議事録つまみ食い:NHKをめぐるアツくてサムい激論の話
一部に割と好評の「議事録つまみ食い」シリーズ。今回は平成17年10月21日(金)開催の衆議院総務委員会の議事録から抜粋してつまみ食い。一連のNHK問題がホットだった当時のものだ。さぞかし「アツい」議論が交わされているにちがいない。と思ったら。
あらかじめおことわり。以下けっこう長文。
午後1時32分開議。この日のメニューはこちら。
本日の会議に付した案件 会計検査院当局者出頭要求に関する件 政府参考人出頭要求に関する件 参考人出頭要求に関する件 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)(参議院送付) 日本放送協会平成十三年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書 日本放送協会平成十四年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書 日本放送協会平成十五年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書 日本放送協会の再生に向けた改革に関する件
ちょっと待て。なんで3年分まとめてるんだ?しかも、一番新しいのでもこの時点から1年半も前に終了した年度ではないか。私はNHKの予算とかについて国会で審議すること自体についていまひとつ納得していないのだが、もしやるならもっとタイムリーにやってくれよ、とは言っておきたいね。3年も前の損益計算書について「ご審議願いたい」なんて言われていったい何をすりゃいいんだ?
で、どんな審議が行われているのか。「日本放送協会~」のところから。NHKの決算内容について、どんなに「具体的」な審議が行われたのか、とくとご覧いただきたい。
まず、麻生大臣が決算の概況を説明する。その後橋本NHK会長が補足説明。かなり長いがご容赦。
○麻生国務大臣 ただいま議題とされました日本放送協会平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書並びに監事の意見書について、その概略を御説明させていただきます。 まず、平成十三年度についてですが、貸借対照表の一般勘定につきましては、平成十四年三月三十一日現在、資産合計は六千九百八十一億円、負債合計は二千六百九十八億円、資本合計は四千二百八十二億円となっております。 資産の内容は、流動資産一千九百三十九億円、固定資産四千八百九十三億円、特定資産百四十八億円であり、負債の内容は、流動負債二千五億円、固定負債六百九十三億円となっております。 また、資本の内容は、資本三千五百九十二億円、積立金五百五十九億円、当期事業収支差金百三十一億円となっております。 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千六百七十六億円、経常事業支出は六千四百四十六億円となっており、経常事業収支差金は二百三十億円となります。 次に、平成十四年度についてですが、貸借対照表の一般勘定につきましては、平成十五年三月三十一日現在、資産合計は七千百十二億円、負債合計は二千七百二十六億円、資本合計は四千三百八十五億円となっております。 資産の内容は、流動資産二千二百二十五億円、固定資産四千八百五十五億円、特定資産三十二億円であり、負債の内容は、流動負債二千七十八億円、固定負債六百四十八億円となっております。 また、資本の内容は、資本三千七百三十四億円、積立金五百四十七億円、当期事業収支差金百二億円となっております。 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千七百四十九億円、経常事業支出は六千五百五十六億円となっており、経常事業収支差金は百九十三億円となります。 続いて、平成十五年度についてですが、貸借対照表の一般勘定については、平成十六年三月三十一日現在、資産合計は七千二百二十五億円、負債合計は二千七百二十四億円、資本合計は四千五百億円となっております。 資産の内容は、流動資産一千二百六十六億円、固定資産五千八百九十四億円、特定資産六十四億円であり、負債の内容は、流動負債二千八十一億円、固定負債六百四十二億円となっております。 また、資本の内容は、資本四千二十三億円、積立金三百六十二億円、当期事業収支差金百十五億円となっております。 損益計算書の一般勘定につきましては、経常事業収入は六千八百二億円、経常事業支出は六千五百九十二億円となっており、経常事業収支差金は二百九億円となっております。 以上について、監事の意見書におきましては、監査の結果、平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の財務諸表は、いずれも当該年度の日本放送協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認められております。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
以上まとめると、「数字は表に書いてある通り。監査の結果はOK。よろしく」だ。これ以上の内容はない。で、次に橋本会長。
○橋本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の平成十三年度、平成十四年度、平成十五年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びに監事の意見書の概要につきまして御説明申し上げます。 初めに、平成十三年度の財産目録、貸借対照表を御説明申し上げます。 一般勘定の当年度末の資産総額は六千九百八十一億五千六百万円、一方、これに対する負債総額は二千六百九十八億七千四百万円、また、資本総額は四千二百八十二億八千二百万円でございます。 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千六百七十六億二千六百万円、経常事業支出は六千四百四十六億一千八百万円でございます。 以上の結果、経常事業収支差金は二百三十億七百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百三十一億二千八百万円となりました。 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十九億八千五百万円、建設積立金繰り入れは三十七億四千四百万円であり、事業収支剰余金は三億九千八百万円でございます。 次に、平成十四年度について御説明申し上げます。 一般勘定の当年度末の資産総額は七千百十二億五千九百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十六億九千六百万円、また、資本総額は四千三百八十五億六千二百万円でございます。 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千七百四十九億九千九百万円、経常事業支出は六千五百五十六億三百万円でございます。 以上の結果、経常事業収支差金は百九十三億九千五百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百二億八千万円となりました。 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は八十三億九千二百万円であり、事業収支剰余金は十八億八千八百万円でございます。 次に、平成十五年度について御説明申し上げます。 一般勘定の当年度末の資産総額は七千二百二十五億一千百万円、一方、これに対する負債総額は二千七百二十四億二千七百万円、また、資本総額は四千五百億八千四百万円でございます。 続いて、損益計算書における一般勘定の経常事業収入は六千八百二億五千七百万円、経常事業支出は六千五百九十二億八千万円でございます。 以上の結果、経常事業収支差金は二百九億七千六百万円となり、これに経常事業外収支及び特別収支を加えまたは差し引いた当期事業収支差金は百十五億二千百万円となりました。 このうち、債務償還に充てた資本支出充当は七十七億六千百万円であり、事業収支剰余金は三十七億六千万円でございます。 なお、各年度における事業収支剰余金は、翌年度以降の財政安定のための財源に充てるものでございます。 以上について、監事の意見書では、平成十三年度、平成十四年度及び平成十五年度の貸借対照表等とも、監査の結果、協会の財産及び損益の状況を正しく示しているものと認めるとされております。 何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
…あれ?なんか説明が似てるぞ。と思って最初のあたりを比べてみたら、こう。
麻生大臣 | 橋本NHK会長 |
まず、平成十三年度についてですが、貸借対照表の一般勘定につきましては、平成十四年三月三十一日現在、資産合計は六千九百八十一億円、負債合計は二千六百九十八億円、資本合計は四千二百八十二億円となっております。 | 初めに、平成十三年度の財産目録、貸借対照表を御説明申し上げます。一般勘定の当年度末の資産総額は六千九百八十一億五千六百万円、一方、これに対する負債総額は二千六百九十八億七千四百万円、また、資本総額は四千二百八十二億八千二百万円でございます。 |
…詳細説明の「詳細」ってのは、端数のことかい!
いやもちろんそれ以外にも経常事業収支差金、当期事業収支差金、債務償還に充てた資本支出充当、事業収支剰余金なんかもふれてはいるが、問題はそういうことではない。
数字の説明だけしかないではないか。これなら資料を先に配っておいて「表の通り。意見があったらどうぞ」で充分だ。この内容をしゃべるために要した時間はいったい何なんだ?
気を取り直して。次に会計検査院からの報告。不動産の売却が進んでいないという話に続いて、不祥事の話になる。こういうのを「不当事項」と呼ぶらしい。
十五年度の決算につきまして、平成十五年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項五件でございます。 これらは、職員の不正行為による損害が生じたものでございまして、主な三件を御説明いたしますと、検査報告番号二一七号でございますけれども、これは、放送番組の制作に当たるチーフプロデューサーが、番組制作費の支払い決定に関する事務に従事中、知人と共謀し自己の担当する番組において仕事をさせたことといたしまして、知人の銀行口座に振り込ませ、番組制作費を領得するなどして損害を与えたものでございます。また、検査報告番号二一八号でございますけれども、これは、営業担当の職員が、受信料収納の事務に従事中、訪問集金で支払いを受けた受信料を領得したものでございます。そして、検査報告番号二一九号でございますけれども、これは、経理担当の職員が、現金及び預金の出納事務に従事中、協会の銀行口座から不正に現金を引き出すなどして、これを領得したものでございます。 なお、このうち二一八号及び二一九号につきましては、十六年九月末までに損害額のすべてが補てん済みとなっております。
ここで番組の途中ではありますが橋本会長より発言が。NHK新生プランと財政の状況について説明。「会長である私が先頭に立ち、あらゆる改革を進め、新生NHKを築き上げる決意でございます。NHKへの格段の御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」と締めくくる。最初にお詫び申し上げ、とか言ったらどうかと思わなくもないが、まあいわゆるひとつの予定調和。
ここから質疑。
まずは自由民主党の三ッ矢憲生議員。
…これもNHKがみずからの不祥事をきっかけに招いた事態とはいいながら、今の受信料制度を揺るがしかねない深刻な事態だというふうに思っております。 まず、この現状につきまして会長の認識をお伺いしたいと思います。
さっき言ってたじゃん聞いてなかったのかよ。というか、そもそも「深刻な事態」として真っ先に挙げるべきなのは、受信料制度の崩壊ではなくて視聴者からの信頼の喪失だろうに。ともあれ三ツ矢議員の関心はもっぱらNHKの増収にある模様。質問はさっそく支払い督促のほうへ。
この点につきましては、ぜひ慎重に御対応いただきたいなというふうに思っております。あくまでも視聴者の納得が得られるような形で手続を進めていただきたいというふうに考えております。 この点に関してもう一つお伺いしたいと思いますが、この支払いの督促はまだこれからということだと思いますが、いつごろからどのようなところを対象にして始めるのか。これは近く実施されるというふうに考えてよろしいんでしょうか。それから、督促に踏み切った場合に、それによってどの程度の受信料の増収といいますか、費用と効果の問題もあると思うんですが、どの程度の増収を見込んでおられるのか、それにつきましても、もしお答えになられるようでしたらお願いしたいと思います。
「ぜひ慎重に」というのは視聴者への配慮を求めたのかと思ったら、やっぱり関心は増収に。さらに続く。
本当に効果があるのかどうか、その点、よく見きわめていただきたいと思いますし、逆に、費用の方ばかりたくさんかかってしまって余り効果が上がらないというようなことでは元も子もない話でございますので、ぜひそこは慎重に御検討いただいて、確実に増収が図られるというようなことを見きわめた上で御対応いただければというふうに思っております。
増収できなければ「元も子もない」とおっしゃる。そこまでいうか。次の自由民主党の佐藤勉議員の質疑は面白くないので飛ばして、その次は公明党の赤松正雄議員。不祥事をなんとかせいという類の話はやっぱり面白くないが、その次に選挙報道の話が。何かと思ったら。
○赤松(正)委員 次に、NHKの原田総局長、石村副総局長が、さきの総選挙報道に関連しまして、九月十三日の会見で、NHKは正確で迅速な当確判定とわかりやすい開票速報を目指しました、その結果、小選挙区、比例代表を含めて当確ミスは一つもありませんでした、今後もさらにわかりやすい報道を目指していきたい、こう述べているのをNHKのホームページで見たのですが、まず、この正確なというのは当たり前の話だろうと思うのですね。問題は迅速さだと思うのですね。 その観点から出口調査等を充実されたと思うのですけれども、そういったものも含めて、今回の報道でかかった費用は幾らだったか。民放では出口調査の費用だけでも五億円とか六億円という話があるのですが、端的に、ちょっと質問時間が短くなってきましたので、そのかかった費用だけについてお答えください。 ○原田参考人 お答えいたします。 今回の第四十四回衆議院選挙の報道に際しましてかかった費用は、当日の開票速報、それからそれまでの選挙取材などを合わせまして、これは全国分でございますけれども、およそ十五億円というふうに見込んでございます。このうち、事前の世論調査、それから当日の出口調査、この分が合わせて七億円余りでございます。 ○赤松(正)委員 民放より若干高いという、それだけのお金を払っておられる。NHKが選挙報道に関して非常にそれこそステータスを確立しているということはよくわかります。私たちも、NHKが当選確実と打つということがいかに大事かということは骨の髄までしみております。 その上で、実は、今回だけじゃなくて前回から、私、兵庫県の公明党の代表をしているわけですが、兵庫県で数少ない小選挙区の二つがどういうわけか非常に当選確実の発表が遅い。どうなっているんだ。これは何か自分の地域のごくわずかなことを言っているんじゃないのかと思われるかもしれませんが、実は、これは客観性のないことを言っているわけではなくて、そういう選挙報道についての、正確に、ある大学の機関が調べたものを持っておるわけです。 具体的に言いますと、兵庫八区、私どもの幹事長の当選というのについては、要するに民放が九時半に当確を打ったのに、NHKは二時間後ですよ、二時間後。大体、選挙というのは、入れた時点でもう当落決まっているんですから。正確どうこうというのは、時間をずらせば正確に決まっているんですよ。だから迅速さというのが大事だ。だからこそ、たくさんのお金をかけて出口調査なるものも最近やっているんだろうと思います。しかし、いかにしても遅い。 本当に、見ている人は、民放が打った、もう当選だと思っているのに、いつまでたっても出てこない。これは、選挙にかかわらない人は余り関心ないかもしれないけれども、当事者は余り当選したという気がしないと言うんですよ。物すごく苦しめられる。だけれども、票を見たらそんなの最初からわかっているわけですから、そんなでもないんです。そういうことを思わせてほしくない。 しかも、私が何でこう言うかというと、あのときにNHKに随分電話が行っているわけです。非常に失礼な対応をしているわけです。私どもは、そんなことありません、きちっとやっていますと。もうNHKに金払わないぞと言う人が多いんですよ、これはちょっときつい言い方ですけれども。 今申し上げたような、そういう正確さ、迅速さ、迅速さにおいて大いに問題あり、こういうことを指摘したいと思いますが、文句ありますか。
おーいただの苦情かよ。そういうのは国会ではなくて、NHKのお客様相談室にでも行ってやってくれ。選挙報道において、「当確」を出すのは、事実を伝える報道というより、放送局としての判断を示すことに近いわけで、いってみれば付加サービスだ。それが民放より2時間遅れたからいったいなんだというのだ。「大体、選挙というのは、入れた時点でもう当落決まっているんですから」というのはその通り。分析が2時間遅れたって選挙結果に影響はない。まったくない。まちがった場合に与える混乱を考えれば、責任が持てるまで発表を控えるのが当然だ。この人たちにどんな損害があったというのか。それも1つの選挙区だけの話ではないか。それがわざわざ国会の貴重な審議時間を使って追及することか。「文句ありますか」というなら一有権者として答えよう。文句あるぞ。おおいに文句ある。…NHKの選挙報道はけっこう迅速であるといった回答に対して、さらに質問は続く。
今、個別具体の話は触れられませんでした。それはいいんですけれども、正確かつ迅速にという原則をあたう限り努力していただいて、大半はよかったんだけれどもあなたの言っているところはちょっと珍しかったよねという話に今聞こえましたけれども、ぜひとも、全体的にNHKらしい迅速さということも要求したい、そんなふうに思います。
「個別具体」ってところでわかる。ただ兵庫八区の当確が遅かったというだけの苦情ではないか。選挙区民とか当該党員とかは知らないが、少なくとも私は、こんな質疑のために歳費が払われているなんて納得しないぞ。しかし赤松議員、ますます好調。さらに質問は続く。
最後に、ぜひ、きょうこの場で言いたいと思ったことは、いわゆる政治というものとテレビとの関係で、最近、私が非常に不満に思うのは、民放がいろいろな形で政治家を登場させます。それはそれでいいんです。ただ、そこで非常におもしろおかしく、政治家の一部分、非常にごく限られた側面というものを大きくクローズアップさせて評判をとっている番組が多いのですよ。私の家族でも、あるいはまた近しい人間でも、あの番組おもしろいなんて言っているわけです。私は、どうかなと不本意に思う場面が多い。
他局のことを言われても答えようがないではないか。しかしどの番組のことを言っているのだろう。やはり「TVタックル」あたりだろうか。あの番組でやってる政治家の時代劇はいくら何でもやりすぎだと個人的には思うが、世間的には好評なんだろうか。
そういう観点からすると、私は、NHKというのは非常に臆病になり過ぎているんじゃないのか、政党、政治家との距離を等距離に保ちたいという思いが強過ぎて、結果、おもしろくとも何ともない番組が多過ぎるのですよ。実際、私はそう思います。 では、どうしたらいいのか。例えば、政治家が出るときに、政見放送、私は比例区ですからそういうものに今や登場できないわけですけれども、そういう小選挙区の候補者の経歴放送等あります。通ってしまえば、あの人が何したかどうなったのか、全く何のさわりもありませんね。これはなかなか難しい問題で、だからどうするという話にはすぐいかないかもしれないんですが、そういう観点で、どうやって政治と、そしてお茶の間を近づけるのか。より真っ当に、正しい日本の政治家の現状というものを知らせるのか。これをNHKが一番真剣にやらなきゃいけないテーマだと思いますよ。
これは、きょうはNHKの会長が出られるからテレビ放送するんでしょうけれども、私に言わせれば、こういうのはどうでもいいと思うんですね。予算委員会だとか、あるいはまた党首討論とかそういうテーマのときはNHKで放送しますけれども、もっとふやして、本当に国会議員がしっかりやっている側面を見せてほしいと思うんですね。
民放が面白いという話といったいどう関係するんだろう。自分がテレビに出られないというやっかみとどこがちがう。NHKに「TVタックル」の政治家時代劇のまねでもやれというのか。自分を「TVタックル」に出せというなら話す先はNHKではなくテレビ朝日じゃないか。比例区選出の自分にも政見放送をさせろというならまだわかるが、どんなに長い時間出演しても、面白くなかったら誰も見ないよ?
例えば、ほんの一例ですが、憲法調査会、非常に大事なテーマ、今、五年終わって憲法特別委員会になっていますけれども、これはいかなる委員会とも性格が違うんです。どこが違うのか。いわゆる政府、大臣と議員とのやりとりではなくて、国会議員同士の意見の披瀝のし合いっこをやるんですよ。これは、私はそれこそほぼ五年所属していますけれども、本当におもしろい。ですから、そういうところを例えば報道するとか、一つの提案ですけれども、そういう工夫をしてほしい。
いやそういうのを面白いと思う人間(私はその1人だが)は、最初っから国会TVを見てるって。地上波のテレビ局があまり放映しないのは、当たり前だが見る人が少ないからだってば。
次に、民主党の田嶋要議員。この人はけっこう詳しいらしく、NHKの子会社役員の数、本体に比べて子会社の利益率が高い話に続いて、役員報酬の話。
もう一点だけコストの方の質問をさせていただきたいんですが、これはお配りをしていない紙でございますが、役員報酬等の資料も若干ちょうだいをいたしました。その中に、会長、副会長の報酬とかそういうさまざまな数字がありますが、経営委員会委員の報酬のデータもちょうだいをいたしたわけでございます。 これは事前通告はしておりませんが、その数字を見ていて、それと、放送法の二十二条の方には何が書いてあるかというと、「委員は、」中略ですが、「その勤務の日数に応じ相当の報酬を受けることができる。」そういうふうに、勤務の日数に応じてとはっきり書いてあるわけですね。 そういうことを踏まえて昨日、おとといいただいたデータを拝見いたしますと、経営委員会というのは十二名から構成される、委員のお一人の年額の報酬というのが五百六十三万円ですね、委員長は七百四万円、そういうデータをいただきました。それでどのぐらいの頻度でやっているかということですが、月二回、一回は二時間から三時間というふうにお伺いいたしました。つまり、月に大体半日、年間六日働いて五百六十三万円いただいておるというのがその法律に書いてある日数に応じた相当の報酬ということなのかなという感じがいたします。 まあ、いろいろ難しい議論をされておられる方で、それぞれの御見識とかそういったものを踏まえておられますから、この数字自体、何とも私にはわかりませんけれども、こういった数字を情報公開をしっかりしていただいて、そして、今申し上げた法律の文言からすると、若干というかかなりというか、私個人的には違和感を覚えるわけですが、その辺はいかがでしょうか、会長。
年間に実働6日で年収563万円。1日あたり938千円。1日の労働時間を8時間とすると時給にして11万7千円。「世界最古の職業」にも勝る高給ぶりだ。しかも、この人たちには本職が別にある。いってみれば「お小遣い」なわけで。もちろん、その6日以外にもなんらかの意味でNHKのために「働いて」いるのではあろうけど。絶句する人はけっこう多いと思う。
次に登場した民主党の寺田学議員は、会計検査院からNHK学園への天下りの件、白黒テレビの受信料の件、在日米軍の受信料支払いの件、NHK交響楽団の役員の件。答える側もけっこう苦しげだが、そのあたりは原文をあたっていただきたく。
その次の民主党の西村智奈美議員は、「例の問題」に。
さきのETVの問題で、NHKが東京高裁に陳述書を提出されておりますけれども、その中でこういう記述があるそうでございます。つまり、例年、NHKは、予算が国会に提出される前後の一月から二月、与野党の衆参議員のうち四百五十人の議員に対して、衆参合わせて四百五十人の議員に対して、予算案と事業計画について説明をしているということでありますけれども、審議する委員会は総務委員会でございます。ここに今、委員が四十人、参議院の方は恐らく二十人程度かと思いますけれども、合わせても数十人くらいしかおりません。四百五十人の議員に説明をするというのは余りに多くないでしょうか。来年のこの予算審議に当たって、何人くらいの議員の方に説明をされるおつもりでしょうか。
衆参併せて450人!?たしか国会議員は定員全部いたとしても722人だから、その過半数じゃないか。450人の了解を事前にとっているなら、もう審議する必要なんかないじゃん。だったらこの日の審議はいったい何なんだ?中川NHK理事が答える。
…私どもは、このような活動を非常に重要なことだと思っておりますので、来年度の予算につきましても、またこのような活動をしたいというふうに考えております。
重要、か。そうかなぁ。どう考えても無駄が多すぎじゃないか?しかし、そうだとすれば、この「重要なこと」を説明されなかった「残りの272人」の立場はどうなる。切ないね。あまりにも切ない。
その次の横光克彦議員の質疑は面白くないので飛ばして、次は日本共産党の塩川鉄也議員。この党の人らしく具体的かつ執拗な尋問口調。事実関係を質していって、番組編集に関係のない国会担当局長が特定番組の番組内容改編の場に立ち会っていると指摘。そこまではいいが、悲しいかなそこで時間切れ。検事ごっこもいいが、その先までいかなかったら意味ないのに。前の人とかもそうなんだが、なんとも中途半端感が。せめて冒頭の数字読み上げ合戦やってる時間をこういう議論に回せばいいのに。
次の社会民主党の重野安正議員は、紅白歌合戦の制作費について質問。
NHKが今でも力を入れております、国民的行事と言ってもいいと思うんですが、年の夜は国民をテレビの前にくぎづけにするわけでありますが、国民的番組となっている昨年末の紅白歌合戦、これについて、なぜ決算内容を国民に明らかにしていないんでしょうか。私がもらった資料の中にはそのことが書かれておりませんものですから、その点をお伺いします。
なんだかやけに力が入っている。よほど紅白歌合戦が好きなんだろう。で、原田参考人より回答。
NHKは、個別の番組制作費については、原則として公表をしておりません。制作費を明らかにすることで、現場の自由な発想で演出を考えたり出演者を決めたりということを制約しかねないという側面もあるというふうに考えております。 ただ、御指摘のように、紅白歌合戦、不祥事の舞台ともなったということで、透明性も問われております。紅白歌合戦の直接制作費、お答えいたします。およそ三億円でございます。
へえ3億円かぁ。高いとみると、意外に安いとみるか。そのあたりの土地勘はないのでわからないが、もっとわからないのが、重野議員がこの質問で何を知りたかったのかということ。3億円とわかったらどうなるというんだろうか。小林幸子の衣装にもっと金をかけろというんだろうか。次に、会長、副会長、専務を除く退任役員の退職慰労金問題。これに対しては、その3名とは責任の重さがちがうから支払ったとの回答。
これで質疑は終了し討論へ。最初にことわっとくが「討論」だよ「討論」。全文を丸写ししてみる。
○実川委員長 これより各件を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。塩川鉄也君。 ○塩川委員 日本共産党を代表して、二〇〇一年度、二〇〇二年度、二〇〇三年度の各NHK決算について反対の討論を行います。 NHKの受信料は、国民・視聴者の信頼と理解のもとで支えられてきました。 しかしながら、二〇〇一年度にNHK内部でいわゆる芸能プロデューサーによる不正経理が発覚しました。その額は一億九千万円に上っていますが、NHKは、不正経理に気づかなかったとして、二〇〇二年度、二〇〇三年度の決算においても不正経理の会計処理は行われませんでした。こうしたNHKの姿勢は不自然であり、隠ぺいの疑惑を払拭することはできず、この決算を承認することはできません。 一連の不祥事に対するNHKの対応の誤りが視聴者の不信の出発点となり、その後発覚したETV番組改編問題、政治介入疑惑に対するNHKの対応とあわせ、受信料支払い拒否・保留の激増を招いたことは明らかです。視聴者の不信、疑念の解消に真正面から取り組まないまま、新生プランで受信料の強制的な徴収を打ち出すのでは、国民・視聴者の理解は得られないということを指摘し、NHK決算に対する討論とします。 ○実川委員長 次に、重野安正君。 ○重野委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、二〇〇一年度、二〇〇二年度、二〇〇三年度のNHK決算の承認に対し、反対の討論を行います。 反対の第一の理由は、国民・視聴者の負担する受信料により維持運営される公共放送でありながら、芸能部門のプロデューサーの公金横領などの不正行為による損害が発生したことです。会計検査院の〇三年度決算検査報告によれば、一九九七年二月から二〇〇一年一月までの間、NHK本部も含め、職員の不正行為による損害約五千百九十七万円が発生したことが不当事項として指摘され、さらにその報告が著しく遅滞したという問題があります。 反対の第二の理由は、いわゆるNHK不祥事に伴い引責辞任した役員のあり方です。ほとぼりが冷めるのを待ったかのように、引責辞任した役員十一人が任期二年で計九千万円に上る退職金を受け取り、NHKの関連企業や業界団体へ天下ったり横滑りしたりしています。この間の受信料不払いや契約解除の原因者とも言えるにもかかわらずです。一方で、職員に対しては、給与の削減に加え、三カ年で千二百人削減の要員削減が迫られるなど、上に優しく下に厳しい責任のとり方は納得のいくものではありません。 反対の第三の理由は、NHK改革の方向性の問題です。受信料は国民の信頼のバロメーターであり、不払いをいかにとめるかが信頼回復につながるのではなく、不信の原因を取り除く改革を実行することが不払いをとめる力になると考えます。しかし、新生プランでは特集番組作成をめぐる政治介入の反省や公共放送の生命線である放送の自主自律という課題にほおかむりのままで、視聴者に対し法的手段ありきの姿勢をとることは本末転倒です。 NHKの再生は、視聴者が理解し共感してくれるものでなければなりません。NHKが市民の負託にこたえる公共放送の担い手として真に再生するよう強く求め、討論を終わります。 ○実川委員長 これにて討論は終局いたしました。
…あれ?討論?言いっぱなしじゃん。討論してないじゃん。ただ主張しただけじゃん。別にこの主張に賛成とか反対とかじゃないんだが、「討論」っていうんだから討論しようよ。誰か答えてやれよぉ。それとも、誰も答えてくれないとわかっててやったのかこの大演説?
午後5時1分散会。約3時間半。詰めてやれば、30分とはいわないが、1時間ぐらいで済んだ内容、かも。「アツい」人が入れ替わり立ち代り登場するわりに、読んでいるとなぜかサムくなるのはなぜだろうか。
※2006/10/4追記
そういえば、2006年8月4日付朝日新聞に、他の番組の制作費に関する話が出ていた。元ネタは2006年1月発表のNHK2006年度予算だそうで、上記の質疑の後方針転換したのだろうか。これも議員への「ご説明」の結果変わったものなんだろうか。
ドラマ
・大河ドラマ「功名が辻」(43分):6,110万円
・連続テレビ小説「純情きらり」(15分):810万円
芸能・音楽
・「NHK歌謡コンサート」(43分):1,680万円
・「鶴瓶の家族に乾杯」(43分):1,250万円
情報・ドキュメンタリー
・「ためしてガッテン」(43分):1,680万円
・「週刊こどもニュース」(32分):710万円
教養
・「その時 歴史が動いた」(43分):1,650万円
教育
・「おかあさんといっしょ」(25分):320万円
報道
・「厳密な単価は出せない」だそうな。
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