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December 01, 2005

バナナにまつわるエトセトラ

私の好みなど知っても何の得にもならないだろうが、バナナは好きな果物の1つだ。今年発表された総務省の家計調査で、果物の年間購入量の第1位を初めてかちとったそうで(これまでずっとミカンが第1位、、リンゴが第2位で、バナナは第3位だった)、1ファンとしてうれしいところ。

しかしこのバナナ、ただの果物ではない。なかなかあなどれない存在なのだ。というあたりを自分の勉強用にメモ。

かつては病気の時しか食べられない高級果物だったバナナは、1963年の輸入自由化以降大衆化し、いまや最も安価な果物の1つであり、「国民的果物」となった。バナナに関してユニークなのは、日本バナナ輸入組合が積極的に需要喚起策に取り組んでいることだ。「バナナ大学」というサイトがあるが、要はこれが日本バナナ輸入組合のサイトで、バナナに関するさまざまな情報が出ている。日本バナナ輸入組合には着ぐるみキャラクター「バナピィ」がいたりするし、はなわが「この夏はバナナ」という歌を歌ったりもしている(このページで試聴可)。

このような取り組みは、実は以前から行われていた。記憶があやふやだが、確か数年前に、需要落ち込みを懸念した組合が糸井重里だか誰だかに依頼してマーケティング戦略を練ったという話を聞いたことがある。バナナを持ち運ぶためのウレタン製の「バナナホルダー」という袋があるが、これもその時期に作られたものだったと思う。その後、テレビ番組「あるある大事典」でバナナの「健康パワー」とやらが注目され(バナナの皮が黒ずむまで熟成させるのがいいとかいうやつ)、人気も回復してきたというわけだ。

そもそもバナナは、人類が最も古くから利用した果実の1つだそうだ。要するに、栽培が比較的簡単ということなのだろう。原産地はマレー半島あたりだが、世界中の熱帯・亜熱帯地域(「バナナ・ベルト」と呼ばれる)で栽培されるようになった。

今私たちが食べているバナナの多くは、大企業のプランテーションで作られる。そこでは現地の人々が必ずしも快適とはいえない労働条件で働かされていたりして「sweat shop」と呼ばれたりすることがある。「バナナ・リパブリック」(ブランドじゃないぞ)といえば単一品目に依存する脆弱な途上国経済を象徴することばだったりするわけで、その意味では南北問題の象徴的存在といえなくもない。

しかし一方で、バナナはこれら途上国にとって新しい可能性を開くものでもある。以下は森島紘史著「バナナ・ペーパー:持続する地球環境への提案」からの受け売り。バナナを収穫する際、茎(木にたとえれば幹の部分だ)は切り取られて捨てられるが、これを使って紙を作ることができる。「バナナ・ペーパー」というわけだ。このバナナ・ペーパー、和紙の製法を生かして、大規模な設備を使わずに製造できる方法が開発された。バナナを生産し、実を食べたり輸出したりするだけでなく、茎の部分も使うことで資源を効率的に活用して途上国経済の活性化をはかるだけでなく、木よりも成長の早いバナナによってCO2吸収力の増大をもはかることができる。のだそうだ。

もちろん現実には、いろいろと問題があったりするのだろう。うまくサイクルが回りだすまでには紆余曲折があるだろうし、大成功しすぎて世界中バナナだらけになっても困る。そんなに簡単にいくものではないとは思う。しかしこうした工夫は、続けていくべきだ。「バナナ・ペーパー・プロジェクト」と呼ばれるこの取り組みに、日本は中心的な役割を果たしている。ひょっとしたら、「バナナは地球を救う」かもしれない。

というわけで、最後にバナナ関連リンク。

まずは情報。上記の「バナナ・ペーパー」に関する本がこれ。この本もバナナ・ペーパーでできている由。バナナから地球を考える視点で、一家に一冊。

バナナ好きは多いようで、バナナに関するサイトもけっこうたくさんある。たとえば:

・「『バナナの足』研究会的なリンク集
・「バナナ戦争
・「『台湾バナナ』は復活するか?
・「BANANAモノのページ

次に商品。バナナといえば、欠かせないのがこのバナナスタンド。

それから、あまり店頭では見かけない国産バナナ。沖縄産の「幻の品」だって。

沖縄でもなかなか手に入らない、幻の『島バナナ』!濃厚な甘みと爽やかな酸味が絶品です。びっ...

バナナ片手に「バナナ・ペーパー」を読みつつ、南の国で働く人々と、その人たちのために奮闘する日本人に思いをはせよう。罪深い生活様式の我々だが、理想論ばかり吐いていたって何も変わらない。まずは知ることから。

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Comments

バナナ、といえばなんと言っても吉本ばなな・・でしょう?なんて

テニスの試合でコートチェンジの時に選手がよく食べていますね。あのシャラポワもよく食べている。エネルギーにすぐ変わる、とかいう理由だったでしょうか?定かではありませんが、優れた食べ物であるという認識はあります。

Posted by: こえだ | December 01, 2005 04:07 PM

こえださん、コメントありがとうございます。
吉本ばななさんのは、バナナの花がお好きだからとかいう話を聞きましたがちがいましたっけ。
スポーツ時にバナナ、はおなじみですね。マラソンなんかでも食べてますが、あのとき皮はやはり横に投げ捨てるんでしょうか。それを後ろから来た選手が、…というおなじみの場面を想像してしまうのは私だけでしょうか。

Posted by: 山口 浩 | December 02, 2005 01:36 PM

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