ダン・ラザーの復活についてひとくさり
またもやFTネタ。かつてCBS Evening Newsの看板アンカーマンだったダン・ラザーが例の事件で「失脚」してから1年半ほどたつ。その後のごたごたで今年6月にCBSを退社して、ケーブルテレビのHDNetでニュース番組をもつ予定、という話はWikipediaにも出ている「いまさら」話だが、2006年11月4日付FTが、そのHDNet話も含めてけっこう大きくとりあげていた。
きっかけは11月7日に行われる米中間選挙。Financial Times2006年11月4日の記事タイトルは「Dan Rather, folksy face of election night, finds his heaven」。選挙報道は、かつてラザーの「おはこ」だった。CBSのアンカーマンをおりてしまったので今回の中間選挙は出番がないかと思いきや、どこかの局には出るらしい。どこかはわからないが、と記事にある。復活記念、といったところだろうか。
で、本題は11月14日から始まるHDNetの新しい番組。「Dan Rather Reports」というらしい。このHDNetという局、加入者は400万人ほどの新しい局だ。オーナーのMark Cubanは1959年生まれのドットコム屋さん。ラザーとはずいぶん毛色のちがう人なわけだが、「意外」にもお2人さんけっこううまくいっているらしい。理由はというと:
"Mr Rather was surprised to learn that the dot.com mogul clung to an old-fashioned idea of news as a public service."
要するに、金は出すが口は出さないという、ジャーナリストにとって「理想」的な環境を用意してくれた、ということらしい。CBSでは、広告主の意向に反する報道には圧力がかかったりしたが、HDNetでは、オーナー自らが盾となって、「それなら広告は他で出してくれ」といってくれるのだとか。
私は特段の思い入れもないので、ラザーの再起(一種の「再チャレンジ」だな、これも)についてどうこうということはない。ただ、もし報道どおりににCubanが考えているのだとしたら、世間によくある、ネット業界の人は金勘定ばかりでジャーナリズムなど理解していないという固定観念みたいなもの(是非はともかく、そういうのってあると思う)に対して、必ずしもそういうわけではない、というひとつの事例にはなろうか。
ともあれ中間選挙は間近。「古巣」のCBSでは初の女性アンカーマンであるKatie Couricが選挙報道を仕切る。CBS、NBC、ABCの毎度おなじみの戦いに加えて、復活するラザー節がどう炸裂するかも、ジャーナリズム「業界」の皆さんにはけっこう面白いのでは。
The comments to this entry are closed.
Comments