« ファンド悪者論を排す | Main | 「情報社会論―超効率主義社会の構図」 »

藤本徹著「シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム」

藤本徹著「シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム」東京電機大学出版局、2007年。

いただきもの。シリアスゲームについては、いろいろ話題にはなっているわけだが、日本語でアクセスできるものは、単なる事例紹介や断片的な議論にとどまっていて、まとまったものがなかった。これはその点で日本初。著者は「教育工学」の専門家であり、その意味で特に、教育への応用について「プロ」の立場からシリアスゲームを論じていることには大きな価値がある。

著者の藤本さんは、2月2日にAOGC2007のプレイベント「『仮想世界』としてのオンラインゲーム」でも講演していただいた。そのとき出てきた、シリアスゲームとしてのMMOの可能性とか、セカンドライフの話とかも収録されている。

比較的コンパクトにまとまっていて読みやすい。個人的には、教育者が自分で試してみたい場合のノウハウ的、マニュアル的な情報がもっとあったらいいなと思うのだが、それは続編に期待、ということだろうか。

帯のことばがいい。

「世界の現実も
チームワークも生きる知恵も
ぼくらはすべてゲームで学んだ」

かつて私はマンガとテレビで多くのことを学んだ。今はそこにゲームが加わったわけだ。現代の子どもにとっても大人にとっても、ゲームの存在は大きい。ゲームの画面に描かれた世界は現実に存在しなくとも、そこで自分が得たスリルやら感動やらといった「経験」は現実だ。よく「ゲームで現実は学べない」なんていう人がいるが、それは「学校で現実は学べない」というのと同じで、あたりまえのこと。それでも学校でいろいろ勉強することに意味があるのと同じように、ゲームを使っていろいろと学ぶことにも意味がある。

すべての学校や家庭の、すべての「教育者」に。

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7022/14099109

Listed below are links to weblogs that reference 藤本徹著「シリアスゲーム―教育・社会に役立つデジタルゲーム」:

» ゲームと手術 [いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」]
「ゲーム脳」に代表されるように、これまでゲームに関しては色々批判が多かった。しかし、シリアスゲーム(山口氏は時々取り上げている、コレとか)は有効に活用できる可能性があるようである。特に「手術」というのは現実の影響が非常に大きいので、今後「バーチャルオペ」システムみたいなもの(シミュレータ?)が広く普及していく可能性はあるかもしれない。 参考記事:人生いろいろ この実証研究とい... [Read More]

Tracked on March 09, 2007 at 12:52 PM

Comments

山口さん、ご紹介ありがとうございます。
お褒めに預かりたいへん光栄です。
セカンドライフの話は、この本を書いている間に日本での情報の方が進んでしまった感があります。
それに山口さんのようなお詳しい方から見ると、いくぶん雑な議論に見えるかと思います。その辺りはどうぞご寛容に見てくだされば幸いです。
ご指摘の通り、各論の教育ノウハウ的なところは次の仕事です。欧米でもまだ開発途上のところなので、一緒になって開発しつつ、並行して普及にも努めようというところです。
拙書を取り上げてくださったことを重ねて御礼申し上げます。今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: 藤本 徹 | March 04, 2007 at 05:58 AM

藤本徹さん、コメントありがとうございます。
「大きな意味がある」というのは、ゲーム関係者の自画自賛でなく、単なる「最新情報のご紹介」でもなく、教育の専門家のフィルタを通ったうえでゲームの価値が認められていることです。こういう情報発信はきわめて重要だと思います。ぜひ今後ともガンガンやってください。

Posted by: 山口 浩 | March 04, 2007 at 09:09 PM

はじめまして、私「関根」と申します。

皆様お忙しいところ、誠に申し訳御座いません。
私は建設業に従事しており、環境問題は特に関心があります。
せめてバーチャルの環境は整備して世界中の子供達に引き継ぎたい考えです。
世界の明るい未来の為、宜しくお願い申し上げます。

いきなり問題の投げかけの様な形で申し訳ございません。
何卒、趣旨を理解していただき、ご協力をお願い申し上げます。

米リンデンラボの提供するセカンドライフの日本版正式公開に伴う
リアル マネー トレードの様なネット犯罪、いわゆるグレーゾーンの
拡大を防ぐ為、マスコミ各社・警察庁・経済産業省等考えられる最善のところに
協力を依頼致しました。

現在は、各省庁米リンデンラボの各社の回答を待っている状態です。
個人レベルでの営業をされている、弁護士事務所等では少し問題が大きすぎたよ
うで、アドバイスを求めましたが、無理でした。
企業間の取り決め、しがらみ等もありそうなので、まず米リンデンラボに提示を
してあります。
個人レベルでの限界を感じておりますので、どうかご意見だけでもお願い頂けま
すでしょうか?

米リンデンラボにアプローチしております内容は
URL:http://dddlifestyle.ocnk.net/bbs/
のNo21.22をまず見ていただきたく思いお願い申し上げます。
最初はTOPページで述べている様なビジネスモデルを思いついただけだったので
すが、
RMTによる犯罪やMMO関係の犯罪の拡大を抑制するシステム構築のチャンスかと思
いまして行動に移した次第です。


とにかく時間がありません(4月にも日本語版が正式に投入されそうです)
マスメディアやセカンドライフ関係のサイトにこうした協力を要請しております。
インターネット関係も、「おおもと」を抑えれば、抑制が可能だと考えております。
システム構築は大変な作業になる筈ですが、先に行けば行くほど複雑になります。
上記の掲示板の中で述べております様に、各国の連携も必要でしょうが、
まず日本がもう一度世界の先頭に立ち、各国のモデルとなって行くことに意義が
あると考えております。

バーチャルの世界こそ、住民基本台帳ネットワークシステムが最もいかされる場
所になる筈です。
ニート問題・身障者の方の生活水準向上のアイデアも公開してあります。
ご協力をお願い致します。

Posted by: 関根 | March 09, 2007 at 07:31 PM

関根さん、コメントありがとうございます。
ご趣旨がよくわかりませんが、現状のセカンドライフには問題がある、うまく利用すれば世界をよくすることにつながる、といったことでしょうか。
Linden Labに対する事業上のご提案については意見を差し控えますが、私の知っている範囲で申し上げると、まず、リアルマネートレード自体は日本では(他の多くの国でも)犯罪ではありません。リアルマネートレードに関連して起きている不正アクセスや詐欺などの犯罪事例は、現在日本で利用できるMMOのほとんどすべてにおいて生じうるもので、かつ実際生じており、各ゲーム会社が警察等と協力して対処しているところだと思います。また、Linden Labはアメリカの会社であり、日本語版といっても日本法人を立ち上げて日本のサーバで運営するといったものではないと聞いていますので、日本政府には対応が難しいのではないかとも思います。
警察庁資料によれば、子どもが最も多く被害に遭っているサイバー犯罪はワンクリック詐欺だそうですから、子どもを守るという観点からいうなら、まっさきに行くべきは携帯電話会社と総務省ではないかと思います。確かいろいろな対策を検討してはいるようでしたが。

Posted by: 山口 浩 | March 10, 2007 at 12:28 PM

Post a comment