソフト開発を委託した際これに近いことを自分がやったこともある。あらゆる業界において、下請会社に対するこの種の理不尽はまかり通っているのだろう。法の保護もあるにはあるのだが、事実上さしたる助けにはならないことが多い。最終的に発注するかしないかという選択肢を発注側が持っていて、競争状況からみて下請側が弱い立場にあるなら、どうしたってこういう問題は残る。

しかし一方で、下請会社側が厳しい要求に応えるために技術を進歩させるなんてケースもあるのかもしれない。社会全体のためには下請先も含めてコスト合理性を追求すべき、というのもわかる話だし。私たちが消費者として製品をサービスをより安く買えるのも、一部はこうしたことの反映だったりする。半導体メーカーの肩を持つという趣旨ではまったくない(下請いじめはやはりよくないと思う)し、自分がやったことの言い訳をするつもりもないが、何が「正解」と簡単にいえるかが、はたから見るよりも複雑であることはめずらしくない。

つくづく、世の中視点を変えるとものごとがまったくちがって見えるものだな、と思う。かなり意識して頭を柔らかくしておかないと。

こういう状況をみると、いつもHoward Jonesの「New Song」を思い出す。サビの部分は確かこんな歌詞だった。

Don't crack up
Bend your brain
See both sides
Throw off your mental chains

かくありたい、と思う。難しいけど。

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