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August 07, 2007

仮想世界の「チープ革命」っていうか何というか

セカンドライフがメディアにいろいろ取り上げられていてブームっぽくなっているが、それはそれとして、メディアとしてのオンライン仮想世界、社会活動の場としての仮想世界といったもののがかつて想像できなかったほどの広がりやら可能性やらを見せつつある、ぐらいにはいえると思う。仮想世界もネットサービスの一種としてみれば、ネット全体の発達と似た経過をたどりそうなあたりは想像に難くないわけだが、実際そうなってきているように思われる。ネットサービスはよく、有料サービスのコンテンツとして登場した後、無料で利用できるようにして利用者を拡大し、メディア化する方向へ進むわけだが、その後は無料で「作れる」ような方向へ行くことがけっこうある。

さて仮想世界の場合は、というわけだが、進展は予想以上に早い感じ。もうCNETに出ているから、関心のある人はもう知っているだろうけど。

Multiverse」っていうサービスがある。これを提供しているMultiverse社は2004年設立で、ネットスケープにいた人たちが作ったらしい。会社はシリコンバレーのMountain Viewにある。この業界には詳しくないので、経営陣がどんな人たちなのか、サイトに書いてある以上には知らないが、アドバイザリー・ボードにジェームズ・キャメロンが入ってるのが興味深い。

要するに、このサービスに登録すると、無料で仮想世界を作れるということらしい。自分のサーバで運用するもよし、同社にホスティングしてもらうもよし(※追記。今はまだホスティングはやってない由)。非営利の利用に関する限り無料とのこと(※訂正。ホスティングは有料。「fee」を「free」と見まちがえちゃったごめん)。収入を上げた場合は、そのうち10%を同社へ、というのが基本的なビジネスモデル。CNETの記事は8月3日付のプレスリリースを伝えたものらしい。BusinessWeekの8月13日号にも記事が出ている(「DRAG-AND-DROP WORLDS」っていう節のところ)。

記事にもあるとおりで、このサービスのミソは「使う」だけでなく、「作る」を広い層の人々に開いた点にある。セカンドライフはアイテムや空間を作るところまでを開放したわけだが、「世界」を作るところはリンデンに握られてるし、そもそも有料サービスということもある。「Multiverse」の場合は物理法則のあたりから含めて「世界」自体を作り出せるというふれこみ。あまり凝らなければ、素人でも作れると。サイトにはこんなふうに書いてある。

Multiverse's unique technology platform will change the economics of virtual world development by empowering independent game developers to create high-quality, Massively Multiplayer Online Games (MMOGs) and non-game virtual worlds for less money and in less time than ever before. Multiverse solves the prohibitive challenges of game creation by providing developers with a comprehensive, pre-coded client-server infrastructure and tools, a wide range of free content--including a complete game for modification--and a built-in market of consumers. The Multiverse Network will give video game players a single program--the Multiverse Client--that lets them play all of the MMOGs and visit all of the non-game virtual worlds built on the Multiverse platform.

というわけで、さっそくアカウントをとってみた。

クライアントソフト、というかビューアをダウンロードして立ち上げる。ログインした後のトップ画面はこんな感じ。入る場所を選ぶ、という意味ではスプリュームと少し似てる。今のところ、デモ用の仮想世界がいくつか作ってあるという段階。今日段階で登録アカウントは約12000くらいみたい。
Multiversetop

いくつかあるデモ用世界の中から入る世界を選ぶ。「MV Social DEMO」というやつを選んでみた。最初のログイン時には、大量のデータをダウンロードするので、えらい時間がかかる。で、最初にアバターを選ぶ。いくつか作れるようだ。中はこんな感じ。アバターの動きはセカンドライフよりかなり軽快で、Thereのそれに近い感じ。
Multiversesocialdemo

利用者としてのアカウントとは別に、開発者用のアカウントがあって、登録すると開発用のツールなんかが使えるようになる。現時点で登録してる人たちの多くは開発者らしい。現在開発中のゲームがこのページに紹介されてる。CastronovaのSWIがやってるArdenもこれを使ってるらしい。Ardenの話を初めて聞いたのは数年前だから、そのころから関係があったんだねぇ。

せっかくなので、開発者アカウントもとってみる。本当にもしできるならいろいろやってみたいことはあるし、だいいち仮想世界を作ってみるなんていうのはなかなか面白そうではないか。この種のサービスは、資金の続くうちにどれだけキャッシュフローが生まれるかにかかってるわけだが、5月に475万ドルの資金調達に成功したそうで、とりあえずしばらくは大丈夫なわけだ。せっかくアカウントを作ったんだからぜひ続いていただきたいところ。

そのうち何かできたらまた、ということで、本日ここまで。

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Comments

イーガンの「順列都市」(isbn:4150112894)の世界ですね、もう。

Posted by: ひでき | August 07, 2007 05:56 PM

いつも興味深く記事を拝見させていただいております。

Second Life がコアなクリエイターに(ある程度)支持されてきた理由の1つに、早くから Mac 版のクライアントが提供されていたという点が大きいかと思います。

Multiverse については私も大変興味を持っており、時間を見つけて世界を構築してみたいと思っております。

記事の「チープ革命」というのは、なるほどな、と思いました。ユーザーのネットサービスに対する感覚は、すでにチープ革命後のサービスに慣れきってしまっていますので、むしろ普通に時代の流れに沿っただけで遅くも早くも無いという感じもします。

Second Life 関連も含め、今後のご活動を楽しみにしております。
がんばってください。

Posted by: GOTTi | August 07, 2007 09:49 PM

コメントありがとうございます。

ひできさん
不勉強で読んだことがなかったんですが、「順列都市」面白そうですね。複数の仮想世界ということであれば、私たちは以前からそういう世界に生きています。必ずも「新しい問題」ではないですよね。

GOTTiさん
Mac対応というのは確かに一理ありますね。Multiverseは今のところWindowsだけですが、Mac対応はひとつのカギになるのかもしれません。
現在のところホスティングはまだありませんので、自分でサーバ構築とかできる人でないとなかなか難しそうですが、これもhtmlからブログに移ったような変化が今後あるのではないかと思います。

Posted by: 山口 浩 | August 08, 2007 02:04 AM

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