非公開会社株式評価のための予測市場
予測市場の当然ありうべきアプリケーションの1つに株式の評価がある。特に非公開企業の株式評価においては、いわゆる専門家の評価があったとしても、それが人によってけっこう異なるのは充分ありうることだ。誰しも聞きたいにちがいない。「みんなはどう思ってるんだろう?」予測市場にうってつけの問題だ。
それを実現するサービスが登場している。「Numeria」という企業だ。
正式社名はNumeria Management LLC。2003年設立。アメリカはニュージャージー州プリンストンにある。要するに、非公開企業の株式評価を、独立したアナリストたちからなる予測市場で行うサービスを提供する企業だ。「独立したアナリスト」って誰よ?というと、どうも各業界、各分野から募集した専門家のようだ。いわゆるfinancial analystとは限らず、技術なんかの専門家もいるらしい。やりたい方は書面審査やら面接やらを経て契約するようだ。まあそうだろう。評価のためには内部情報が必要だろうから。何人ぐらいいるのかはよくわからない。取引が活発に行われる限りにおいては必ずしも多人数である必要はないはずだが、表にはあまり出したくないんだろうな。
サイトの説明によると、評価のプロセスはこんな感じ。まず、評価を依頼した企業から与えられた情報を元に、各アナリストが自分の評価を提出し、それが全員にシェアされる。その後は当該株式を仮想市場においてマーケットメーカーとの間で取引しながら価格が収斂していく先を見極める。マーケットメーカーについての説明はないが、文章の雰囲気はなんとなくだが「人間がやってる」感じに読める。同時に意見交換も行われていて、アナリストはそれらをもとに自分の評価を修正していくようだ。一連のプロセスは当然ながら非公開で行われる。
アナリストには報酬が支払われる。その水準はわからないが、事柄の性質、およびアナリストに求められる資質からみて、それほど安くはないのではないか。ただし、アナリストのインセンティブが単に報酬だけでなくreputationもあるみたいな説明がサイトにあるから、極端に多額ということでもないんだろう。おこづかいかせぎ、ぐらいなのかな。このやり方なら、アナリストの業務は企業評価であって、そのパフォーマンスに連動した報酬を受け取るというしくみだから、賭博とされるおそれはないということになるのだと思う。日本でもこの手は使えるのではないか。
ブログもある。この記事は、6月19日付のWall Street Journalに予測市場が取り上げられた、という話。そういえば6月27日付の朝日新聞でも取り上げられてたが、WSJの記事に「インスパイヤ」でもされたんだろうか。
※2006/6/28追記
こちらの記事もご参照(5ページ)。同じ企業のことが取り上げられている。書き方が具体的なのでこのほうがわかりやすいかも。
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