ホストクラブ市場が急成長している、という話
地下経済の専門家にしてネタ系経済分析の大家である門倉貴史氏待望の新作「ソープランドに匹敵するホストクラブの市場規模~2005年の市場規模は8585億円」。独立してますます快調の同氏だが、これはその中でもクリーンヒット!だと思う。
私が同氏のファンであることはすでに書いたこともあるが、ひとくさりだけ。ネタ系経済分析の大半は大きく分けて「経済効果」型と「市場規模」型に属するが、同氏のレポートはどちらかというと後者のほうが多いと思う。前者よりも納得しやすい根拠を提示できるが、それでもかなりトリッキーな領域だ。一歩間違えば「週刊○○」のルポライターみたいになっちゃう。そのあたりのさじ加減がうまいのだな、門倉氏。必ずミクロの「市場相場」から入って積み上げた市場規模予測は「迫力満点」。
本レポートも門倉節が炸裂。内容はぜひ本編をご覧いただきたいのだが、これもひとくさりだけ。タイトルにもある「2005年の市場規模」8,585億円は「店舗型」のもののみを指す由。出張ホストを含めればその市場規模は1兆円を超えるとか。不勉強にして「ホスト」と「出張ホスト」のサービスがどのようにちがうのか知らないが(あまり知りたくもないが)、とにかくすごい金額。アンケート調査結果から、客層の7割はホステスと風俗嬢で、有閑マダムはわずか、としている。何をもって「有閑」と定義しているかはわからないが。それよりもこのアンケート、客層に学生だのフリーターだの無職だのが入っていることに注目。いったいどうやって資金を。ううむ。
風俗嬢の平均消費性向が全国サラリーマン世帯よりも高い、というのも目を引く。女性48人に対し門倉氏が独自に行った「調査」に基づく値とか。まさに「体当たり」だな。さぞかし高くつい…あ、ちがうか。風俗嬢のほうは独身の可能性が高いだろうが、サラリーマンのほうを単身者世帯で比較してるのかどうかは確認していない。きっとやってるんだろう。
本レポートの中で最も注目すべきは「図表5 ホストクラブを頂点とする風俗産業ピラミッド」。これすごい。男性客がキャバクラや風俗店など各業態で支払ったお金の大半がホストクラブに流れているという資金の流れを示した図。これを門倉氏はこう喝破している。
「風俗に遊びに来た男性客の払ったお金が風俗嬢を経由してホストクラブに流れている弱肉強食の食物連鎖」
その連鎖の頂点に位置するのがホストクラブだ。「百獣の王」というか「男の中の男」というか。運よくこの連鎖から逃れている私としては、「男性客」の資金源が何か(ゼネコンを通して流れてきた公共事業の資金なんかが入っていないか)とか、ホストクラブに流れた後(その金がまた風俗に流れていたりすると面白いのだが。ブランド品なんかで海外流出してる可能性もあるな)とか、そういうあたりに興味がある。
しかしまあ、この分野ではもはや誰も追いつけない確固たる地位を築いたね、門倉氏。同氏こそ、食物連鎖の頂点のそのまた上に位置する人、なのかもしれないな。今後さらなるご活躍を期待。やはりこの分野では「エンターテナー」さんたちを無視することはできないはず。せっかく「BRICs経済研究所」なんだし、少なくともBとRとCあたりからはすでにかなり入り込んでいるんだろうから、そのあたりもぜひご調査いただければ。今後とも要チェック!
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Comments
ホストクラブの利益って、ホスト本人に流れてるのか、それともホストの収入はさほどでもなくて多くは経営者に流れてるのか、どっちなんでしょうね?
あと、そろそろ若い女性向けにイケメン喫茶なんてのができるんじゃないかなあと思ってるんですが。一号店はもちろん池袋で。w
Posted by: Baatarism | March 21, 2006 01:18 PM
イケメンかどうかは不詳ですが、「執事喫茶」が3月24日に池袋にオープンするそうです。
http://butlers-cafe.jp/
Posted by: くりおね | March 21, 2006 02:45 PM
>くりおねさん
情報、ありがとうございます。
やっぱり場所は池袋なんですね。(笑)
Posted by: Baatarism | March 21, 2006 04:16 PM
コメントありがとうございます。
Baatarismさん
ホストクラブとホストの収益配分は、記憶が正しければレポートには記載がなかったかと思います。今後のリサーチに期待、ですね。
くりおねさん
うわさの執事喫茶、いよいよオープンですね。行かれるご予定はあるのでしょうか。男は行きにくいだろうなぁ。というか、メイド喫茶も行きにくいんですけど私的には。
Posted by: 山口 浩 | March 23, 2006 12:11 PM