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August 08, 2006

死者の街

ブログやSNSのような、最近のネットサービスには無料のものが多い。たいへんけっこうなんだが、ちょっと気になることがある。

気にすべきことなのかどうかも実はよくわからないんだけどね。

当然の話だが、無料のネットサービスは、ユーザーにとって維持費がかからない。だから1人がいくつもアカウントを持ってたり、アカウントを作ったはいいが放置されてるなんてケースも多い。それはそれでいろいろあるわけだが、今回気になったのは、ユーザーが亡くなった場合だ。この種のサービスはたいていパスワードで保護されてるし、そもそも存在すら知られてないケースも多いだろうから、他人が勝手に「遺品」を整理することはあまり期待できない。となると、ユーザーの死後、ブログやらSNSのページやらは、そのまま残されることになるのではないか。それどころか、ブログペットみたいな自動書き込み機能がついたツールが導入されていた場合には、主なきまま更新され続ける、なんてことも充分考えられる。

このあたりから、妄想が広がった。イメージしたのは、墓地。もし死んだ人の数だけ墓を作っていったら土地がなくなる、なんて冗談がある。実際には一定期間たつと墓は整理され、新たな墓地として利用されるのだろうが、ネットの世界ではそういったことは行われない。とすると、ネットの世界において、生きている人のサイトの数に比べて死んだ人のサイトの数が増えていき、やがて後者が大多数を占めるようになる日がくるのではないか、という妄想だ。

おそらくは検索エンジンなんかで、生きている人のサイト(つまり最近更新されたサイト)が前に表示されるようにすれば、問題の大半は解決するんだろう。ただ、上にも書いたように、最近は自動的に更新されるサイトも少なくない。ブログにコメントやトラックバックがつくのも「更新」に入るのだろうか。要するに、サイトのオーナーが亡くなった後でも「生き」続けているサイトが増えてくるかもしれない、ということだ。

そういうことがあったとして、それがじゃあ悪いことかといわれれば、そうでもない、という気がする。この点に関しては前にこんな文章を書いたことがあるが、特に、死を控えた人にとって、ネットの「中」で生き続けるというのはけっこう魅力的な考えなのではないだろうか。死後何年もたっているのに、サイトは検索で上位にくる、なんていうことがあったとしたら、文字通り草葉の陰でうれし涙にむせぶ人がきっといると思う。

とはいえ、もしも検索上位の多数が「死者」のサイト、みたいな状態になったとすると、それはやはり問題ではないだろうか。それに、「遺品」なのに遺族の目にふれないままだったり、するのも、ちょっと考えさせられてしまう。

というわけで結論がある話でもないのだが。考えすぎという気がしなくもないのだが。というわけでお盆にちょっとだけちなんだネタ、終了。合掌。

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Comments

ひと昔前はネット上のコンテンツなんて不安定きわまりないモノだったと思うのですが、だんだん変わってきましたね。
無料サービスのアカウント管理って、定期的な存在確認をしているようなところはあるんでしょうか? いまは単にそこまで考えていない、というか、ユーザーの命数>>サービスの寿命という暗黙の前提があるような気がします。(あるいはチープ革命万歳で考えなくていい、とか)
リアルの「墓」と同じで、受け継いで世話をする誰かがいれば残っていくように、リンクならぬ縁故が切れたら引き継ぎを募ってみる、誰も継がなかったら地に還る、というのもアリかな、と思いました。

Posted by: stanaka | August 08, 2006 05:30 AM

参考までに、本人が死んだ後もネット上でページが行き続けている著名な例です。

http://www.teknix.jp/
http://www2.diary.ne.jp/user/109599/

Posted by: Toru | August 08, 2006 02:05 PM

コメントありがとうございます。

stanakaさん
このあたり、実はユーザーアカウントは「誰」のものであるべきか、といった、法学的に新しい課題を含んでいたりします。
法は社会を映す鏡でもありますから、私たちがどんな社会を望むか、という問題でもありますね。

Toruさん
お知らせありがとうございます。最初のほうのはなぜかうまくつながりませんでしたが。あとのほうの方は、今も訪れる人がいることをうれしく思っているのでしょうか。だとしたらいいですね。

Posted by: 山口 浩 | August 09, 2006 09:07 PM

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Tracked on August 29, 2006 09:50 AM

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