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国会での議論がどうにかならんかと思う件

国会のインターネット中継をよく見る件については前にも書いたことがある(これとかこれとかこれとか)。何が面白いのか?と聞かれそうだが、面白くて見ているというわけでは必ずしもない。

むしろ逆だ。

この心理をどう説明したらいいかよくわからないが、やや自虐的な行為めいている。よく「こわいもの見たさ」というのがあるが、「まずいもの食べたさ」みたいな。「こんなにまずいものがまんして食べてる自分って」みたいな感じ。国会のインターネット中継を見るのもそれに近い。いってみれば一種の「苦行」だ。もちろん暇なわけではないので、作業をしながらつけっぱなしにしておくというだけのことなんだが、それでも「苦しみ」は充分に味わえる。

何がそんなに苦しいか。面白くないというのはもちろんだが、それだけではない。全部の議論がそうだというわけではないが、ながら見しているだけでも、イライラで身をかきむしるような気持ちになることが多いのだ。いったいこの能天気はどこからくるのかとか、よくしゃあしゃあとこんなこと言えるぜとか、それさっきと同じ話じゃんとか、おいおいそれですますつもりかよとか、どうしていつもこうなんのよとか、ありとあらゆる悪態が自分の中から噴出してくる。内なる悪に否応もなく直面させられ、ダークサイドに堕ちそうになる自分を必死にこらえるのはまさに苦行としかいいようがない。

同じ議論でも、見ていて面白いものはある。たとえばテレビ朝日系「サンデープロジェクト」なんかは、いつも時間切れで消化不良になるとか司会の田原総一朗氏がでしゃばりすぎるとかいろいろ問題はあるが、議論はけっこう面白かったりする。他にもテレビ討論みたいなものはよくあるが、私の知る限り今のところ「サンプロ」が一番いいように思う。きらいな人もいるだろうが、少なくとも、国会での議論よりはるかにましだ。じゃあ国会と何がちがうんだと考えるに、時間制約の影響は当然として、それ以外にポイントは2つぐらいあるのではないか。論点ごとの議論であるという点と、モデレータの存在という点だ。

まず、論点ごとの議論という点について。「サンプロ」の議論は、論点ごとに行われる。論点ごとに、その問題に詳しい(と思われる)参加者が前に出てきて、議論をする。同じ議論を何度も繰り返す時間はないから当然だ。不勉強な質問者はこの時点でふるい落とされる。通り一遍の回答に対しては、さらに突っ込みが入る。お互いに専門家だから、痛いところは分かっている。ある論点について2つの立場があれば、その2つが正面からぶつかりあうことで、双方のメリット、デメリットがよりわかりやすくなる。

これに対して、国会での議論は、基本的に人単位だ。議員が順番に質問に立って、ずらずらと用意してきた原稿を棒読みする。うまい人は感情たっぷりに読む。いずれにせよ、読む。一度にいくつも論点を並べ立てる。特に本会議みたいな場だと特に長い。質問というより演説だ。ずっと見ているとわかるが、各議員の質問内容はかなりのところかぶっている。回答する側も、官僚が用意したであろう想定問答集から最も近い項目の回答を読んでいるわけで、同じ回答を何度も何度もすることになる。いかにも無駄だ。おそらくは、各議員にとって質問の機会は有権者に向けたプレゼンテーションの場としての性格が強いのだろう。閣僚に何を回答させるかよりも、自分が何を質問するかのほうが大事なのだ。はっきりいって、「議論」をするためのやり方ではない。

もう1つ、モデレータの存在について。「サンプロ」の司会者である田原氏は、議論をかなり強引にリードする。論点を持ち出し、発言者を割り当て、ときに他人の発言に割り込んで自説を展開し、つまらない回答は途中で打ち切り、あいまいな回答にはたたみかける。回答する側にとってはかなりやりにくいだろうと思う。田原色が強すぎるようにも思うし、強引さが見ていて不快になることもないではないが、それでも、(田原氏の目からみた、だが)論点のポイントは明らかになるし、議論は進む。少なくとも、国会での議論のように、通り一遍の質問に通り一遍の回答が延々と続くよりははるかにましだ。

国会の本会議や委員会の議長というのは、議論をリードしない。紛糾でもしない限り、やることの大半はタイムキーパーだ。多くの場合、ちがう立場からの議論はかみ合わないことが少なくないが、それをそのままにするから議論が堂々巡りに終わる。結果として、議論は進まないし議論を見ていても理解は深まらない。いろいろな考えがあるんだね、しかわからない。

で、つらつらと思うわけだが、国会での議論のやり方というのは、どうにかならないものだろうか。テレビ番組よりははるかに時間の余裕があるわけだが、それでも会期という限度がある。何より、重要課題はたくさんあるのだ。無駄な議論をしているひまはないはず。

人ごとではなく、論点ごとにものを言いたい人を集めて議論させるというスタイルはとれないものか。その場合には議長のリードが重要になるわけだが、議長に政治家ではない中立的な立場の人が就いて、議論を整理していくようにしたら、けっこう面白い議論になるのではないか。持ち時間を使って地元アピールのためのくだらない質問をする人は途中で打ち切って、議論を深める方向の話を引き出せたら。いちいち発言のために前に出てこなくてもいい。各席にマイクを設置して、議長が発言権をコントロールすればいいだけだ。

…これもただの妄想。もとより実現性などあろうはずもない。かくて「苦行」の日々は続く、というわけだ。見なきゃいいのにね。つい見ちゃうんだな。何なんだろうねこの心理。…ひょっとして、ストレス解消のための「怒るネタ」が欲しいんだろうか。自分が分からんねしかし。

※2007/2/6追記
Bewaadさんによると、国会での議論はどうにもならんということらしい。どうにも夢のない話だ。私は現状の説明をしてもどうにもならんと思うので、コメント欄にも書いた「首相と野党党首をガラスのボックスに入れて、応援なしで3時間ぐらい議論させ」る案を提唱しておきたい。もっと時間を長くとってもいい。どちらかが白旗を上げるまでやらせるのもいい。これぞ「バトル・ロワイヤル」法、だな。

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Tracked on February 05, 2007 at 06:15 PM

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Tracked on February 06, 2007 at 12:41 PM

Comments

ごもっともだと思いますよ。国会の質問って、何のためにあるんだろう。。

Posted by: ひろ | February 05, 2007 at 08:01 PM

全く同感です。

各委員会だともう少し突っ込んだ話をしてなくも無いんですが、根本は同じですよね。

用意された質問と回答を読み上げ続けるという、議論という本質からはかけ離れた姿・・・。

議論は行う人数が少なければ少ないほど深くまとまり易いという側面がある事からも、議決をする場と議論をする場を分けるべきかも知れないとも思います。

Posted by: 名無之直人 | February 05, 2007 at 11:23 PM

コメントありがとうございます。

ひろさん
やはりご本人たちの関心は地元向けのアピールであろうと。特に本会議は。だから事前に質問を渡してあっても、本人がその場で読まないといけない。そうとでも考えないと納得いかない部分があります。

名無之直人さん
あ、それ同意です。議論と議決を分けるっていうの。本会議でしゃべるのは党首とかぐらいでいいのではないか、と思ったりします。ガラスのボックスに入れて、応援なしで3時間ぐらい議論させたら、なんて妄想しちゃいますね。

Posted by: 山口 浩 | February 06, 2007 at 09:51 AM

あのぉ...

気がつくと参議院インターネット審議中継にこう書いてあり、過去の討議にアクセスできません

「1国会分の審議中継を下記メニューから検索してご覧頂けます。」

あ、あんまりだ、と思ったのは私だけでしょうか?

Posted by: ひでき | February 12, 2007 at 09:37 PM

あ、いやいや、失礼いたしました。ちゃんとこっちが存在してましたね。

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm?ex=VL

これは今日現在「平成17年11月 2日以降のものを提供」とあります。間に合いました。

Posted by: ひでき | February 12, 2007 at 09:47 PM

ひできさん、コメントありがとうございます。
ええと、参議院なんですか衆議院なんですか?いやまあ、どちらにせよ、古いものが消されてしまうのはいかがなものかと。議事録を読めということなんでしょうが、どうもねぇ。

Posted by: 山口 浩 | February 13, 2007 at 01:44 PM

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