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馬を射んと欲すればまず将を射よ

開催中の東京国際アニメフェアにちなんで再びアニメ話。アニメでプロダクト・プレースメントをやるのは前からあるし、今でもそう珍しくないわけだが、いろいろなタイプがあるんだな、と思った件について。そんなの当たり前じゃん、と思う人も少なくないのだろうが。

プロダクト・プレースメントは、アニメなり何なりといったコンテンツの中に商品を登場させることを前提として資金提供を受ける。ハリウッド映画ではもちろん当たり前の手法だし、日本でもいろいろなコンテンツで使われていて、別に目新しくもない。マンガでも「MAJOR」でミズノの野球用品が使われたりするケースがあったし、「サザエさん」のオープニング映像がいろいろな地方の紹介になっている件についても前に書いた。

映画でもアニメでも、コンテンツの中に登場する商品は魅力的に見える(というか、そう作るわけだ)。下手な広告よりもよほど購買意欲をかきたてる。見た人に、自分もスクリーンとか画面とかの中の主人公と同じようにかっこよく(あるいはきれいに)なるのではないか、というイメージを抱かせるわけだ。で、その人が実際に購入する、と。これを「基本形」と考えてみる。

しかし、映像を見て「欲しい!」と思った人が自分では購入できない場合、というのもある。典型的なのは子どもの場合だ。子どもの可処分所得はふつう小さい。500円のおもちゃだって自分では買えない、なんてことも充分ありうる。つまり、子どもが映像を見て「欲しい!」と思ったら、その子どもが親を説得しなければならないわけだ。これを、商品を売る会社の側からみると、親の財布を開かせるために、子どもに「欲しい!」と思わせるわけだ。これは発展形の、いってみれば「将を射んと欲すればまず馬を射よ」型だ。その意味では上記の「基本形」は、「将を射んと欲すればさっさと将を射よ」型、ぐらいになろうか。

タイプとしてはこの2種類かな、と思ったら、もう1種類あった。それが「のだめカンタービレ」に出てくる。この番組、フジ系の深夜アニメ枠である「ノイタミナ」シリーズの7番目にあたる(このあたりはWikipedia参照)。この枠は従来アニメをあまり見ないとされてきたF1層(20~34歳女性)をターゲットとしていることは、これまで放映された「ハチミツとクローバー」とか「働きマン」とかあたりを見ても明らかだが、今回の「のだめ」も同様。で、音大生が主人公ということもあって、ヤマハがスポンサーに入っている。当然、作品中に登場するピアノなんかにはきちんとヤマハのロゴが入れてある。別に確かめたわけではないが、このあたりはスポンサー契約をする際になんらかのかたちで条件としたものではないかと思う。

で、ポイントは、ここでヤマハが流しているのが、子どもを対象とした「ヤマハ音楽教室」のCMだということ。最近は団塊世代の定年とか少子化とかもあってか「大人の音楽教室」にも力を入れてる同社だが、ここでは「子ども」を選んだわけだ。F1層の中には、比較的低年齢の子どもを持つ人が少なくないであろう。千秋がラフマニノフのピアノ協奏曲をかっこよく弾いた直後に例の「ドレミファソ~ラファミッレッド~」がくれば、ああわが子も、と夢みる人も出てこようというもの。

F1層が自分で「大人の音楽教室」に行く、という方向でなかったところがちょっと面白い。いろいろ理由はあろう。この世代の人はけっこう忙しいから自分で行くのはムリ、ということも多かろうし、そもそも子どものころにヤマハに行っていて、もうある程度弾ける人もけっこういるだろうし。あるいは、自分が練習するのはめんどくさいけど子どもにはやらせよう、みたいな人もいるかもしれない。いずれにせよこれは、いってみれば「馬を射んと欲すればまず将を射よ」型、ということになるのではないか。子どもをヤマハ音楽教室に通わせるためには、まず親たちを音楽に向かわせる必要がある、というわけだ。

こういうタイプのプロダクト・プレースメントは、子ども向け商品だけじゃなくて、プレゼント系の商品なんかには広く使えるのではないかと思う。「あの人にこの商品を使ってもらいたい」と思わせるわけだ。たぶんそうした例もすでにあるだろうと思うが、個人的に目新しい発見、と思ったので、メモも兼ねて書いておく次第。

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» ヤマハ音楽教室 [ヤマハ音楽教室]
ヤマハ音楽教室に通っている人のブログを見ているといろんな感想がありますね。ヤマハ音楽教室・・・ [Read More]

Tracked on March 24, 2007 at 11:45 PM

Comments

この話は最近の戦隊もののリーダーがイケメンで、完全にお母さんを狙い撃ちにしてることからもわかるかもしれませんね。

Posted by: まお | March 26, 2007 at 06:34 AM

まおさん、コメントありがとうございます。
確かに、「戦隊もの」とか「ライダーもの」でも同じようなことが生じているかもしれませんね。ムシキングとかラブベリとかでも、子どもより親が入れ込んでしまうケースがあるようですから、これも同種かと。ただ、「のだめ」のケースは、「のだめ」自体を子どもは見ないだろうという点が目新しいのではないかと。

Posted by: 山口 浩 | March 26, 2007 at 12:14 PM

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