学生のエッセイ その6
先日に引き続き、ゼミ選考のために集めた学生のエッセイ第6弾。今回はこだわりの2篇。
何が「こだわり」かは読んでの楽しみ。まずは1つめ。長文。
「食」について by 流離(さすらい)の鴎 私は中学の頃からプロ野球の千葉ロッテマリーンズのファンであった。しかしその当時(高校生)までは山形県に住んでいたので、当然ながらあまり千葉ロッテの試合を見る機会がありませんでした。しかし、今年大学に進学、東京に住むようになり、我ながら自由の身になったので、千葉の試合に限らず、各地方へ遠征するようになった。そしてその場所にはその地域特有のおいしい食べ物があり、それを食することが私の遠征の楽しみの一つであるのだ。今回は、今年遠征に行ったときに食した地域特有の食べ物を紹介してみたいと思う。 8月8日から13日まで、今度は秋田での楽天イーグルス戦、札幌での北海道日本ハムファイターズ戦を観戦するJRの青春18切符を利用しての個人旅行(とは言っても連れを3人誘った)を行った。これだけ長い日程を、自分達主導で行うのは勿論人生初のことである。若いうちに普通列車のみでの長旅がしたい!というのは自分自身の長年の夢であったが、遂に実現することとなった。秋田、北海道の美味しいものを食らうのも目的の1つに当然入っている。 初日。山形に帰省していた私は千葉県から青春18切符で北上した友人と山形駅で集合することにした。山形駅で会い、新庄行きの普通列車に乗る。そして、早速のお楽しみの時間。私は彼らに昼飯を買っておいてと頼んでおいたのである。もちろん「米沢牛どまんなか弁当」。私が東京に行くとき、必ず新幹線の中で食べる弁当だ。米沢牛のそぼろにタレがしっとりと染み入り、そして山形名産のお米「はえぬき」と見事にマッチする。やはり美味しい。色々話しているうちに新庄駅に到着し、再び乗換え、秋田駅へと向かう。早朝6時、千葉から普通列車を乗り継いできた彼は流石に疲労もピークに達し、熟睡していた。 秋田駅に到着。早速試合が行われるこまちスタジアムへと向かう。到着。暑い。しかし、試合には勝利した。ここで負けていたら当然この後美味しいものを食べる食欲すらなかったかもしれない。仲間達と秋田市内の繁華街へと移動。もちろん入ったのは秋田の郷土料理屋。まずは比内地鶏の焼き鳥を注文。食す。やはり独特の弾力感があって美味しい。鳥のエキスが噛むごとにジュワッと出てくる。次に出てきたのは馬刺し。これが結構生臭くなくすんなりとさっぱり食べることが出来た。そして秋田といえば、きりたんぽ鍋!季節はずれではあるが(笑)やはり秋田に来たからには食べないといけないだろう!と注文。やはり熱かったが、地元のお米「あきたこまち」を利用したきりたんぽのもちもちっとした食感がたまらない!夏でもいけます。そして締めはなんといっても比内地鶏の親子丼である。最高級の地鶏の卵と肉を利用した親子丼は絶品。こちらも口の中でとろけるような肉の柔らかさと甘い卵の絶妙な味に舌鼓を打った。 2日目は温泉に行くことに。「白湯温泉」という名前の通り白い湯の温泉である。保温効果が高いらしく、ぽっかぽかで温かかった。そして湯上がりに用意されているのは湧き水で冷やした冷たい飲み物とスイカである!この冷たさが温泉で暖まった体に染み渡る。この瞬間はなんともいえないほど最高である。そして再び球場に行く道中、「はちみつ工房」というお店に立ち寄る。そこでは自家製の蜂蜜をさまざまな料理で提供していた。丁度甘いものを食べたかったので、蜂蜜シュークリームとはちみつレモンを注文。変な甘ったるさではなく、とてもいい甘さであった。腹ごしらえをした後、ふたたびこまちスタジアムに行く。試合も楽天相手に楽勝であった。試合後、前日とは違う秋田の郷土料理屋に行く。まず注文したのは鰰(はたはた)の塩焼き。鰰は秋田が水揚げ量日本一の魚で、骨は多いもの、魚肉がとても美味しかった。そして「稲庭うどん」。打ちたての太麺はとてもコシが強く、食べ応えがあった。そして名前は忘れたが大根の漬物もとても美味しかった。そして宿は老舗の旅館。久しぶりに畳の上で寝て、のんびりと滞在することが出来た。 3日目、秋田とはおさらばして、青森に向かう。4時間ほどかけて電車で移動し、午後2時頃、青森港に到着する。今回は行きはフェリーでの移動となる。行き先は室蘭。私自身フェリーに乗るのは初めての体験であった。この旅、私は沢山の「初体験」をした。客室はB客室。大人数が入る、ただ寝そべるだけの客室である。そして出港。せっかくなのでデッキに行ってみる。船のまわりには数匹の鴎が漂っている。マリーンズのキャラクターが鴎なだけにこれはいい予感?再び客室に戻ると、これまでの移動の疲れがどっと溢れてきたので仮眠することにした。3~4時間寝て、午後6時。腹も空いてきたので、夕食を注文する。中には素晴らしい幕の内定食もあったのだが、値段があまりにも高いので断念。カレーが食べたい気分であったので、験を担いでカツカレーを注文。普通のカツカレーではあったが。(笑)ふたたびデッキに行き、しばらく佇んでいると、「白鳥大橋」が見えてきた。ライトに照らされた白鳥大橋はその名の白鳥の様に美しい橋であった。そして室蘭に到着したのである。室蘭港でレンタカーを借り、一路札幌市内へと向かう。眠気に襲われながらウトウトしていると、だんだんと明るい街なみが見えてきた。札幌市内に入ったのである。とりあえずホテルにチェックインする。そして、今回の旅の目的の1つであった「ススキノ」に行く。友人の行きつけのクラブに連れて行ってもらい、楽しい時間を過ごすことが出来た。これも初体験。(ちなみに、私は未成年なので、お酒は飲んでない。っていうか全くの下戸である。)そして、このクラブでの出費により予算がだいぶ無くなった(笑)。 4日目、この日は試合がなかったので一日中観光に費やすことにした。そして行き先は「富良野」である。昨日借りたレンタカーで富良野を目指す。2時間ほどで富良野に到着した。丁度お昼の時間だったので、一行は昼食をとることに。「ワインガーデン」という店に入った。やはり北海道に来たのだから北海道らしい食べ物を食べたい!ということで地元のチーズを利用したピザとチーズフォンデュを注文。そして富良野といったら「ふらのワイン」!試飲が出来たので、一口試しにたしなむ程度に飲んでみることにした。ブドウの香りがほのかに優しく、とても飲みやすい感じであった。 そしてピザとチーズフォンデュがテーブルに。濃厚なチーズの匂いが我々の胃袋を刺激する。そして食べてみる。うーん!とろけるような食感!濃厚ながらも口当たりがよく、とても美味しいものであった。 そして我々は富良野「北の国から」のロケ地に移動する。「北の国から」は昔からテレビ番組等で見ていて、とても好きな番組だったので初めてロケのセットを見たときには感動した。生卵のパックで作った屋根、石の家、そして動物達。ラベンダーの香りがする風にウキウキしながら、ドラマの出演者になった気分で楽しく見学することが出来た。そして途中には作者の倉本總氏直筆のメッセージが書いてあり、このメッセージには今も五郎がそこに住んでいるかのような雰囲気を醸し出していた。 黒坂五郎の「石の家」を出発し、ついたのは「アンパンマンミュージアム」。作者のやなせたかし氏は北海道出身である。昔見ていた懐かしいアニメ。アンパンマンの北海道限定のストラップを購入した。そして、店を出て真っ先に目に飛び込んできたのが「ジャムおばさんのジャム工房」。え?「ジャムおばさん」!?「ジャムおじさん」じゃないの?ちなみに全く「アンパンマンミュージアム」とは関係がないらしい(笑)。一行は札幌ドームに向かい、札幌の皆さんと明日の試合の応援の打ち合わせをする。前に北海道から千葉に来てくださった方もいたので、その人とも挨拶をすませる。そして夕食はジンギスカン!自分自身、ラム肉は大の好みなので本場のジンギスカンを食べてみたかった!腹いっぱいジンギスカンを食し、ホテルへ向かう。明日の試合の為に、早く寝た。 5日目と6日目、最も旅の中で触れたくない日である(笑)。何故ならマリーンズがプレーオフ進出をかけた2連戦、2連敗したからである(悲)。この2連戦は今年のマリーンズの試合の中で重要な位置を占めた試合だっただけに、敗戦のショックがとても大きく、食欲すら奪ってしまうほどであったことはいうまでもない。よって割愛させていただきたい(笑)。 とはいっても、6日目は最終日である(笑)あとは帰るだけとなってしまった。帰る瞬間に気づいた!「北海道といえば牛乳!でも、牛乳飲んでねぇー!!!」早速私は土産屋で北海道産の牛乳を購入。一気に飲み干す!あーやっぱ北海道は何でも美味しいな!と満足しつつ寝台列車に乗るのであった。翌朝、盛岡駅に到着。前日はほとんど食べていなかったので、ものすごく腹ペコであった。盛岡といえば盛岡冷麺!体の疲れを一気に吹き飛ばすような刺激ある味であった。そして再び普通列車に乗り、仙台駅に到着。午後3時頃、まだまだお腹がすいている!せっかく仙台に来たのだから、牛タンを食べるしかないでしょ!と仙台で有名な牛タン店「利休」に寄って、「半熟卵ねぎ牛タン丼」を注文。もう、牛タンはおいしすぎる!とってもジューシーで御飯に染み付いた肉汁も最高である。勢いに乗って大盛りを注文してしまったので(笑)かなりお腹いっぱいになった。しかし地元名産の食べ物はその地でしか食べられない!ということで口直しに「ずんだシェイク」を飲んだ。さっぱりしていい味であった。友人とは仙台駅で解散、私は山形の実家に再び戻った。長い一週間が終わった。 この一週間の長旅、マリーンズを応援することがきっかけで様々な所の美味しいものを食することができた。あまり自分から観光や食べ歩きをする機会がなかったので、本当に有意義な時間をすごすことが出来ました。実は10月にも仙台に行ったのだが、エッセイの量がまさかここまで伸びるとは思ってもみなかったので、またの機会にでも紹介できればと思っている。 ここからは少し真面目に「旅と食」について語ってみたい。 「旅」と「食」は切っても切れない関係じゃないかと僕は思う。「旅」をするきっかけというのは一人ひとり様々な理由があるだろう。そして、僕自身「旅」をするきっかけとなったのが「マリーンズを応援すること」であった。ホームの千葉だけで試合を見てもつまらない、様々なアウェーの地に行って、マリーンズを応援したいという気持ちがあったからこその旅である。いろいろな場所を訪れることは、人生の貴重な経験にもなる。そして様々な歴史や知識を学ぶことが出来る。そして「食」。マリーンズファンも地方に沢山いる。たとえば仙台に遠征に行ったときなどはその仙台の地域に在住しているロッテファンの方と「食事」を共にすることで、普通では聞けないような話を聞けたり、それぞれの地域について深く知ることも出来る。こんな貴重な体験を出来るのは私が「旅」をしているからである。ありきたりな日常の生活では出来ない、とても幸せなことであるとつくづく思うのである。そしてこれからも、「マリーンズの応援」を通して全国津々浦々旅してみたいと思うし、それぞれの地域のロッテファンの方々と「食事」を通して様々な交流を図っていきたいと思っている。「食」を通した「人」との温かい交流。「マリーンズ」を通した「人」との温かい交流。僕自身、「旅」を通して様々な地域に沢山の仲間を増やすことが出来たし、自分自身の心の視野もとても広くなった感じがする。これからも「旅」を通して沢山の人と出会い、沢山の美味を食して、たった一度きりの人生を充実あるものにしていきたいと思う。皆さんも長い休みがあったら、ぶらりと「自分の趣味に合わせた旅」に出かけてみてはいかがでしょうか。きっと自分自身の視野が広がり、沢山の人との出会いがあると思います。人生の大きな糧となります。 『 「旅」と「食」は自分の心の視野を広め、そして人との交流を深めることの出来る幸せのツールである。 』
本人も「エッセイの量がまさかここまで伸びるとは思ってもみなかった」と書いているが、実際、長い。実は「長いと思うので提出した文章を削ってくれ」という依頼を受けていて、実際、原文から一部削っているのだが、「旅と食とマリーンズ」への強いこだわりが感じられる。
なかなかの大旅行。大学生でないと難しいかも。それにしてもいろいろとおいしそうなものを食べているではないか。米沢牛どまんなか弁当。きりたんぽ鍋。比内地鶏の親子丼。蜂蜜シュークリーム。鰰(はたはた)の塩焼き。盛岡冷麺。半熟卵ねぎ牛タン丼。ずんだシェイク。これまで登場した学生諸氏の中でも最も「金のかかった」食であろう。うらやましいねまったく。
しかし何といっても出色は「ジャムおばさんのジャム工房」だな。なんと、ジャムおじさんには妻(!)がいたわけだ。おじさんがパンを作り、おばさんがジャムを作る。とすると、当然疑問がむくむくと。なぜ「ジャムパンマン」ではなく「アンパンマン」なのだ!?もしや「ジャムおばさん」は正妻で、そのほかに側室として「餡おばさん」がいるのか!?とすると、アンパンマンは庶子なのか!?今ここに明らかになるアンパンマン出生の秘密!!
…気を取り直して、2つめ。
食
by toko
最近の健康ブームの波で一躍名を上げた「特定保健用食品」という標語。これは厚生大臣の許可を得ないと表示できないものであり、審査が厳しいらしい(参考)。
自分が始めて特定保健用食品(次から特保と略します)を見たのはコンビニで売っている「ヘルシア緑茶」でした。
はじめてみたときはまた新しく商品が出たのか程度の認識だったが、テレビや新聞で取り上げられ友達の中でも何人か(ごくごく少数でしたけど)が飲みはじめてましたね。他の緑茶などに比べて高いものを限られた小遣いの中から無理して買うようなことをしてまで飲みたいと思うほどのものではなかった。自分の健康にさほど気にしていなかったからかもしれない。
「ヘルシア緑茶」は体脂肪を高濃度茶カテキンの力でBMI指数22に近づけるというコンセプトのようです。実際、高濃度茶カテキンが脂質(簡単に言えば脂肪のようなもの)の代謝に関する研究を重ねて科学的に証明されたらしい。どういった研究を重ねてきたかは書いてないのでわからないですけど。もう少し実際の研究結果を載せるなどして情報公開をしてもいいんじゃないかなと。じゃないと、説得力が無い気がするわけですよ。
お茶に続いては、スポーツドリンクとして「ヘルシアウォーター」を販売しているみたいです。
*花王のHPより引用
((BMI指数とはボディマス指数(Body Mass Index)の略。人の肥満度を表すもので22が標準体重、25以上で肥満、18以下でやせていると判断するもの。国によって基準が違うらしい))(Wikipedia)。ちなみに自分は23、ちょっと肥満よりの標準でした。
ヘルシア緑茶などの「特保」商品は特に生活習慣病に対する効能を持ったものを扱っているみたいです。でも、日本人の肥満は肉食文化が入ってくる前からあったことだし、他の生活習慣病は存在したのになぜ今になって?というのが、正直な感想ですね。たしかに今まで以上に外から(外国からの意)の知識や習慣は意識されてるのは事実ですが、何でも信じるのは自分に限らず日本人全体としてどうなのかなと。自分は「何事も適度にというのが一番」なんじゃないかなって考え方なんで。
ロハスも、元々はアメリカの学者の研究により健康や環境に意識が高い人々がいることを発見して、企業家がそれに目をつけて始めたものが始まりであるらしいです。つまり、広まる前は意識の高い人たちだけ実践していたものを大衆へ商売として売り出そうって考えたってことですよね?といういことは、ここまで広まったのは起業家が商売として成り立たせたからなんじゃないかなというのが頭から離れないところです。ロハス食もレストランなどで見られるようになりましたけど、実際それは商売のために考えられたものじゃないかなぁって思うと何か違う気がするわけです。
日本人にはバランスの取れた日本食がある、海外でもヘルシーだの評価を得ているのだしそれで満足できないことはないと思うんだけど。最近の食や健康に対する日本人の反応はあまりに敏感すぎるし、一人暮らしだとどうしても「安いもの」や「楽なもの(コンビニ弁当など)」にはしる傾向があるんで、自分には少しうらやましいですね。
特保とロハスを一刀両断。確かに、ヘルシア緑茶はあまりおいしいとは思わないが、それよりも気になるのがあのCMだ。あれほどわざとらしいベタなCM、最近は珍しいのではないだろうか。飛行機の中で客室乗務員に「僕らは、これで」なんていわねぇよふつう。ともあれ、BMI23の大学生は、まだ「切迫感」が感じられないとしても、まあしかたないか。
それはおいとくとして、茶カテキンの効果について「少し実際の研究結果を載せるなどして情報公開をしてもいいんじゃないかなと。じゃないと、説得力が無い気がするわけですよ」とか書いているわけだが、そういうのは墓穴を掘るね。たとえばこんなのとか、こんなのとかを「ほらこれ」と出されたらどうする?うかつに聞こうものなら、よくぞ聞いてくれましたみたいな顔で、「ほらこの論文見てください。緑茶のEGCG、あ、ご存知でしょうけどEpigallocatechin-3-gallateね、そのEGCGなんですけど、分子レベルでみると、PDGF_-受容体、ERK1/2、MEK1、Aktのリン酸化を有意に抑制するんです。こういうのってPDGF シグナル伝達経路の鍵となる分子じゃないですか。それにEGCGは、極初期遺伝子c-fos, c-junの発現を減少させて、細胞増殖を有意に抑制したんですよ!すごいでしょ?」なんて言われちゃったりするかもしれないんだよ?単純に見えることだって、実際にはけっこう難しかったりするんだぜ。
とはいえ、いいたいことはよくわかる。耳ざわりのいいメッセージも、危機感をあおる警告も、彼らは商売でやっているのだ。商売にとって得になることは強調され、損になることは薄められたり、隠されたりする。彼らの「図式」に乗るとしても、わかった上で乗るようにしたい。そんな感じだろうか。ならば、「一人暮らしだとどうしても」走り勝ちな「『安いもの』や『楽なもの(コンビニ弁当など)』もまた企業がビジネスのために売っていること、そのために環境にどんなインパクトがあるかとか、健康にどんな影響があるかとか、そういうところも考えておきたいもの。日常生活の中に、「勉強の種」はたくさんあるってわけだ。がんばってねー。
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