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April 12, 2006

日銀、歌舞伎町へ行く

最近日本銀行が公表した「外国人労働者の送金実態に関する調査」が面白い。

といっても、日銀が直接やったものではなく、三菱UFJリサーチ&コンサルティング㈱(UFJ総研、ダイヤモンドビジネスコンサルティング、東京リサーチインターナショナルが経営統合したもの)に委託して行った調査だ。この調査の面白いところは、実際に街頭で外国人にインタビューしてまとめているところ。調査ポイントをみると、こんなあたり。

東京圏
○中国向け送金の調査
 ・中国大使館(港区元麻布)
 ・知音中国食品豊島区西池袋
 ・永利(中国料理店) (豊島区池袋)
 ・知音新宿店(新宿区歌舞伎町)
 ・JR新大久保駅

○韓国向け送金の調査
 ・韓国領事館(港区南麻布)
 ・韓国広場(スーパー) (新宿区歌舞伎町)
 ・千葉ベデル教会(千葉市中央区中央)
 ・JR新大久保駅
 ・大阪入国管理局(大阪市中央区谷町)
 ・韓国総領事館(大阪市中央区西心斎橋)
 ・JR鶴橋駅

この分野にはうといのでよくわからないが、素人目にはなかなか「ツボ」を押さえた選択のように思われる。で、また内容がなかなか面白い。以下いくつかつまみ食い。

韓国人は男女比がほぼ35:65と女性が過半数。20代~40代に集中。最も多い滞在目的は「就業」(約25%)、約半数が送金を経験しており、帰国時持ち帰り分を含めると1人あたり年間に平均約250万円、年間総額で1,232億円が流出している。送金方法で最も多いのは「店や友人に現金を預託」でほぼ半数。銀行を利用するのは3割。

中国人は20代が最も多く韓国人より若めで男女比は55:45と男性のほうが多い。最も多い滞在目的は「留学」で約4割が送金を経験しており、帰国時持ち帰り分を含めると、1人あたり年間に約210万円、年間総額で2,571億円が流出している。で、送金方法が銀行と郵便局経由が9割。

中韓両国で計3,802億円が流出している、ということになる。けっこうな金額といえば金額。男女比とか年齢構成のちがいも興味深いが、特に面白いのは、中国人の9割が「銀行・郵便局で送金」と回答していること。一般的なイメージとはかなりちがう。だって、友人とかに預託する人が多い韓国では、一般的な送金手数料は1,000円そこそこくらいなのに、中国で銀行なんかを通すと5,000円以上かかったりするのだ。9割の人がこれをまじめに負担しているとは、申し訳ないが正直なところ思えない。だって、この調査によれば、中国人でも韓国人でも、大半の人は日本での年収が100万円以下なんだよ?これはきっと、本当のことを言ってないね。

想像だが、中国の人のほうが、この種の調査を「信用」していないのではないだろうか。当然、摘発とかとは関係ない旨説明して調査してるんだろうが、そういう「お題目」を信用できない「お国柄」なのかもしれない。となると、このあたりはやはりかの門倉貴史氏の出番か。しかしまあ、日本銀行がこの問題に関心をもって調査したこと自体は歓迎すべきことだし、意味のある結果だとは思う。舵取りが難しい時期でもあるし、街の「風」を感じる中央銀行であってもらいたいものだ。

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