「リアルオプションと経営戦略」
日本リアルオプション学会編「リアルオプションと経営戦略」、シグマベイスキャピタル、2006年。
基本的には論文集。編集者は早稲田大学の高森寛先生と森平爽一郎先生。これまで高森先生が主催されてきた「金融技術と経営戦略」セミナーで発表されてきたものがほとんど。日本リアルオプション学会の第1回研究大会に合わせ、学会編として出版された。理論的なもの、実践的なものなど内容はさまざま。
一応、目次のご紹介など。
第I部 リアルオプション・パラダイムとその現代的意義
第1章 リアルオプションの基礎―投資の戦略的価値はどう評価するか―
(高森 寛)
第2章 なぜブラック=ショールズモデルはリアルオプション分析に使えないのか?―非完備市場における資産価格決定―
(森平 爽一郎)
第II部 知識フレームワークの新展開と展望
第3章 リアルオプションとゲーム理論を融合する
(今井 潤一・渡辺 隆裕)
第4章 インフラ経営における事業評価制度―リアルオプション価値の計測―
(織田澤 利守・長谷川 専・小林 潔司)
第5章 「リアルオプション思考」で入札制度を改革する
(山口 浩)
第6章 投資戦略と情報の非完備性
(芝田 隆志)
第III部 事例および研究のフロンティア
第7章 復占市場における撤退をめぐるリアルオプション・ゲーム
(後藤 允)
第8章 電力の自由化とリアルオプション
(服部 徹)
第9章 事業リスクと事業成果のシェアリングに係るビジネスモデル―生産装備サービス事業の展開―
(薮谷 隆)
第10章 経済価値評価による戦略的計画と意思決定
(北原 康富)
第11章 モンテカルロ・シミュレーションを用いたハイリスク事業の評価と意思決定の手法
(梅村 秀和・中村 基治)
第12章 石油化学工業における操業中止オプションに関する事例研究
(真野 雄司・竹澤 直哉・竹澤 伸哉)
個人的には第3章、第9章、第10章あたりが面白かった。それぞれ聞いたことのある内容だが、簡潔に整理されていてわかりやすい。
第5章について補足。読まれた方の中には、これはいったいリアルオプションの話なのか、という疑問を持たれる方もいると思う。正直、ちょっと苦しいわけだが、そこらあたりは本文中に一応言い訳が書いてあるのでご参照。この章の概要については、機会を改めてご紹介したいと思う。
The comments to this entry are closed.
Comments
こんにちは。
先日、某学会に出かけたときに配布いただきました。いろんな内容がてんこ盛りで楽しみです。じっくり読ませていただきます(まず5章から)。
Posted by: はぐれバンカー | November 13, 2006 09:00 PM
はぐれバンカーさん、コメントありがとうございます。
私は抜けられない所用で「某学会」には出られませんでした。5章はともかく、他の章はなかなか面白いのでぜひお読みいただきたく。
Posted by: 山口 浩 | November 14, 2006 12:01 PM
を、とうとう出たんですね。
ぜひ読ませていただきます。
Posted by: ひでき | November 14, 2006 01:31 PM
ひできさん
その節はありがとうございました。ちゃんとクレジットしてあります。
Posted by: 山口 浩 | November 14, 2006 02:01 PM
う、うれしです。
さっそくアマゾンで予約しましたよ。
Posted by: ひでき | November 14, 2006 03:47 PM