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March 09, 2006

議事録つまみ食い:六本木ヒルズがなければホリエモン事件はなかった、という話

前回一部に好評だった「議事録つまみ食い」、図に乗ってシリーズ化することにしてみた。第2弾はこれ。

2006年3月3日の参議院決算委員会における民主党の佐藤雄平議員の質疑にぶっ飛んだ。

議事録がまだアップされてないみたいなので、自分で配信映像から起こしてみた。ほんの一部なのだが。

最近国会の動画配信が気にいっていて、いつもつけっぱなしにしているので、さまざまな議員さんの質疑を目にする(あの永田議員の「追及」もライブ配信映像で見た)。中には「時間つぶし」というか、「金返せ」といいたくなるような出来のもあったりするが、ともあれ十人十色でなかなか面白い。今回のようなおもしろ質疑に出くわすこともあるわけだし。

質疑というのは、その定義からして、質問と回答で成り立ってるはずだ。以下はそのうち佐藤議員の「質問」をひとつだけピックアップしたもの。まさに「つまみ食い」。議事録を自分で起こしたので、細部にはまちがいがあるかもしれないが、まあだいたいこんな感じだ。国会での質問というのは、だいたい長い。とてつもなく長い。しつこいようだが、以下はひとつの「質問」だ。

…まあ、あの、同じ、この、格差の中で、その、これも与党のほうからも出とりますし、私なんか特に、福島県の会津でございまして、まあ今日ここにも、地方から出ている国会議員の先生方いらっしゃいますが、まあ特にあの、東北新幹線に乗って毎週、行ったり戻ったりしております。そうしますと、大宮を中心に、郡山から乗って大宮に来る、そうすっともう、ビルが林立してるんです。猛烈に。もういっときの隙間もない。で、東京に来るとそこらじゅうで、まあその建設工事が行われている。まあ、大宮を過ぎるとだんだんさびしくなって、街の灯も少なくなってくる。まあ、こんなことでいいのかなと、冷静に考えてみますと、小泉内閣が発足をした時に、竹中大臣が中心となって、国土政策の本質を実は変えましたよね?特色ある地方と、都市の再生と、ということで、むしろ、えー特色のある、都市というよりは、都市の再生に力を入れちゃったと。

発言の途中からだが、これより前は前の質問に関するコメントやら時間の関係で質問を一部省略することの言い訳やらだ。で、上記の部分だが、まあ言いたいことはわかる。角栄以来の「均衡ある国土の発展」ていうやつだ。地方に予算をよこせといいたいならはっきりそういえばいいのに。蛇足だがどうもこの人、「冷静に考えてみると」が口癖らしい。その割にちっとも「冷静に考え」てるとは思えない、というのが次に出てくるあたり。質問は続く。

ですからあのとき、直轄で確か8箇所やって7箇所が東京で1箇所が名古屋ということで、まあ、冷静にあれ私も考えてみると、都市の再生をしなければ、今の実はホリエモンの事件は起こんなかったんじゃないかと。なぜならば、六本木ヒルズ作っちゃったでしょあれ。六本木ヒルズがなかったらば与野党とも苦しまなかったんじゃないかなと思うんですけれども。

本気なのかねこの人は。「ホリエモン事件」が六本木ヒルズのせいだって言ってるんだぜ?森ビルの営業妨害、になるのかどうかわからないが、一種の「爆弾発言」じゃないか、と思ったりする。これって言ってみれば、ロッキード事件は国会議事堂のせいだ、とか、永田メール事件は議員会館のせいだ、と言ってるようなものじゃないか。「ネタ」で言ってるのかもしれないが、ならば貴重な審議時間をこんなことに費やしていいのか、という問いを一有権者として発したい。この人がこう発言することによって日本国民はどんなメリットを受けるのか?と。これは飲み屋の与太話ではない。多額の税金がつぎこまれた国会の審議なのだ。まだ質問は続く。

まあこれも冷静に考えてみますとね、私は、あの、こういうことだと思うんです。あの都市の再生をして、この4年間で実は東京にこの8万人ずつ人口増えてんでしょ?結果的には都市の再生が人口減少時代にどんどんどんどん東京を大きくしてしまったんです。そして、あ、少子化対策担当大臣もおられますけれども、少子化対策を直すには、一極集中をね、これ崩せば、直せば直っちゃう。
ご存知?

「爆弾発言」第2弾。ご存知?と聞かれても困ってしまうではないか。聞いていたときも、この時点で何がいいたいのかだいたい想像がついたのだが、いやまさかそんなことを国会議員が国会審議の場で、と祈るような気持ちになったのを思い出した。しかしこの人、話題がぽんぽん変わるね。しつこいようだがまだひとつの質問の途中だ。

なぜならば、出生率の一番低いとこどこだか知ってますか?東京だべ?高いとこ福島1.5。まあ、地方のほうがはるかに出生率が高いんです。で、東京がどんどんどんどん低いんです。0.9なんです。ですからこの一極集中が進んでいくと、500年後、900年後、900年後にはこれ日本、日本に、日本の人口、日本人がゼロになっちゃうんです。これはたぶん、子供を1人で作った人はいないと思います。ですからゼロになっちゃうんです。

…やっぱり。「日本人がゼロになる」発言はことばのあやとしてもだ、東京より地方のほうが出生率が高いという事実を「だから一極集中を是正すべきだ」という論拠に用いるとは。真剣にこの問題に取り組んでいる人が聞いたらさぞかしがっくりするだろう。ネタなのではないか?と思われた方、ぜひ映像をご覧いただきたい。「東京だべ?」のあたりなんか、真顔どころか、得意満面なのだこの人は。そうでなきゃ「子供を1人で作った人はいない」なんて発言が出ようはずもないではないか。まだ質問は終わらない。

だから本当に、国土政策とかすべてのところで私は、その、人口減少時代、さまざまなところが複雑に私はからんでいる、まあそういうところを考えると、私は、今、最も大事なことは、ある意味では、均衡性のもった、日本の国土、これはもう総理大反対だと思いますけれども、しかしそれはなぜかというと今のようなこと、それからもうひとつは文化、あーこれは、あーその、藤原正彦さんがゆっとります。日本はやっぱり、田園風景から生まれた日本の文化が東京を作ってんだよ、またこないだは梶原拓さんという岐阜県の知事会の会長が、の励ます会があった。そのときあの人の私は一番思い出、江戸時代は東京200万だった。今、東京1,200万だ。1,000万人はずーっと先祖をたどれば岩手県であったり、熊本県であったり、地方からみんな来てるんだと。だから、その昔は地方から東京にどんどん仕送りしてたんだと。で、人口も少ない、過疎化になって、じいちゃんばあちゃんしかいないところに今こそひ孫が東京に来てたんだから、逆に仕送りしてもらいたいよと、ま、そんな話もしておりましたし、またこの、電気の話で恐縮です、この、あとでまた豪雪の質問をしようかと思ってますけども、豪雪の問題ってのはこれは、東京の問題と同時に、ま、ある意味では、豪雪地帯の問題でもあるんです。まあ今でこそ、原子力発電、ガソリンの発電、油の発電になっとりますけれども、その昔は、ほとんどやっぱり、水力発電なんです。私どもの福島県では今最大の豪雪地帯である、只見町なんてもうたいへんなんです。しかしあの、雪がなければ、30年前50年前までは、東京の電気は実は、つかなかったはずです。まあそんなことを考えると、あたしぁやっぱり、井戸を掘った人、これはやっぱり電気を使うときは、まあ東京の人にも含めて、思い出してもらいたいなと。こらやっぱり福島からも新潟からも岩手からも、地方のひとつの集約が東京になってるんだなと。

雰囲気はわかるんだが、じゃあ何を求めているかというと、ぜんぜんわからない。従来の「均衡ある国土の発展」は公共事業を地方にばらまくことを意味したが、この人はじいちゃんばあちゃんに仕送り、といったところからみて、社会保障とかの予算をよこせということらしい。地方分権に対する牽制、なのだろうか。繰り返すが、金をよこせというのは別に後ろめたいことでもなんでもない(そもそも所得再配分は政府の主要な機能の1つだ)のだから、もっとはっきりいったらいい。何も50年前やら200年前やらを引いてみたり文化論を持ち出したりする必要はない。そういうものを持ち出すと、かえって後ろめたいんじゃないかと疑われる。いうまでもないが、ここまできても、「質問」は出てこない。

まあそんな思いも、ちょうど今、一極集中、がどんどんどんどん進んでる中で、もう1回考え直さなきゃいけない時代が、やってきてるんじゃないかなと、思うわけでありますけれども、その、地方についての、総理のご所見があったら、お伺いしたいと思います。

やっと出た。ここまでひっぱって、やっと出た質問が「地方についての総理のご所見」だって。地方の何について聞きたいのさ。ここまでとうとうとしゃべられて、いきなり「ご所見」とかいわれたって何を答えたらいいのかわからないではないか。いらんネタかます前にきちんと質問を説明してくれよ、とつっこみたい気がする。

といっても、別に小泉首相に同情する必要もない。回答もこれと似たようなものだ。このあと「議論」は、地方が東京のようになったら面白くない(当たり前だしそんなことになるわけがない)とか、自治体合併で「おらが村」がなくなるのが問題だ(守るべきなのは地域住民のコミュニティなのであって地方自治体組織ではない)とか、企業の本社が東京にあるから公共事業をやっても東京に吸い上げられる(民間企業にどうせいっつうのさ)とか進んでいく。だからこの制度のここをこうすべきだという具体的な議論は一切なく。

…ふぅ。疲れる。面白うてやがて哀しき、だな。

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