メディアに公平を要求するなら
報道を行ういわゆるマスメディアは、政治に対して中立であることを求められるというのが、実際はともかく、一応の建前だ。特に選挙がらみとなれば、皆神経質になるのは当然。わが党をこの番組に呼ばないのはけしからんとか、もっとしゃべる時間をよこせとか、あちこちでばちばちやってる。メディアに対して「公平」な扱いを求めているわけだ。
もちろん、「公平」とは何を指すかについても、いろいろな考え方がありうるわけで、みんなが満足なんてことはありえない。ただ、いずれの場合も、メディアの限られた枠を各勢力にどのように割り振るかが問題となっていたわけだ。
しかし今回のニコニコ動画に関しては、ようすがちがうらしい。開発者ブログによるとこうだ。
最後になぜ民主党だけなのかというご意見もありますが、今回は第一回目です。(中略)残念ながら今回は他政党の政治家のかたとは交渉の窓口にも到達できませんでした。
ちょっと待て。ニコニコ動画側から持ちかけたのに、政党側で断ったということか?同じ条件で、公平に機会を与えられたのに?それはあんまりではないか。一貫性がないではないか。
ぜひ提言したいのだが、メディアにおける扱いの「公平」を求めるなら、与えられた機会はきちんと生かすのが義務というものだと思う。民主党が出たのだ。自民党も公明党も、共産党も社民党も、国民新党も新党日本も、みんなこぞってニコニコ動画に出ればいいではないか。どうせウェブ公開用の動画なんかはあらかじめ作ってあるんだろうから、それをニコニコ視聴者の「審判」にさらせばいい。なければ党首が行ってしゃべってくればいい。そんなにネットユーザーのコメントがこわいのか?そんなこともできないなら、メディアに公平など要求すべきではない。
※2007/7/11追記
ニコニコ動画側がコメントを監視し、荒し的な行為をさせないようにしようとしていることについて「批判封じだ」という批判がある。もうひとつ、今度は運営側に提案したいのだが、削除したコメントを、別の場所、たとえば運営者ブログなどで公開したらどうか。削除に値するものかどうか、運営側の判断は適切だったのか、ニコニコ視聴者自身や他のネットユーザー、あるいは世論も交えて、いろいろ意見を言い合って判断してもらったらいい。この種の問題は、人によってけっこう基準が異なったりして、それが合意形成の大きな障害となることを私たちはすでに知っている。意見そのものは価値観のあらわれだからそう簡単に折り合えるものでもないだろうが、少なくとも情報の非対称性を下げる努力はやってみる価値があると思う。別の場で公開するのであれば、場の荒しとはちがうわけだし、その中からある一定の線引きがもし浮かび上がってきたりするなら、それはある意味画期的なのではないかと。
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Comments
> ちょっと待て。ニコニコ動画側から持ちかけたのに、
> 政党側で断ったということか?同じ条件で、公平に
> 機会を与えられたのに?それはあんまりではないか。
思うに、ただ単に、ニコニコ動画が何なんのか、
and その影響力を知らなかった or 理解できなかった
だけでは?
Posted by: ひろん | July 11, 2007 12:33 PM
ひろんさん、コメントありがとうございます。
いや、だから今からでも遅くない、ということです。そんなに長い準備が必要とも思えません。告示前にさっさとおやんなさい、ということで。
Posted by: 山口 浩 | July 12, 2007 01:12 AM