かくてちょいワルジジイの時代がくる、という話
外房の海辺の町に行った。かつてはサーフィンなどで知られたビーチリゾートだ。いやもちろん今もそうなんだが、今回妙に目立ったのが高齢者の皆さん。
高齢者が目立ったのは、おそらくは盂蘭盆という時期のせいだ。その町には霊園があって、東京あたりから特急電車で大勢の人たちがやってくる。かくいう私もその一団に混じって霊園に行ったわけで、合同法要なるものを初めて経験した。大部屋に集まった人数は総勢200人を超えるだろう。卒塔婆は見分けがつくだけで6種類が入り混じるなんでもあり状態。サービスの提供者側は差別化しているつもりが、顧客にとってはどうでもいいという典型的な事例だ。アメリカなんかだとメガチャーチとかもあるわけで、規模の経済の追求自体が宗教として堕落だとは思わないが、みていてどうしても「spiritual」というより「ritual」なものを感じてしまう。この話題は立場上差しさわりがあるとやなのでこのへんで。
とはいえ、霊園を離れて町に戻っても、高齢者の姿が目立つという印象は変わらない。若者は海辺にいるらしいのだが、それにしてもあまりにぎわっているというふうにはみえない。町を行きかうのは、地元の元気なじいちゃんばあちゃんと、特急電車でやってきたらしい元気なじいちゃんばあちゃん。大声で話し、笑い、ぞろぞろとあたりを歩き回る。
考えてみれば、ビーチリゾートというのは、ある意味高齢者が住むのに悪くない場所だ。豊かな自然、ゆったりした雰囲気。冬もまあまあ暖かいし、夏休みになれば子供や孫たちが泊まりに来てくれるかもしれない。まるでフロリダ、ではないか。
アメリカあたりだと、年金目当てだかなんだか、高齢者をターゲットにした町づくりをするところがけっこうあったりする。日本でもそういうコンセプトは可能だろうか。高齢者だと医療やら介護やらにコストがかかるから、それと比較してどうか、というところだろうが。
そういえば、最近のAERAに、中高年のサーファーが増加、という記事が出ていた。ターゲットにすべきは健康な高齢者か。海辺のリゾートマンションを拠点に日々サーフィンに明け暮れるじいちゃんばあちゃん。けっこうかっこいいかも。少なくとも、そう悪くもないような気がする。「ちょいワルオヤジ」をもてはやす昨今だが、早晩「ちょいワルジジイ」が注目される時代がくるのではないか、と無責任な予測を垂れ流しておく。
※上記の結論部分で「ちょいワルババア」と書かなかったのは、どうもこの人(↓)を連想してしまうからだ。いくらサーフィンでがんばってもこの人には勝てない気がするし。
※追記
念のため。サーファーの皆さんが悪人であるといっているわけではない。「ちょいワル」の「ワル」も「悪い」という意味そのままではないはず。そこんとこよろしく。
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Comments
バイクにも高齢者の波が押し寄せつつあります。リターンズのほか、50代以降の新規参入組です。
経済的に余裕のある年代が、一定クラス以上のバイクを購入するため、大型バイクの免許取得者数と販売台数が増加しつつあります。
かつてはワルな子供が暴走行為をして、三ない運動をはじめとする社会的迫害をバイク業界は受けてきたのですが、社会的に発言力がある大人が乗るようになり、都心の二輪車駐車場問題など、早期解決が期待されています。というか、どんどんチョイ悪大人が増えてくれることを、個人的に期待しています。
Posted by: クーイ | July 10, 2006 04:47 PM
クーイさん、コメントありがとうございます。
バイクも、でしたね。大型が人気というニュースは私も見ました。大人がきちんと遊ぶ社会、というのは今後の日本にとってひとつのキーワードですよね。
私も期待しています。
Posted by: 山口 浩 | July 10, 2006 11:07 PM