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スパムメールに説教されて考えてみた

小ネタ。多くの人がそうだろうが、私も毎日かなりの数のスパムメールを受け取る。大半はフィルターにひっかかるわけだが、ふつうのメールがフィルターにまちがってひっかかることもあるので、削除する前に一度ざっとタイトルぐらいは見ないといけない。見ていて、本当にいろいろあるなぁ、と思う。「人間の創造性」の計り知れない可能性(というか、創造性がこれほどまでに浪費されているのか、と)を改めて認識したりするわけだ。

今回もその手合い。なんかいろいろ考えさせられてしまった。

少なくとも私の場合、スパムメールのうち日本語のものはほとんどが「そっち系」だ。出会い系か動画系か。英語のものは物販系とローン系、推奨株系とかいろいろある。今回のは日本語で、出会い系。タイトルは「彼女がほしい」 。こういうのはたいてい、「このサイトにアクセスするとこんないい思いができる」をイメージさせるものなわけだが、これはちがった。「説教型」とでもいうのだろうか。別に必ずしも新しいものではないのだろうが、自分にとって目新しかった、ということで。


-------(以下引用)-----

Date: Tue, 6 Mar 2007 01:09:15 +0900

Subject: 彼女がほしい

金がほしい!上司がむかつく!!女がほしい!

金が欲しいなら、働いてください。目的以外に使わず、ただ働いてください。

手に職をつけてください。頭使ってください。出来ないなら金がほしいとか言わないで下さい。

むかつく奴がいたら、そいつより仕事出来るようになって、「おまえむかつく」って言っちゃってください。

どっちが正しいか冷静に考えて、そいつが間違ってるなら、「おまえふざけんな」って言っちゃってください

そんな事言えないとか思うんだったら、初めから言わないで下さい

女がほしいなら、歩いてる女100人に声をかけて誘ってみてください。1人位つかまります。

こんな事も出来ないなら、女がほしいとかグズグズ言わないで下さい。

それぞれに向かって少し努力してください。シンプルに考えれば簡単な事です。

-----(以下省略)-----

省略した部分は、サイトの利用方法に関する解説。

「簡単な事」だって。まいったね。「金」も「上司」も「女」(当然ながら、話を裏返すとこれは「男」になる)も、文句言う前にがんばってみろ、というわけだ。それを言っちゃあおしめぇよ、な話だが、なんだか妙に説得力がある。もちろん、耳が痛い人、「何言ってやんでぇ」な人、「そこまで言うことないじゃんか」な人もたくさんいるだろう。最後のやつはともかく、「金」とか「上司」とかに関しては、そもそも選択肢がないケースも少なくないだろうし。それでも、今できる仕事を見つけてそれを一生懸命やるとか、むかつく上司でもとりあえずがまんしてがんばってみるとかはできる。「そうか!そうだったのか!!」な人とか、「とても励まされました」な人もけっこう出てくるかも。

いうまでもなく、このメールの主題は3番目のやつにあるわけで、こういう関係では「機会の平等を」とか「セーフティネットを」なんて議論にはなかなかなりにくい。それぞれ自分で「がんばって」もらうしかないから、この種のメールは「背中を押してもらいたい人々」にアピールする必要があるわけだ。その意味では、うまい広告、といえるのかもしれない。

しかしここで、いや逆に、と妄想をめぐらせてみる。上記で3つ挙がったうち、「所得」とか「仕事」とかに関しては、「平等」がらみのところで、格差の拡大が大きな社会的問題になっている。確かに格差は存在するが、単なる結果の平等を実現すればいいというものでもない。最底辺へのセーフティネットは必要だが、格差の固定化を招かないためには、本人の意欲とか能力とかの問題もあるから、意欲や能力を高めるための教育だの何だのも重要だ、とか。

これらをもし、「3つめ」にあてはめるとどうなるだろうか。

「3つめ」の項目についても、格差は厳然として存在する。しかし強制的に割り当てるわけにもいかないし、単なる結果の平等は無理だ。この分野ではおそらく、「格差」はかなり「固定化」していると思うが、では「最底辺」への「セーフティネット」は社会として必要なのか。本人の意欲や能力の問題は重要だろうが、この方面の「教育」や「訓練」は考えうるだろうか。

つまり、「所得」とか「仕事」とかに関しては、市場型のアプローチを使った効率化とか、所得再配分型のセーフティネットなど、「経済」的な政策手段があって、よしあしはともかくそれなりに使われている。それに対して、「3つめ」の項目については、こうした政策対応はほとんどみられない。政府が人の内心に関与するのはよくないと思うのでしかたないといえばしかたないのだが、ではこのままでいいのか、という気もする。もし「所得」や「仕事」の格差が個人の幸福にとって重要だとするなら、「3つめ」も重要ではないか。最初の2つが重要な政策課題になるのだとしたら、「3つめ」もやはり重要な政策課題と考えるべきではないのか。何せこの問題、長期的には財政とか経済成長とかにも大きな影響を及ぼすのだから、個人の問題といってばかりもいられないはず。

あくまでも小ネタなので、あまり真剣に考えられると困るのだが、まったくのおふざけで書いているわけでもない。この分野の政策というと、たとえばシンガポールなんかでも失敗した官製見合いみたいなのがあるわけだが、それだけでもないだろう、という気はする。別にこれというアイデアはないんだが。

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Tracked on March 21, 2007 at 04:59 PM

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