« 参院選予測市場:07/07/14時点 | Main | 参院選予測市場:07/07/15時点 »

「立候補依存症」について

友人にいわれて「ああそうか!」と思ったこと。他の人もいってるだろうから、別に新しいことでもないんだが、自分にとってはなんだかとっても新鮮な発見をした気分。

なぜ、何度落選しても選挙に立候補し続ける人がいるのか。

特に誰とかいうわけではないが、あくまで一般論として、落ちても落ちても選挙に立候補する人というのがいる。同じポストの場合もあるし、職種や地域がちがうところへ次々と立候補していく場合もある。中にはすっかり「常連」みたいになってる人もいたりして、新聞で顔を見かけると「やぁ久しぶり」なんて言いたくもなったりする。自分のフィールドですでに名を成している人もけっこういて、わざわざ出てこなくてもいいのに、と思う人も。

こうした「チェーン・キャンディデート」とでもいうべき人たちは、いったいどういうモチベーションで立候補を繰り返しているのであろうか。たまにそんなことを考えたりする。別に深く考えていたわけではない。もちろん政治家になろうというわけだから、それなりの政治的な使命感とか、名声欲とか権力欲とか、そういうものがあるんだろうな、ぐらいに軽く考えていたわけだ。で、落選しても「もうちょっとだった」と思えば、また挑戦してみたくなるのかな、と。

まあそれもそんなにはずれてはいないだろうと思うんだが、これをもっと的確に表現したことばがあることを教えられた。

「射幸心」だ。

もちろんこのことばの意味は知ってる。辞書をひくと、「思いがけない利益や幸運を望む心」。いわゆるギャンブラーの心理だ。選挙はギャンブルみたいなもの、なんていうのはよくいわれることなので、それ自体は目新しくないんだが、立候補へ向かう人の心理を「射幸心」と言い切ったところに新鮮味を感じたわけ。

この射幸心だが、少なくとも選挙への立候補にあてはめようとするなら、それは、自分では何もせず単に外界からの幸運を待ち望み、それを得たときの興奮を味わおうとするといった、典型的なイメージのものとは少しちがうかもしれない。

想像だが、多くのギャンブラーは、単純に自分の利害や将来を偶然に委ねたりしているわけではない。少なくとも主観的には。彼らはしばしば、あらん限りの「術」を尽くして、「幸運」を自分の元に引き寄せようとする。願掛けもお払いもパフォーマンスも、候補者にとってのマニフェストや演説会なんかと同様、勝つための努力なわけだ。もちろん、候補者のこうした「術」には実際の効果もあるだろうが、それでも選挙結果が時の運に左右される要素は大きい。それでも彼らは、運を「コントロールできるもの」であると考えようとする。ギャンブラーが麻雀で「引きが強い」のを実力と考えるように。

逆に、望む結果が出なかったときは、その理由を外に、また特定の細分化された要因に求めようとする。あれがまずかった、ここで失敗したと。もともと自分は勝利するにふさわしい人間であり、それなりの努力もした。だから、失敗した部分を改善しさえすれば、きっと次はいい結果が出るにちがいない、と思えるわけだ。

選挙期間中の高揚感というのは、ギャンブラーが勝負の際に味わうそれとけっこう近いだろう。何しろ非日常だ。勝てば天国、負ければ地獄。周りには人が群がり、さかんに声援を飛ばしてくれる。ちょっとしたことに一喜一憂して、いい方向に転べば大騒ぎ。まさに祝祭空間なわけだ。ここでやらずしてなんとする。

そういうのは、一般的な意味での射幸心とはずれてくるんだろうが、ギャンブルにはまる人たちの心理の中には、コントロール幻想とか、非日常感への渇望とか、そういうものがけっこうあるんじゃないかと思う。立候補も射幸心の結果ではないかという考えは、そういう意味でのものだ。

となると、何度落選しても立候補し続ける人というのは、立派な中毒症状ということになろう。「立候補中毒」というわけだ。あるいは「立候補依存症」と呼んでもよかろう。「治療」が必要かどうかは人によるだろうが。その意味でいえば、選挙に出て落選した後、再挑戦しない人というのは、ひょっとしたら自制心の強い人なのかもしれない。無限連鎖への誘惑を自ら断ち切ったわけだから。

もし当選すれば「苦節○年」みたいにいわれて、それまでの苦労は水に流されるわけで、やめたいと思わないのもなんとなくわかるような気がする。そうした方々のご健闘をお祈りしたい。有権者にとって政治はギャンブルではもちろんないので、そういう理由で投票行動を決めたりはしないけど。

|

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/7022/15750771

Listed below are links to weblogs that reference 「立候補依存症」について:

Comments

こーゆー人手で第一人者と言えば、この方↓をおいて右に出る方はいないと思います。
http://www.ganism.com/senkyo/senkyo_0.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E7%94%B0%E3%81%8C%E3%82%93
恐らく山口さんが想定されている人々は、この方に比べればまだヒヨコだと思います。

Posted by: 佐藤秀 | July 14, 2007 at 07:20 PM

佐藤秀さん、コメントありがとうございます。

Posted by: 山口 浩 | July 14, 2007 at 09:52 PM

Post a comment