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July 02, 2006

「ブログがジャーナリズムを変える」

いただきものなので宣伝。

湯川さんがこれまで「ネットは新聞を殺すのかblog」で書いてこられたことなどをベースにしたもの。「ブログってはやってるよね」というタイプの人、「ブログって何?」というタイプの人、「ブログなんてジャーナリズムの名に値しない」というタイプの人、主にそういう人たちに向けて書かれたものと理解した。3部構成で、第1部、第2部は、ネットをめぐるメディア論、参加型ジャーナリズム論などに関して、ひととおりの情報をコンパクトに整理したうえで、これが単なるうわべだけの動き、一部だけの動きなんかではないことを説明している。読みやすい。こういう「一人よがりでない文章」は、媒体に関わらず文章を書く人なら参考にしたいところ。

第3部はブログ界隈で関心を呼ぶかもしれない。題して「ネットにやられてたまるか」。既存メディア側からの反撃か、と思った人は、読んでから反論しよう。ご自身のものを含む記者ブログ炎上の話が出てくるが、それでも対話のチャネルを持つことが重要との主張は堅持されている。別に既存マスメディアの情報のほうがネットの情報より優れているとかいっているわけではないし、既存マスメディア企業がネット企業に対抗してどうの、というあたりも実は本旨ではない。それよりも、ネットを含むメディアの将来像のイメージや、その中で企業や個人がどんなふうになっていくだろうか、といった、より全体像に近い図を描こうとしているようにみえる。

客観的にみて、湯川さんという人は、既存マスメディアの中にあって、ネットなりネットでの言論なりといったものについて、例外的なほどに深く理解している人なんだろう。ブログでもだいぶ叩かれたりしているが、既存マスメディアに対して不満やら怒りやらを持っていて、本気で状況を変えたいと考えている人なら、せっかく歩み寄ってきている湯川さんのような方は、むしろ「味方」にすべきと私は思うんだが。ただ、私見だが、どうも湯川さん、タイトルの付け方がいちいち「刺激的」になってるという要素がある。この本の「ネットにやられてたまるか」もしかり、ブログの「ネットは新聞を殺すのか」もしかり。そこがある意味「商業メディア的」なのかも。そのあたりが「琴線」に触れちゃう人が少なからずいるのではないか。

この本のどこかに私の名が出ているらしい(だから戴いたのだと思う)のだが、斜め読みのせいかよくわからなかった。まあいいや。それも本筋ではないだろうし。ともあれ、お勧め。ご意見に賛同する人も、しない人も。

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Comments

すみません。山口さんの所属先が古いままで印刷されています。増刷がもしあれば訂正しますので。ごめんなさい。

Posted by: 湯川 | July 04, 2006 06:07 PM

湯川さん
お気になさらないでください。ご紹介いただきありがとうございます。というか、どこに出てました?いまだに発見できずにおりまして。

Posted by: 山口 浩 | July 05, 2006 03:07 AM

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