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November 15, 2006

GDP速報報道を報道してみる

昨日発表された、2006年7-9月期のGDP第1次速報値に関する新聞各社の報道を比較してみた。各社のスタンスのちがいがよく出ていて面白かったので。といっても、そんなこたぁ先刻承知、の方も多いだろうけど。

といってもあまり細かく、長々とやっても面白くないので、見出しと第1段落だけを比較してみる。記事の第1段落は、記事全体の要約になっている。忙しい人は、ここだけ読む。だから重要なわけだ。同じ事実を伝えるのに、見出しをどうつけるか、文章をどう並べるかによって、与える印象はまるでちがう。当然、これは意図しているわけで、各社がこの事実を「どう伝えたいか」という考えのあらわれだ。「客観的」「中立公正」な報道なんてものはない、ということがよくわかる。第1段落は、たいてい、3つか4つの文章に分かれているので、第1段落は3つのパートに分けてある。

というわけでスタート。

新聞名朝日日経読売
見出しGDP、7期連続でプラス 個人消費はマイナスに転落7-9月期実質GDP、年率換算2.0%増7-9月期GDP、年率2・0%成長…事前予測上回る
文1内閣府が14日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価の変動を除いた実質GDP(季節調整済み)は、前期比0.5%増(年率換算2.0%増)と7四半期連続のプラス成長となった。内閣府が14日発表した7―9月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算で2.0%増だった。内閣府が14日発表した国内総生産(GDP)速報によると、2006年7~9月期のGDP(季節調整値)は、物価変動の影響を除いた実質で前期(4~6月期)に比べて0・5%増、年率換算で2・0%増となった。
文2輸出の大幅増を支えに伸び率は4~6月期より0.1ポイント改善。プラス成長は7四半期連続。実質成長率は4―6月期の前期比0.4%増(9月11日公表の0.2%増から改定)、年率1.5%増(同1.0%増から改定)に比べ拡大した。7四半期連続のプラス成長で、民間7調査機関の事前予測の平均値である年率1・1%増を大幅に上回った。
文3ただ、個人消費は前期比マイナスに転じ、民間企業の設備投資も2期連続で伸び率が縮小。国内需要が景気を引っ張る回復基調は影を潜め、景気拡大が企業から家計に移るとする政府のシナリオは不透明になった。個人消費がマイナスだったものの、輸出の伸びで外需の寄与度が拡大し、企業の設備投資も小幅な鈍化にとどまった。輸出と設備投資の伸びに支えられ、伸び率は4~6月期(実質0・4%増、年率換算で1・5%増)に比べて上昇し、景気の底堅さが確認された。ただ、これまで堅調だった個人消費が前期比0・7%減と2四半期ぶりにマイナスに転じ、景気が内需主導で本格回復するかどうかには不透明感も出ている。

新聞名産経毎日東京
見出しGDP、年率2.0%増 7期連続のプラス成長GDP:7~9月期、年率2.0%成長 民間予想超す伸び--輸出が下支え ◇個人消費は減少GDP年率2・0%成長 7-9月、7期連続プラス
文1内閣府が14日発表した今年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値によると、物価変動の影響を除いた実質成長率は前期比0.5%増、年率換算では2.0%増となり、7期連続のプラス成長となった。名目では前期比0.5%増だった。
内閣府が14日発表した06年7~9月期の国内総生産(GDP)速報によると、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)は前期(4~6月期)比0・5%増、年率換算では2・0%増となった。内閣府が14日発表した2006年7-9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除いた実質で前期(4-6月期)比0・5%増、年率換算で2・0%増となり、7四半期連続のプラス成長となった。
文2実需の需要項目別では、個人消費が前期比0.7%減、設備投資は2.9%増。輸出は2.7%増、輸入は0.1%減となった。実質成長率への影響の大きさを表す寄与度は、内需がプラス0.1%、外需がプラス0.4%だった。プラス成長は7期連続。成長率は前期(年率1・5%増)より高く、市場予想を上回った。名目GDPは年率換算で1・9%増だった。
文3物価の総合的な動向を示すGDPデフレーターは、前年同期比0.8%の下落だった。1~3月期(年率換算3・2%増)までの伸びよりは低いものの、民間予測平均(年率0・9%)を上回った。輸出が好調で外需が全体をけん引したが、個人消費は2四半期ぶりにマイナスとなり、内需主導の景気回復に陰りが出た。

文1、文2は各社ともだいたい同じ。見解は文3にあらわれる。一瞥すれば、朝日の書きぶりが突出してネガティブであることがわかる。当然、その後に続く文章もそういうトーンになる。全体として記事が与える印象は、白と黒、まではいかなくても、ライトグレーとチャコールグレーぐらいにはちがってくる。

ちなみに、「赤旗」だとこんな具合。
(見出し)個人消費0.7%減 GDP外需頼み0.5%増 7-9月期
(文1)内閣府が十四日発表した二〇〇六年七―九月期の国内総生産(GDP)速報値は、前期(四―六月)と比べ名目で0・5%増、物価変動の影響を除いた実質も0・5%増となりました。
(文2)七期連続のプラス成長ですが、低成長で足踏みしています。
(文3)年率に換算すると名目1・9%増(実質2・0%増)でした。

…確かに、こうも書けるよな。見出しでGDPより先に個人消費をもってくるあたりや、文1で年率換算を書かずに数字を小さく見せようというあたりの「細やか」な努力が光るね。

こういうの、コンピュータで自動的にまとめてくれるサイトとかあったら面白いのに。各社の記事を一目で比較できるように並べてみせてくれるサービスとか、全体を平均するとこうなるという文章を生成してくれるとか。記事を並べて読者が採点できるサイト、なんてのも面白そう。あ、newsingとかってそういうのだっけ?でも、ソーシャルニュースの類でも、同じテーマで各社のニュースを集めて比較とかができるところはなかったように思う。やっぱり比べたいじゃん?

以上、メディアリテラシーって大事だよね、という「なにをいまさら」話、終了。

※2006/11/15追記
そもそもの内閣府の発表を書き忘れていた。こっちは著作権とかいわないだろうから全文。

1.2006 年7~9 月期QEのポイント
[1]GDP成長率(季節調整済前期比)
2006 年7~9 月期の実質GDP(国内総生産・2000 暦年連鎖価格)の成長率は、0.5%(年率2.0%)となった。また、名目GDPの成長率は、0.5%(年率1.9%)となった。
[2]GDPの内外需別の寄与度
GDP成長率のうち、どの需要がGDPをどれだけ増加させたかを示す寄与度でみると、実質は国内需要(内需)が0.1%、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.4%となった。また、名目は国内需要(内需)が0.2%、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)が0.3%となった。
[3]需要項目別の動向(季節調整済前期比)
(1)民間需要の動向
民間最終消費支出は、実質▲0.7%(4~6 月期は0.5%)、名目▲0.7%(4~6 月期は0.4%)となった。そのうち、家計最終消費支出は、実質▲0.8%(4~6 月期は0.5%)、名目▲0.7%(4~6 月期は0.5%)となった。家計最終消費支出(除く持ち家の帰属家賃)は、実質▲1.0%(4~6 月期は0.5%)、名目▲0.8%(4~6 月期は0.5%)となった。
民間住宅は、実質0.1%(4~6 月期は▲2.5%)、名目0.8%(4~6 月期は▲1.5%)となった。
民間企業設備は、実質2.9%(4~6 月期は3.5%)、名目3.0%(4~6 月期は3.4%)となった。
民間在庫品増加の成長率への寄与度は、実質0.3%(4~6 月期の寄与度は▲0.0%)、名目0.3%(4~6 月期の寄与度は▲0.0%)となった。
(2)公的需要の動向
政府最終消費支出は、実質0.1%(4~6 月期は0.2%)、名目0.1%(4~6 月期は▲0.1%)となった。
公的固定資本形成は、実質▲6.7%(4~6 月期は▲6.5%)、名目▲6.2%(4~6 月期は(▲6.2%)となった。
公的在庫品増加の成長率に対する寄与度は、実質0.0%(4~6 月期は0.0%)、名目0.0%(4~6 月期は▲0.0%)となった。
(3)輸出入の動向
財貨・サービスの輸出は、実質2.7%(4~6 月期は0.9%)、名目4.8%(4~6 月期は1.1%)となった。
財貨・サービスの輸入は、実質▲0.1%(4~6 月期は1.4%)、名目3.2%(4~6 月期は2.7%)となった。
[4]デフレーターの動向(前年同期比変化率)
GDPデフレーターは、▲0.8%(4~6 月期は▲1.2%)となった。
国内需要デフレーターは、0.1%(4~6 月期は▲0.3%)となった。
財貨・サービスの輸出デフレーターは4.1%(4~6 月期は3.4%)、財貨・サービスの輸入デフレーターは11.7%(4~6 月期は10.8%)となった。
[5]2005年度のGDP
2005 年度の実質GDP成長率は3.3%、名目GDP成長率は1.8%となった。2005 年度のデフレーターの動向としては、GDPデフレーターが▲1.5%、国内需要デフレーターが▲0.6%となった。内外需別の寄与度でみると、実質の内需が2.8%、外需が0.5%となった。また名目の内需が2.3%、外需が▲0.5%となった。

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