攻めか、守りか
GoogleがYouTubeを買収すると発表した件については、すでにいろいろな専門家の方々がいろいろと書かれていて、私としてはふむふむと読んでお勉強しているところだ。私ごときがこの段階で何か書くのもどうかと思うのだが、ちょっとわからないことがあるので、その点だけ書いておくことにする。
かいつまんでいうと、これは「攻め」なのか「守り」なのか、ということだ。
当たり前じゃん攻めだよ攻め。というご意見の方もあろう。梅田さんは、「ウェブ進化論」の主張に沿った内容と考えておられる模様。渡辺さんは、今後の展開の可能性なんかについてもいろいろ示唆していたりする。一方、リスクファクターとして著作権処理の問題を指摘する方もいれば、「金はあっても考えなし」だと斬って捨てる人もいる。
で、ここから先がわからないところ。
このケースで私が気になったのは、GoogleがすでにGoodle Videoという同種のサービスを展開していることだ。YouTubeには負けるとはいえ、けっこうな普及ぶりだし、有料コンテンツなんかもあって、YouTubeとは少しちがった路線でもあるのだが、おおまかにいえば、まあ同業といっていいのではないかと思う。
この買収劇についてポジティブに論評されている方は、GoogleとYouTubeがいっしょになった姿を前提として、期待される新サービスに関する予想や、それが社会にどんなインパクトを与えるか、といった分析を提示されていることが多いと思うのだが、それらは、GoogleとYouTubeが別資本の企業のままであっては実現できないものなのだろうか。どちらの企業もすでに世の中に存在している。いっしょになることによって初めて可能になるサービスというのは、実際のところあるんだろうか。YouTubeにはこういうexitしかなかった、ということもあるのかもしれないけど。
とはいえ、何の意味もない金の無駄遣いだというのもちょっと過小評価しすぎのような気がするし。
私にはこの件はよくわからないので、思い出したことなど。
この件で思い出すのは、特許について昔聞いたことだ。特許のかなりの部分は、自分たちのビジネスを侵害から守るためではなく、自分たちがやらないことを他社にやられるのを防ぐために使われるという。防衛特許の一類型だ。たとえば採算性の問題なんかから自社ではやらないが、他社にやられても困るという場合に、「手を封じる」ために取得する特許。
企業買収にも、これに似た「防衛」的なものがあると思う。競合相手を買収することによって競争を回避する手法。ひとつまちがうと独禁法的にまずいわけだが、それ自体有効な戦略ではあるし、別に金の無駄遣いとも思わない。今回のケースがこうした観点に照らしてどうなのか、私にはわからないわけだが、どうもそういう意味での「守り」っぽい印象を受けなくもない、というのが今のところの感想。とはいえ、よくわからないということを書きたかったというのが本旨なので、ちがうぞ、という話があればぜひお聞きしたい。
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