日本にもやっと「保守」が根付くかも、という話
GLOCOMのサイトに出ていた「Conservatism, Long in Shadows in Japan, Starting to Take Root」という記事。フォーリン・プレスセンター評議員の石塚雅彦氏によるもので、もとは2006年10月16日のNikkei Weeklyに出たものらしいのだが。
申し訳ないが、なんかいまいちわからん。
睡眠不足で頭が回らない、なんていう言い訳はなしにしよう。私は頭が悪いのだ。知識がないのだ。不勉強なのだ。なんかピンとこないのだ。
こう始まる。
Being "conservative" has long been an unsavory thing in this country.
あれ?そうだったっけか?まあいいやふうんそうなのかいやあ勉強になるね。
ヨーロッパにおける「保守」はEdmund Burkeによる
In essence, his conservatism focuses on preserving things of the past worth passing down to future generations, and creating innovations in a gradual manner that does not wreak havoc on them.
という思想であるとの指摘。これは日本とはまったくちがったものであるという。こっちはまあわかる。そりゃあ当然だろう国がちがうんだしなどと思いつつ、そうかEnglish speakerの皆さんにはこう語らないといかんのかと納得しておく。でも、その理由を説明した部分を読むと、
From this viewpoint, it is possible to say that authentic conservatism has never taken root in Japan because its nation-building, since the start of its modernization after the mid-19th century Meiji Restoration, through to the rapid economic development of the late 20th century, has been so high-pitched and marked by continual spectacular change - including its rise as a major military power followed by the devastation of a traumatic war and the phenomenal postwar rise to an economic powerhouse.
なんだそうだ。うーん。なんか政治と経済をいっしょくたにしちゃった印象。ここでいうちがいは欧州と日本とで政治面じゃなくて経済の成長余力に差があったせいなんではないかと思ったりするのだが、これも不勉強のせいか。政治の部分に限ると、そういうのを日本における保守というのだよ、で済まないのかな?保守を「unsavory」というのは、政治がというよりはメディアにおける政治の取り上げられ方が、ということなんではないのか?それにしても長いねこの文章。これで1文だぜ。
で、このあといかに日本における対立状況がアメリカとかとちがうかみたいなことを延々と。詳細は本文をお読みいただきたく。最終的にいいたいのは、安倍政権の誕生をそれまでの流れとちがった新しい動きととらえるべきだ、ということらしい。立花隆氏のコメントを引いてる。
Takashi Tachibana, a veteran journalist whose muckraking article precipitated the downfall of then powerful Prime Minister Kakuei Tanaka in the early 1970s, said that Shinzo Abe, Japan's newly installed prime minister, is the first serious nationalist and conservative leader in the postwar period.
安倍首相が初の戦後生まれの首相であることは重要なポイントである、との指摘があって、文章はこう結ばれる。
Given the lingering memories of deep trauma that have gripped those who knew the war and its consequences, which really divided this country's history, comparable to the Great Depression or Sept. 11, 2001, for Americans, Abe's emergence as a leader could represent a whole new political paradigm.
戦後生まれの「ナショナリスト」である安倍氏が首相になるということで、日本にもやっと「本物」の「保守」が根付くようになるのではないか、という結論らしい。なんでも時のリーダーのせいにする、由緒正しき評論スタイルといえなくもない。外国人ならともかく、日本に住んでる日本人であるなら、それ以前から日本人の考え方がだんだん変化してきたあたりを知らないはずもなかろうに。それに、安倍氏の「主張」としていわれてきた内容の多くが自民党結党以来の悲願という意味で「先祖帰り」だという見方があるのもご存知だろうに。
それと、この論調は最近の首相の「柔軟」というか「現実的」というか、そういったスタイルとも不整合っぽく思うがどうなんだろうか。一時的なものだという人もいて、いやそうではないという人もいるが、ともかく変わった、という印象の人が多いと思う。過去の言論からネタをたくさん仕入れて手ぐすねを引いていた論壇の皆さんが拍子抜けして、もう振り上げちゃったこぶしをもてあましている件についてはちょっと前にも書いたが、もしかしたらそのあたりがトラウマのない「戦後生まれ」の身軽さ、ということなのかも。
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