「Second Life」の会員数が急増しているらしい
先日サンフランシスコに行った際、Linden Labを訪問する機会があった。「Second Life」の開発・運営をやっている会社だ。ベイエリアの、フィッシャーマンズワーフにも歩いていけるあたりにあるのだが、こういうところだとつい遊んじゃって仕事にならんだろうなぁ、などというのは本題とはまったく関係ない話。
で、本題はというと、「Second Life」が課金方式の変更以降会員が急増している、という話だ。
本当はもっといろいろな話があって、ちゃんとまとめて書こうと思っていたのだが、あまり遅らせると忘れちゃったりするので、とりあえずこれだけでも書いておこうと思った。今後また五月雨式にばらばらと書いていくことになろう。
まず、そもそもの話。
「Second Life」は一見「シムズオンライン」みたいな感じのMMOGだが、実はオンライン「ゲーム」ではない。少なくともLindenでは「ゲーム」とは呼ばない。「プラットフォーム」と呼ぶ。ほかに「metaverse」といういい方もする。Ted Castronovaは「middleware」だと著書で書いていた。これだけで、これがいったい何をめざしたサービスなのかの片鱗がおわかりいただける方もいるかもしれない。
要するに「Second Life」は、人が「second life」を送る「場」を提供するサービスだ。たとえば「シムズオンライン」だと、シムの名声を上げるために働かなくてはならなかったりする。「シムズオンライン」はゲームだからだ。しかし「Second Life」はゲームではないのでそうしたものはない。3Dだから、仮想空間を歩いて移動できるわけだが、移動したいだけなら移動先の場所へ「テレポート」すればいい。そういう意味で、「ゲームデザイン」だとか「ゲーム性」だとかいった配慮とはかなり離れたものとなっている。
ということで、やっと本題。
「Second Life」の会員数については、ちょっと前まで、約4.5万人という情報があった。スタートして数年たつMMORPGとして考えると、そこそこ回せる数だが、大ヒットというほどでもない。しかしこの9月、Linden Labは、「Second Life」の加入時課金9.95ドルを無料化した。(以前、東大ゲーム研究会で話をしたときに、この点「9.95ドルは月額課金」と説明したが、これは誤り。お詫びして訂正。)つまり、ただゲームを始めるだけなら無料になったわけだ。これにより「Second Life」の課金システムは、有料オプションを選択した場合の月額課金と、「土地」(アイテムだな)の販売+使用料の組み合わせということになった。いってみればアバターのあるコミュニティサイトみたいな課金システムだが、アイテムに「月額使用料」を設定するのは珍しいかも。
で、この加入時課金を廃止したころから、会員数が急速に伸びていて、今では会員数9万人ぐらいになっているらしい。ここ数ヶ月の伸び率は「月に12%前後」だそうだ。課金制度の変更だけの影響なのかどうかはわからないが、大きく影響しているとは思う。「収益も増えていて」と聞いたが、もしそうなら、アイテム課金化を検討しているMMORPGオペレータには心強い話だろう。
渡辺さんのブログに「FBSカンファレンス:オンラインゲーム上での不動産ビジネス」というのが出ているが、その中にはおそらく「Second Life」の話がかなりの割合を占めているはずだ。このあたりいくつか面白い話を聞いたのだが、その話はまた別の機会に。
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