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November 04, 2006

「ウランちゃん」に活躍してもらおう、という話

日本でどう報道されてるか知らないが、2006年11月3日付Financial Timesのヨーロッパ版の1面トップは、グーグルがCBS、Viacom、Time Warner、NBC、Universal、News Corpといった大手メディア各社と、YouTubeへのコンテンツ配信を認めろという交渉を始めている、という記事だった。「Mr Schmidt told the Financial Times he wanted media companies to be partners and wanted them to combine Google's advertising platform with their content to reach a larger audience.」とある。

このあたりはいわば「既定路線」だし目新しくもないので、まったく関係ないが、その1日前の1面トップの話を。

2006年11月2日付の1面トップは、原発の話。こういう記事が1面トップにくるのはヨーロッパならでは、かもしれない。見出しに「World is urged to build more N-plants」とある。国際エネルギー機関が、来週公表予定の「World Energy Outlook 2006」で、各国政府に対して原発の建設を早く進めるよう促す、とのこと。IEAのレポートがこんなふうに特定の意見を打ち出すことは、IEAの32年の歴史を通じて初めてのことだそうだ。

理由はいわずとしれた環境問題。

The IEA report . . . comes after the Group of Eight developed nations last summer asked the agency to come up with guidance on how governments could bolster energy security and combat global wariming.

という経緯があって。で、検討した結果、

The agency found nuclear power to be cost-competitive with coal and gas, its main rivals, and concluded there were enough uranium deposits to meet renewed demand.

ということになったらしい。

私はこの分野にはまったくうといので実際のところよくわからない。IEAのいわんとするところはまあわかるのだが、ライフサイクルコスト的にどうなのかとか、事故の危険性はどうなんだとか、いろいろありそうな気がする。ただ、専門家にとっては、最大の障害は人々の意識、ということらしい。私を含め、チェルノブイリとか、チャイナ・シンドロームとか、そういうことばが頭をよぎってしまう世代の人がまだたくさんいるということなんだろう。

折りしも、同じ新聞には「Emission Impossible?」という記事も出ている。ヨーロッパ各国で、CO2排出権取引を拡大していこうといった動きがあるわけだが、実際には、供給過剰のため、排出権価格が2006年4月にトン当たり約30ユーロから10ユーロ前後まで暴落し、そのまま低迷が続いている。これでは排出を抑えるインセンティブがない、というわけだ。人為的な「資産」である排出権の価値は、供給のコントロールが難しい以上、人々がいかにそれを必要と考えるかにかかっている。こんな状況では、環境を守るために原発推進は欠かせない、という考え方か。うーん。

日本では、原子力発電がもう1/3を占めているわけで、これ以上原発への依存を増やすとは当面考えにくいが、隣のおっきな国では今後も建設が進むだろうし、そもそも京都議定書のマイナス6%だって絶望的になりつつあるし、いろいろな意味で他人事ではない。太陽光とか風力とか、そういう類がもうちょっと頼りになればいいんだけど、少なくとも当分は無理だ(コストを度外視すればできるのかもしれないけど、このコスト問題自体がつきつめれば国民の意識の問題でもある)。「ウラン」とか「コバルト」とか「アトム」とかいうことばが、何の屈託もなくキャラクター名に使えた時代がうらやましくもあったりするが、もはや後戻りはできないし。

オチもスッキリもなく、どろどろに混迷したままで、本日ここまで。

「ウランちゃん」の活躍ですっきりしたい方はこちらを。いや、あんまりすっきりはしないか。

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