「実名」の時代
ここ数日、オーマイニュース関連でいろいろあれこれ書いてるので、「実名」とか書くと、「!」という人がたくさんいそうだが、ぜんぜん関係ない、オンラインゲームの話。
しかも古い。
「中国、オンラインゲームに「実名登録」義務化へ」という話。記事は4月のものだし、数多くのブログで取り上げられていたから、別に新しい話ではまったくなく、この種の話題に関心のある人はもうすでにご存知のはず。
要するに、中国でオンラインゲーム参加者に実名と身分証番号の登録を義務づける制度が6月に始まる、という話。国家新聞出版総署による規制で、「オンラインゲームにおぼれる若者を減らすため」だとか。これだけでも驚愕ものだが、さらにこの国らしいのはここから。
公安省の協力を得て登録内容を調べ、もし虚偽が見つかれば、接続できなくする。未成年が遊んでいるゲームの種類や接続時間に関する親からの問い合わせにも応じるとしている。
親からの、って、聞くかよ、親が。などと思うが、この国のことは正直よくわからない。私など、「公安省」とかいわれただけで震え上がってしまうのだが、人民の皆さんはしたたかで、
中国各紙は「他人の身分証番号でも接続は可能」「プライバシーが侵害される」など、実名制の効果や意義を疑問視する意見を紹介。ネット上で他人の身分証番号リストを有料で公開するサイトの出現を心配する声もある。
のだそうな。とはいえ、ウェブサイトとブログも登録制になるとかいうニュースもあったから、そんなサイトも摘発の対象になったりするのだろう。この一連の話、その後の話をあまり聞かないが、実際にはどうなってるんだろうか。
上で「ぜんぜん関係ない」とか書いたが、こんな古い記事を思い出したのは、やはりここのところ「実名」話に触れる機会が多かったせいだろう。正直なところ、同じ「実名」話でも、日本の「深刻度」はこの国と比べれば「問題」にすらならないくらいだな、なんて思ったりする。実名での「晒し」だってもちろんこわいが、国家権力の介入に比べたらはるかにましだろう。どこまで本当か知らないが、いろいろ恐ろしい話も聞くし。いやだからといって、日本でも実名を原則とすべきとか、晒されてもいいとかいっているのではないので、誤解なきよう。
以上、なんのオチもない話、終了。
しかし、このオンラインゲームの記事、人民網日文版なのに、記事の発信元がasahi.comというのは??だ。国内では伝えられていないのだろうか。こういうあたりからして、そこはかとなく「妄想」をかきたてられたりして。
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Comments
こんにちは。
オンラインゲームと「実名」という、やや私に近いフィールドになったこともあり、こちらにコメントします。(とは言っても、このエントリではMMORPGに限らないよりカジュアルなゲームや、ネットコンテンツ全般までを射程に入れているのでしょうけど)
公共的な「場」を1から醸成していくプロセス、という意味において、オーマイニュースでの問題とMMORPGの開発運営には似ている面があると思い、その観点からあの件も関心を持って見ていました。
ゲームという場でも、プレイヤーの行動には「責任」が求められます。管理運営的な目線では、それを負うのはアカウントとそれに紐づいたリアル情報ということになりますが、プレイヤー/キャラクター同士の目線においては、一貫性がありお互いが明らかにしている属性-例えばキャラクターの「名前」がそれを負うことになります。
そこで重要なのが、プレイヤー同士でのトレーサビリティかと思われます。例えばEverQuestにおいては公式に「改名」サービスが提供されていますが、有料でいろいろ制限があるうえに「○サーバーの何某がホニャララに改名しました」という履歴情報がオープンにされていました(今探したところ具体的なURLがたどれませんでしたが、少なくとも過去にそのようなページが存在していました)。
ふだん表にでているのは別に筆名でもいいのですが、いざという場合には「真の名前」という(あくまで影の)ピボットが効果を発揮するような構造、ということですね。オーマイニュースのシステムをよく理解していないのですが、記者の名前をキーにして検索しニュース一覧から「その人」を見る、というようなことはできないのでしょうか。書き手としての責任を担保するための「実名」効果ばかりが考えられていて、読み手にとっての「記者の名前」という情報の価値が、いまひとつな扱いを受けているように思われます。むしろ旧来メディアでの無署名記事に近いような印象を受けます。
まあ、ブログとは違うメディアなのだよ、ということかもしれませんが。
ぐだぐだな長文で失礼しました。
Posted by: stanaka | September 05, 2006 05:52 AM
どこから話したらいいでしょうな。。。
実は私が一番気になっているのは「重慶市は自宅でネット接続できる市民は現地の公安局に届出登録」、もし重慶市はサンプルとして、もし将来、中国全土展開を行いますと、一般のネット利用者に対して、本当に何の自由も失うとことになりますよ。
Posted by: adorewb | September 05, 2006 10:19 AM
中国では、ウイルス対策ソフトなどのセキュリティ関係は全部公安局の許可が必要です。ネットカフェにも公安が認定したフィルタリングソフトなど指定のものを入れる必要があります。
公安がこういったセキュリティなどに関して指導するのは、中国ではその分野の管轄官庁でありますので当たり前ということになります。
ただ、ネットゲームの実名制度というのは、これまた別の話となります。ネットゲームを中国で運営するに当たっては、必要となるのは出版局の許可です。ケースによっては、出版局が定めたガイドラインにそって、文化庁が運営していくという形をとっています。
中国では韓国と同じく、青少年がネットゲームで遊びすぎるということで社会問題化しており、さまざま規制やガイドラインを出版局の寇小偉という人が中心となって打ち出しておるのですが、この実名制もその内のひとつですね。
日本ではあまり中国のITの裏事情などが入ってこないようですが、中国語のニュースを検索すると、本件についても山ほどヒットすると思いますよ。では、また。
Posted by: 2ch記者 | September 05, 2006 02:59 PM
コメントありがとうございます。
stanakaさん
確かに、あの実名原則は、読み手にとっての価値というより、書き手に対する「縛り」として意識されてるみたいですね。読み手にとっては誰が書こうが関係ない、ということなんでしょうかね。
実際のところどういう読まれ方をしているのかわかりませんが、ペンネームを使う場合は、読み手にとってのトレーサビリティはより重要になるかもしれませんね。
adorewbさん
こわいですね。本当にこわいです。日本だと、仮に市に登録とかしててもまあたかが知れてるでしょうけど、あちらは、ねぇ。
2ch記者さん
お知らせありがとうございます。また教えてください。
Posted by: 山口 浩 | September 06, 2006 01:22 AM