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March 12, 2006

雑誌目次をみる:「月刊EX」

一部に好評の「雑誌目次をみる」シリーズ。今回は「月刊EX」。

タイトルだけだと、知らない人は何の雑誌だかわからないと思う。発行しているのはぎょうせい、なのだが、これもヒントにはならないだろう。答えは「地方公務員のための学習誌」だ。なんでそのタイトルが「EX」なのかよくわからないが、タイトルの横にこんなフレーズが出ている。

EXCELLENT
EXECUTIVE
EXERCISE

…。これはいったいどういう意味なのだろうか。続けて読んで「EXECELLENT EXECUTIVE EXERCISE」じゃないよね。「EXECELLENTでEXECUTIVEな地方公務員になるためにEXERCISEしよう!」(なんか恥ずかしいね)ということかも。要するになんか上昇志向、な雑誌なんだろうな。

平成18年3月号の目次は次の通り。

MONTHLY SPOT
・公共政策の未来と自治体の役割
 ――市場化に伴う公共関与のあり方
 ◇公共政策とは何か
 ◇高度情報化時代の公共政策
 ◇市場化と公共関与
 ◇第三の分権化、第四セクターの時代

おおホットな話題、ではないか。前向きではないか。…しかし「第四セクター」とは?Googleで検索すると、こちらの記事では「犯罪文化やアンダーグラウンド、ピンクマーケットやブラックマーケット、非公認フィクサ」と定義されている。まさか。こちらの資料には「第四セクターとは、公共、民間企業に加え、市民や市民団体も出資して事業を運営してゆくものをいう。」とあるから、まあこちらなんだろうが、まぎらわしいな。まあ「第三セクター」自体もアメリカだと非営利セクター一般をさすらしいし、要するに定義が錯綜してるということか。

取材レポート
・ランドコーディネーターを養成する
 「アグリ・カルチャー・ビジネススクール」 /さいたま市農政課
・近年、「農」は食料の供給、就業の場としての役割のほか、国土の保全や水資源の涵養、自然環境の保全・形成、自然・文化資源の供給といった公益的な機能が再評価されている。都市農業でそのような機能を果たそうとする場合、大多数を占める都市住民との協働が不可欠だ。しかし、これまで農業者と都市住民の交流はそれぞれの立場を超えることが少なかった。さいたま市では、地域の特性を生かし、2005年3月「百万人の『農』」を位置づけた農業振興ビジョンを策定。農業者と都市住民が協働し、アグリ・カルチャー・ビジネスを展開するためのランドコーディネータープロジェクトを開始した。

ほおおなるほど。さいたま市の「地域の特性」ってのは、農業者と都市住民が近くに住んでる、ってことなんだろうか。アグリ・カルチャーとかアグリ・ビジネスならわかるが、アグリ・カルチャー・ビジネスとはなかなか欲張りな構想。健闘を期待したいね。どれどれと検索してみたら、さいたま市のサイトにこんなページがあった。注目はキャラクターの「『農』ちゃん」。にんじんなんだろうか。ちゃんと「の」の字になっているところがいい。


今月の判例
・地権者に限らず沿線住民にも原告適格認める
 /最高裁大法廷・平成17年12月7日判決
・賃貸住宅の通常の修繕費は家主負担
 /最高裁第二小法廷・平成17年12月16日判決

注目判例もちゃんとチェック。このあたりは自治体の人にとっては「他人事じゃない」んだろう。

Practice & Theory
・通学路の犯罪防止に「マップシール」作戦
・優秀な若手職員が係長試験を受験しない
・増える児童虐待と対応の法的諸問題
・ユニバーサルデザインのガイドライン

2番目の「優秀な若手社員が」に注目。時代の風潮、なんだろうか。

連載
・K市広報課長桃子跳ねる(48):防災をめぐる常識のうそ
・Public & PrivateⅡ~「公」の担い手(12):改革の行く末
・ベーシック・スタディ よくわかる行政文書入門(12):日本語は永遠に
・職場の人間関係110番:運が悪い、ツキがないと嘆く友人
 S市財務課M君とN君は同期に入庁して共に7年。係は違っても、情報交換やお互いの意見を述べ合うなど、親しい間柄だった。しかし、最近N君は「俺は運のない男だよ。昇任試験は滑るし、異動で希望した所に来たと思えば、係は人の嫌がる仕事、おまけに係長が最悪、ツイてないよ」と嘆くことが多くなった。M君が励ましても「M君は恵まれているからいいよ」といつも暗い話になる。家庭内の問題もあるらしく、最近は以前のように話が弾むこともなくなった。M君はどのように声を掛けたらよいものか困っている。

なんだか身につまされる話。こういうのは公務員に限らないよなぁ。入庁7年目だと、30歳ぐらいか。「悩み多きお年頃」なのかね。ただ「異動で希望した所に来たと思えば、係は人の嫌がる仕事」ってのは何なんだ?じゃあ希望しなきゃいいじゃん。とはいえそうもいってられない。程度問題だが、こういうのは下手に素人が手を出すより、プロのカウンセラーとかに頼んだほうがいいかも。そういえばちょっと前に、自衛隊でもメンタルヘルスの問題がたいへん、という会議の議事録を読んだな。公務員はひときわストレスのたまりやすい職業だったりするのだろうか。

・サービスの極意(12):究極のサービスは“心”にあった
「行政マンとしてサービスを考える」に始まったこの連載もついに最終回。1年にわたり、日常の生活の中で見たこと、聞いたこと、またそこで感じたことを通して「真のサービスとは」にこだわってきた。ひとくちにサービスといっても、その手法は様々で、競争社会の中、人々の工夫や努力のもと次々と新しいものが生み出されている。しかし、その奥深く根本にあるものはみな共通だったように思う。極意に到達するにはまだまだ修行が足りないが、一筋の光明を掴んだ実感はある。ここで得たものを生かして、サービス業のプロフェッショナルを目指したい。

「サービス業のプロフェッショナル」かぁ。ぜひがんばってもらいたいな。「県庁の星」なんていう映画もあるわけだし、行政の人の間でサービス業だって自覚が広まったら、世の中けっこう住みよくなるかも。

その他の連載はこれ。

・知っておきたい今月のキーワード
・Zからはじめる~財政を考えよう
・健康のススメ/霞が関スクランブル(「免許更新休暇、見直しを通知――総務省」ほか全5本)
・記憶のスケッチ
・BOOKS

昇任をめざす人の完全試験対策
・昇任試験のための必勝論文講座
 <読者の皆様に対する個別の論文添削も行っております。詳しくは本誌をご覧ください>
 今月のテーマ
  ・仕事のしやすい職場環境の実現
  ・環境に配慮した住民生活の推進

昇任試験!ああ昇任試験!公務員の方々にとってまさに一大事、のはず。この雑誌のメインコンテンツ、ではないかと勝手に想像する。しかも本誌、「読者の皆様に対する個別の論文添削」もあるというではないか!おおなんとすばらしい。

地方行政実戦ゼミナール
・憲法(人身の自由と適正手続)
・行政法(1年間の総まとめ)
・地方自治法(1年間のまとめ)
・地方公務員法(職員団体)
・人事・組織管理(カウンセリング)
・事務・情報管理(自治体のIT戦略)
・資料解釈(指数の問題)
・政治社会事情(地方制度調査会答申ほか)
・経済・労働事情(2006年度政府予算案ほか)
・今月の理解度チェック
・気まぐれカフェ

怒涛のゼミナールシリーズ。いろいろ勉強しなきゃいけないんだねぇ。「自治体のIT戦略」なんてのもあるぞ。きっと最大の難関は「上司に理解させること」なんだろうな。今のところ、せいぜい広報チャネルの1つぐらいにしか使われてないところが大半なんだろうが、本気で活用したらけっこう大きなインパクトがあると思うぞ。

というわけでなかなかにアツいこの「月刊EX」なのだが、実はこの号をもって休刊!となってしまった。いったい何が。競合雑誌、なんてのは考えにくいよな。記事の中にも昇任試験を受けたがらない若手社員の話があるが、みんな昇任しようとしなくなったりしたのだろうか。それとも例の自治体合併の影響で読者が減少したせいか?いやしかし、自治体の数は減っても公務員の数はそれほど大きくは減ってないはず。まさか、皆さん自治体の金で購読してる雑誌を読んで勉強してたとか?うーん。真相は闇の中だが、考えてみると、確かにこの目次からみて、あまり「遊び」のある内容ではなさそうだし、自分で買うのもちょっとつらいのかもしれない。公務員の皆さんにおかれましては、昇任試験はともかく、よりよい行政サービスのためにどんどん勉強してもらいたいな。休刊にあたって、一市民としてささやかに希望しつつ、合掌。

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