正しい「萌え」の使い方
その筋の人々にはもう有名な本らしいのだが、私は今日書店で見かけて、驚愕した。この本はすごい。
高橋信・トレンドプロ著「マンガでわかる統計学」オーム社、2004年。
高橋信・井上いろは・トレンドプロ著「マンガでわかる統計学 回帰分析編」オーム社、2005年。
要するにマンガで統計学を学ぼうという、まあ学習マンガなわけだが、表紙をみていただければ一目瞭然の萌え系だ。「マンガでわかる統計学」のほうは、平均やら標準偏差やらといった統計学の入門編だが、主人公は女子高生。「回帰分析編」のほうは喫茶店のウェイトレス(というか、どうみてもメイドさんのかっこだな)。ストーリーもちゃんとあって(よくあるラブコメ系だ)、そっち系の人にはくるんだろうな。
で、主人公がそのストーリーに沿って統計学を学んでいくわけだが、あまり説明くさくないし、理論の説明だけではなく設定に即したケーススタディになっていて、質的にも分量的にも、この種のものにしてはありえないぐらいていねいでしっかりしている。エクセルでどう展開するかもちゃんと出ていて、本当に入門編のテキストに使えるレベルだと思う。いやびっくりした。
最近は、萌えをウリにする学習本とかがけっこうあったりするわけだが、あの「もえたん」シリーズ以外にはろくなものがない(これとかこれとかこれとか。あれちがう?)、とお嘆きの貴兄に。「正しい萌えの使い方」を示してくれる2冊。唯一の欠点は書店で買いにくいこと。ほーらAmazonで買わなきゃ。
このコンセプトは悪くない。オーム社の方々にはさらなるシリーズ化をお勧め。で、もし「マンガで学ぶリアルオプション」みたいなのを企画されるようなら、ぜひご一報いただきたく。
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Comments
はじめまして。ミニ驚愕びっくり話を。
実はいま,『マンガでわかる統計学』を本棚から取り出して眺めながらWebサーフィンしていて(変なながら族ですみません),このブログも何気なく久しぶりにブックマークから選んだら,今回のエントリー記事。いや,偶然にびっくりしました。
でも,この2冊,おっしゃるようになかなか歯ごたえある本です。
ちなみに私は,書店で堂々と購入しました。
Posted by: りん | February 04, 2006 05:12 PM
りんさん、コメントありがとうございます。
書店で購入とはすごい。尊敬します。かくいう私も立ち読みしたのですが、ちょっと恥ずかしかったです。
Posted by: 山口 浩 | February 04, 2006 10:29 PM
マンガで学習といえば、化学の『マンガ化学式に強くなる―さようなら、「モル」アレルギー』が高校1年生の夏休みに読むのにピッタリでしょう!名著です。
ナツメ社の図解雑学シリーズにハマってる今日この頃です。科学から宗教まで幅広くて良いです。
Posted by: 図解雑学生 | February 10, 2006 09:09 PM
こんにちは。
「マンガでわかる統計学」は、1年くらい前に三省堂で立ち読みした記憶があります。
オーム社に勤めていた友人に、この本のことを絶賛したら変な目で見られました。まだ誤解は解けていません(笑)。首を吊ろうかと悩んだものです。
ちなみに「もえ単」シリーズの三才ブックスは、銀行員時代に担当先でした。
どちらも非常にマニアックな出版社です。正しい「萌え」を世に問うには、マニアならではの情熱が必要なのかも知れません。
「マンガで学ぶリアルオプション」の実現を楽しみにしております。それでは。
Posted by: はぐれバンカー | February 11, 2006 12:00 AM
コメントありがとうございます。
図解雑学生さん
実は私も、学習マンガで育ちました。教科書よりもよほど役に立った、と思うこともあります。あれにも出来、不出来ははっきりありますね。
図解雑学シリーズでは、ゲーム理論のやつをお知り合いの先生が書いています。お勧めです。
はぐれバンカーさん
萌えビジネスは「その道の人」に任せよ、ということでしょうか。好きこそものの上手なれ、ですかね。
Posted by: 山口 浩 | February 11, 2006 11:19 AM