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June 02, 2007

議事録つまみ食い:問題があるかどうかわからないけど解決しよう、という話

人材バンク設置を含む天下り規制法案の審議が衆議院の内閣委員会で行われているのを、例によって衆議院TVで見ていたのだが、どうもよくわからない。頭が悪いのは仕様だし不勉強なのは性分だからそういうのを棚に上げてお願いするのはなんとも恥ずかしいが、どなたか教えていただけないだろうか。

いったいこの人たちは何について話してるんだ?

上の問いはもちろん釣りなんだが、要するに議論の対象である「天下り」の定義がよくわからないわけだ。そもそも、政府が対象と考えているのは「押し付け的な天下り」であって、単なる「天下り」ではない。どうも、役所がその権限を背景に、要りもしない人を企業や団体とかに無理やり押し付けるような天下り、ということらしいのだが、きちんと定義されたものは見つけられなかった。

ちょっと前に総務省が「再就職のあっせんに関する調査結果について」なる資料を公表していたが、ここでいう「再就職のあっせん」とは「企業、団体等からの要請に基づき職員に当該企業、団体等を再就職先として紹介すること等各府省がその職員の再就職について何らかの関与をすること(若年定年、任期満了等により退職する自衛官の再就職を支援するため無料職業紹介事業を行う法人に対し求職情報を取り次ぐこと等を除く。)」なんだそうだ。これが天下りなのかどうかはわからないが、政府的には、これは少なくとも押し付け的天下りとはちがうらしい。

じゃあ押し付けって何よ、と思うわけだが、衆議院内閣委員会の質疑応答の記録をぱらっと見たらこんな質疑があった。平成十九年四月九日提出の質問第一六五号「安倍総理発言の「押しつけ的な天下り」に関する第三回質問主意書」。提出者は長妻昭委員。まずは質問

四 平成一九年四月六日に総務省が公表した「再就職のあっせんに関する調査結果について」という文章についてお尋ねする。平成一八年までの三年間で各府省において天下りのあっせんが確認されたものの人数は一九六八人で、そのうち何らかの予算・権限関係にある企業等への再就職者は一三四六人となりあっせん全体の約七割を占める。
 1 この七割を占める一三四六人が、安倍総理がいういわゆる「押しつけ的天下り」であるのか。
 2 そうであるとすれば、政府案の新人材バンクを介しても、予算・権限関係にある企業等への天下りは押しつけ的要素は残ることとなり、問題と考えるがいかがか。なぜ新人材バンクを介すると予算・権限関係にある企業等への天下りは、問題無しとされるのか。
  新人材バンクは、天下りのあっせんを合法化する「天下りバンク」ではないか、という批判にどう答えるのか。
 3 各府省から天下り受け入れを要請した事例はあったのか。

で、答弁はこう。

三、四の1及び2、十一の1及び2並びに十二から十七までについて
予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんに関しては、国民の目から見て押し付け的なものも含まれていると考えており、再就職規制については、全体パッケージの中で、各府省等によるあっせんをなくして、機能する「新・人材バンク(仮称)」へ一元化していく方向で法案化を進め、これにより押し付け的なものを根絶する方針であるが、現在、これらの具体的な在り方等について検討しているところであり、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。

四の3について
 各府省等において、平成十六年から平成十八年までの三年間に企業、団体等に職員の再就職の受入れを要請した事例として確認されたものはない。

「含まれていると考えて」いるかどうかじゃなくて「何人含まれているか」を聞いてるのに、答えてないじゃん。「差し控えたい」ってあるから、それらしいケースを把握してはいるんだろうか。それでも、基準がわかってなかったら、人によって何が「押し付け的」かどうか判断が分かれちゃうじゃん。そしたら「根絶」できたかどうかわからないじゃん。だいいち、どれがそうなのかとか、どういうしくみで行われてるかとか、どういう基準で判断するかとか、そういう部分を「差し控え」ちゃったら議論にならないじゃん。

質問四の3は、「押し付け」の具体例として、「各府省から天下り受け入れを要請」があったかどうかを聞いたものだろう。質問者としては、役所が要請した場合はクロ、という判断らしい。これに対する答弁が「確認されたものはない」ということは、答弁する側も、この基準を受け入れている、ということになるんだろうか。で、要請があったとは認識していない、と。てことは、「定義により、解決すべき問題は存在しない」ということにならないのか?

少なくとも、「解決すべき問題が存在するかどうか明らかにはしないが解決策はとったから安心せい」って言ってるようにみえる。白紙委任せいと。といっても、やたらに「国民の目」を強調してるところからすれば、自分たちの見方と国民の見方がちがうようだしなぁ。

ま、「苦しいお立場」は想像できるけどね。問題があるというとお役人さんたちから嫌われるし、問題がないというと国民からうそだろっていわれるし。すべてクリアカットにいくもんでもないというのもわかるが、ちょっとこれは、あまりにも説明として苦しいよなぁ。わざわざ必ず「押し付け的」とことわってるということは、「押し付け的」あっせんは悪いけどそうでないふつうのあっせんは悪くなくて必要って考えてるんだろうから、せめて、どれが押し付け的でどれがそうじゃないか、ちゃんと示した上でやってもらえないものかねぇ。見えないおばけを「ほら退治しました」っていわれて(なんかそういう童話なかったっけ?)納得するほど迷信深い人っていまどきそんなに多くないと思うよ。

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