男はあんまりcoolじゃないらしい、という話
「Cool Japan」なんていうことがあるわけだが、どうもそれにも濃淡があるのだな、というあたりまえの話。
台湾では日本文化がかなり浸透している、なんていうのは改めて書くまでもない周知の事実。もとをたどれば占領時代のこともあるわけだが、最近だといわゆる「哈日族」がらみの話になる。(ちなみにだが、このことばの発音を「ハーリーズー」と表記するのはやめたほうがいいと思う。「日」という字は普通の日本人にはかなり難しい発音で、しかも「リー」という音からはかなり遠い)
この現象については酒井亨著「哈日族(ハーリーズー) なぜ日本が好きなのか」に詳しい。この本のAmazonの解説にはこうある。
「哈日族」とは日本発の流行ファッションや音楽、キャラクターグッズ、テレビゲーム、ドラマ、マンガなどが好きでたまらなく、「日本を模倣」する台湾の若者を指す。
私が始めて台湾に行ったのは、記憶が正しければ20年ほど前だ。当時の台湾でも、日本文化はけっこう普及していたわけだが、それは日本料理だのカラオケだのといった「オヤジ文化」が中心で、日本語をしゃべるのはたいてい高齢の方々だった。それが今では若い人たちの文化における日本の位置づけがかなり上がってきているわけだ。テレビ番組における日本アニメの氾濫なんかもあるんだが、今回来て最も驚いたのが、日本語が「外来語」として根付いていることだった。「外国語」ではない。エキゾチックなことばではない。日本でいえば、広告などで「in」とか「at」とかが日本語の中に自然に溶け込んでいるように、「~の」という表現が中国語の文章の中で普通に使われている。商品名にも日本語のものがけっこうあって、日本で英語の商品名が少なくないのと同じような感じ。
前置きが長くなったが、本題は雑誌の話。
雑誌の中に「女性誌」というジャンルがある。女性向けで、主に女性ファッションとか美容とか、そういった情報をとりあげる雑誌であるわけだが、台湾で売られているこのジャンルの雑誌のかなりの部分(ひょっとしたら過半数かもしれない)が日本発のものだ。うろ覚えなんだが、「mina」、「Cawaii」、「Ray」、「Popteen」、「JJ」、「Oggi」、「Cancam」、「Very」、「More」、「Classy」、「Vivi」、「ef」、「non-no」ぐらいはあったと思う。他にもあったかもしれない。だから街中どこへ行っても「エビちゃん」なんかの顔を見かけることになる。これらの雑誌でよくある読者の写真もみな日本人で、「S大学3年級○田○美」だの「O高中3年級○井○夏」だのといった実名入りで写真が載っている。紹介されている商品も日本のショップのもので値段が「○○日圓」なんて書いてあったりして、いったいどうやって買うんだ?なんて思ったりする。
それにひきかえ、だ。
雑誌に女性誌があれば、男性誌というのもある。ある、はずだ。エッチ系とか趣味系のものを除いても、「ポパイ」、「UOMO」、「ランティエ」、「LEON」、「Straight」、「Gainer」、「BRIO」、「ASAYAN」、「Begin」、「BRUTUS」、「Fine」、「FINE BOYS」、「MEN'S CLUB」、「MEN'S NON-NO」、「MRハイファッション」、「Gentry」、「MEN'S EX」、なんてのがあったと思う。にもかかわらず、これらの雑誌の中で、台湾版が発行されているものが見当たらないのだ。見落としていたらご容赦だが、いろいろな場所で探してみたので、そんなにはずれていないと思う。
日本を取り上げている男性ファッション誌はある。「Men's Uno」という雑誌で、台湾で発行されているが、表紙には妻夫木クンの写真が出ているし、表紙にも「日本」なんていう字があったから、たぶんまちがいない。が、これ以外にはなさそう。もちろん、ファッション系雑誌だと男性誌より女性誌のほうが圧倒的に絶対数が多いだろうが、台湾オリジナルであるらしい男性向けファッション誌はそこそこあるようだから、やはり男性誌分野で日本勢は弱い、とみたほうがいいように思う。
ということは、だ。
台湾的にみて、日本の女子はcoolであるのに対して、日本の男子はあんまりcoolではないらしい、ということになるんだろうか。そうでないとするなら、ぜひ男性誌編集部の皆さんには奮起していただいて、Cool Japanを発信していただきたいところ。
またしてもちなみにだが、「ファミ通」も中国語版が発行されている。紹介されているゲームはすべて日本のもので、価格も日本円で載っていたりするんだが、実際にはこれらのゲームは台湾でも買える由。実際、PS2やらDSやらのゲームはちゃんと売られているんだが、店頭にあるのはほとんど日本語版。このあたりのしくみは正直よくわからん。詳しい方ご教示いただければ。
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