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November 10, 2007

エリート専門結婚紹介サイトをのぞいてみたら

メールチェックをしていたら、横に出ていた広告に目が止まった。

医師・弁護士との結婚
エリートクラブ銀座の男性会員は
エリートのみ。女性は短大卒以上
elites-club.com

「エリートのみ」。
いったい「エリート」ってどういう人なんじゃい、と思うともう、いてもたってもいられない。思わずクリック!

サイト名は「Elite Club」という。あまりのベタさはなんかあっち系のお店にありそうな感じでもあるが、まあそこはおいといて。

さて、「コンセプト」のページにこのサイトの理念が書いてある。ポリシー1「エリートとの出会い」。

当クラブでは、男性会員をエリートのみと限定した上質な出会いを手作りでプロデュースいたします。

うむぅ。「男性会員をエリートのみと限定」すると「上質な出会い」になるのかぁ。「女性会員をエリートのみと限定」したら「上質」じゃないのかな?「女性医師」「女性弁護士」もいい(何が)と思うんだがなぁ。まあ「エリート女性」というとなんか別の色彩を帯びてくる気はする(ぐぐってみればわかる)からしかたないか。

エリートクラブ銀座は姉妹組織の 「ドクターズクラブ銀座」 と一体運営をしております。
女性会員は自動的に ドクターズクラブ銀座 の会員としてもご利用いただけます。

ほほぉ姉妹組織。エリートの中でも「ドクター」は別格なわけね。で、女性は自動的にそっちの会員にもなれると。まあなんてお買い得。で、次にポリシー2「厳正な審査に基づく安心と信頼」。

当クラブでは、理想の結婚をプロデュースするため、一定の審査基準を設け、厳選されたお相手のみをご紹介いたします。 お相手選びに慎重な方でもご安心していただけます。

うぉーこれだこれだ。いったいどんな基準が。

[男性会員資格]
4年生大学卒業以上で25~55歳の方
性格(面接で判断させて頂きます)
結婚について真剣に考えている独身の方

…早くもだめだ。年齢条件はいいとして、2番めの「性格」で落ちる。面接なんかされたら性格がねじ曲がってるのがばれてしまうではないか。残念(だから何が)。

[女性会員資格]
20~42歳の方
性格(面接で判断させて頂きます)
結婚について真剣に考えている独身の方

うぅむ。なんだこの微妙な年齢条件の差は。「20歳」というのは短大卒、ということだよな。して42歳というのは。厄年、は男の場合だし。出産可能年齢?うーん。きっと綿密なマーケットリサーチに裏打ちされたものにちがいないが、こういうのは憲法第14条には違反しないんだろうか(しねーよ)。

まあこれはいいとして、さらに衝撃的なのは料金システム。今度は女性のほうから。

スタンダードコース
入会金       30,000円
会費        330,000円(12ヶ月分)
           13ヶ月以降は月額1万円
お見合い料    10,000円
成婚料       無 料
入会時支払総額 360,000円

女性はスタンダードコースのみ。さすが「エリート」狙い、会費がけっこう高い。1年で33万円、2年で45万円。3年で、・・しつこいのでやめるが、かなり「気合」が入ってないと払えない金額ではないか。鼻息の荒さが伺える。これだけ払ってたら真剣だよなぁ。「エリート専門」でない一般のこの種のサービスの場合、女性があまり真剣でないケースも少なくないと聞く。やはり価格は正直。

こっちはまだいい。衝撃的なのは男性のほう。こうだ。

      スタンダード     ホワイト    グランド
      コース        コース     コース
入会金    30,000円    30,000円    ---
会費     330,000円    ---        ---
       (12ヶ月分)
       13ヶ月以降
       月額1万円
お見合い料  10,000円   10,000円   10,000円
成婚料       ---    330,000円   360,000円
入会時    360,000円    30,000円     ---
支払総額

なんとコースが3つに分かれている。スタンダードコースは会費制。女性と同じ条件だ。ホワイトコースとグランドコースは会費なしでその代わりに成婚料。つまり成功報酬制なわけで、優遇しているということだろう。特にグランドコースは入会金もない。お見合い時に1万円、成婚時に36万円。総額は変わらないが、入会時点では大きな差がある。

すごいのは、このコース設定が、男性の属性によって決まっていることだ。こうなっている。

スタンダードコース
 対象例:会員資格を満たし、4年生大学卒業以上の方、結婚について真剣に考えている独身の方
ホワイトコース
 対象例:国立大・有名私大卒業者、または年収800万円以上の方
グランドコース
 対象例:医師、歯科医師、弁護士、公認会計士、弁理士、不動産鑑定士、税理士、キャリア公務員、または東大・京大・旧帝大・早慶卒業者の方

・・・。要するにスタンダードコースは「三等市民」扱い、「狙う側」である女性と同じ条件ということは事実上「お呼びでない」ということか。で、「三顧の礼」となる最上級のグランドコースは職業、出身大学限定。シビアだな。これぞまさに格差社会の…、と力むようなことじゃない。昔からこういうことはあったのだ。ただ、これほどあからさまに出てくると、へこむ人、反発する人も多いだろう。

昔、ホイチョイ・プロダクションズのマンガか何かで「デス師」というジャンルの男性がいることを知ったのだが、女性の職業、出身大学限定、みたいなサービスがあったら何ていわれるだろうか(いや実際のところ、「スチュワーデスを紹介」をウリにした結婚紹介サービスは既にあるんだが、スチュワーデスを「エリート」の範疇に入れるべきかどうかについてはさまざまな意見があろう)。

やっぱり大学教員はこの中には入らないのかぁ、とガッカリ(なんでまた)していたら、実は別のところにあった。この会社がやってる別のサービス「お見合いネット」の中に、「医師・学者コース」というのがある。男性の入会資格はこんな感じ。

男性
■結婚について真面目に考えている独身の方
■日本国籍を有する22歳以上45歳以下の方 (学生・院生は不可)
■さらに次のいずれかの該当者であること
  医師・歯科医師
  弁護士・弁理士・公認会計士・税理士等
  大学教員
  東大・京大卒業者

おお今度は対象年齢が若い。「22歳以上」って22歳の医師とかいるわけないじゃんと思ったら、「東大・京大卒業者」は無条件OKか。なんだかな。まあいいや。大学教員の皆様はこちらに該当するわけだ。ポスドクはたぶんだめ、非常勤だったら、…聞くのはあえて控えておくが、ともあれ料金もこちらは上のものよりぐっと格安みたい。ああよかった(だからなんで)。お心当たりの同業の方、ぜひ。

ここから少し脱線。ほとんどの人は知ってるだろうからあくまで念のためだが、この種のサービスは実はそれほど珍しいものではなくて、いろいろなのがある。それぞれ、需要と供給のバランスによって「価格」が決まるという「経済合理性」は共通していて、それ自体基本的に「納得」できるものだが、やはりちょっと顔がひきつるようなところもある。私たちが感情のレベルで「市場メカニズム」の守備範囲と認めたくない部分にもちゃんと経済原則が働いていることをはっきりと見せつけられるからだ。

たとえばこちらのエグゼクティブ専門結婚相談所「アイエグゼ」。こちらは男女とも「ハイスペック」な要求。こんな感じ。

男性
年齢:25~45才まで  学歴:大卒以上  年収:年収800万円以上
職業:一流企業会社員、外資系企業会社員、医師、会社経営者、弁護士、公認会計士、大学教授、会社役員、国家公務員、青年実業家、資産家、公務員、会社員等
仕事に意欲的に取り組まれ、誠実であることを心がけている方。

女性
年齢:20~39才まで  学歴:短大卒以上
職業:秘書、会社受付、スチュワーデス、モデル、イベントコンパニオン、ミスコン入賞者、タレント、芸術家、お稽古事教授、OL等
容姿に自信があり、心身ともに魅力的であろうと心がけている方。

なんだか妙に具体的で笑える。男性のほうの「職業:資産家」っていったい何だよ(dankogaiさんなんかは該当するんだろうな)。先ほどのもそうだが、収入要件が「800万円以上」と共通していることに注目。想像だが、このあたりの年齢層の公務員の年収を配慮したものかと思う。要するに、職業と年収がカギというところは共通。ここが「最大公約数」なわけだ。一方女性のほうは、「職業:ミスコン入賞者」とかあるし(何じゃそれ)、「容姿に自信」なんて条件もある。女性の場合、どうみても容姿の条件が最優先となっていることは否定しがたい。

この点は、多くの女性向けサービスが「見て見ぬふり」をしている部分だ。女性雑誌で「モテ顔」なんて特集があったとしても、実際にはメイクの方法だったりお肌の手入れ方法だったりする。キモはそこじゃないよね、と内心思っていたとしても誰もいわない。まあもともとコントロール可能でない要素を重視しても消費にはつながらないし、それが「お約束」でもあるわけだが、このサイトで展開される「真剣勝負」の前では、そんな「常識」は吹き飛ばされ、ムキ出しの本音が顔を出してしまう。

さらに想像してみる。上記の「Elite Club」が男性をその職業でランク付けしていたのと同じように、女性をその容姿でランク付けする結婚紹介サービスがあったとしたら。「…あなたの容姿では、入会金無料のホワイトコースはご利用いただけません。スタンダード・コースとなりますので入会金33万円をお支払いください」っていわれたら。

別に結婚紹介サービスが正しいかとか、容姿に価格をつけるなんてもってのほかだとか、そういう神学論争めいたことは書かない。ただ、男性を職業や年収でランク付けすることを当然と思う女性は、女性を容姿でランク付けすることも当たり前として受け入れるんだよね、という点は確認しときたい。もちろん逆に、女性を容姿でランク付けすることを当然と思う男性は、男性を職業や年収でランク付けすることも受け入れなきゃね、ってこと。当然だよね?

※あらかじめ追記(なんだそりゃ)
職業や年収は後天的だが容姿は先天的だからちがう、という反論が予想される。100%そうだとはいいきれないが、確かにそういう部分は大きい。しかしこうした「選択基準」は誰かが強制したものではなく、個人の好みに基づいた選択が集積した結果にすぎない。人の好みに文句はいえないしねぇ。


このジャンルの経済学といえばまずはベッカー理論。このあたりから。

ガワより素材。この人に「建前」は通用しない。誰にでもできることじゃないが。

「職業:資産家」をめざす方も多かろうが、結果論を一般化する本をあまり真に受けないほうがいい。よい子はマネしないようにネ。

英会話でセレブをおとす。「18禁英会話本」というジャンルを切り開いた超「実践的」英会話術。この本はすごいよ

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Comments

容姿に関してはこういう研究もあります。
BeautyCheck
http://www.beautycheck.de/

職業別の平均顔の研究をしてたのは東大だったと思いますが、かなり面白いです。

うちの職場は東大とか京大出が多い研究所なので、いかにもそれっぽい顔のかたが多いです。

Posted by: まお | November 10, 2007 02:19 AM

くだらない、いや、おもしろい話題について、詳細なご紹介いただき、興味深く拝見しました。

私もブログを書いている同じ立場として、もっと時間があれば些細なことに付加価値を付けたエントリーも書けるとは思うのですが、いかんせん、読書、子どもの世話、DVD(映画)を見る等(掃除もしてちょうだいと家内に言われます)することがいっぱいで時間が作れないのが現実です。

きっと、山口さんは、着想から実際に書くまでに要する時間が短くても済む方なのでしょうね。

Posted by: 成功者への道 Live with Passion! | November 10, 2007 11:45 AM

くだらない本ばかり2000冊以上も読む暇があれば、エントリー書く暇ぐらいいくらでも作れるはずですけどねえ。

Posted by: んー | November 10, 2007 08:29 PM

コメントありがとうございます。

まおさん
あのサイト、面白いですね。体型を変化させるときは、セカンドライフでアバターをいじっているときを思い出しました。でも一番面白かったのはメイキングだったりして。職業別の平均顔という話はどこかで聞いた記憶がうっすらとあります。私の印象では、東大でも京大でも、いろいろな顔の方がいらっしゃるんですが、その「分布」は似ているような気がします。どうも人を見るときに「頭のいい人」というレッテルを貼ってしまう傾向があるようで、それがあまりに強い印象を持つためにみんな似た人に見えるのでは、と邪推しています。いかがでしょうか。

成功者への道 Live with Passion!さん
私もファイナンスを研究する者として、もっと時間があれば実際の投資など本格的にやってみたいと思うのですが、いかんせん、研究活動に各種の書きもの、授業に講演、子どもの世話、DVDにテレビにマンガにゲームに音楽に読書等(もちろん掃除もします)することがいっぱいで時間が作れないのが現実です。職業柄、確かに書くのは早いほうかもしれませんが、なにぶん量が多いのでなかなか追いつきません。ちなみにこのブログは締切に追われる現実から逃避したいときによく書いたりしています。
時間を作るということであれば、まずはくだらない些細なことをこと細かにぐたぐたと書いた私の駄文などを読まないようにしてはいかがかと思います。ちなみにですが、もう一つ時間を作るテクニックというのがあって、それは睡眠時間を減らすことです。睡眠を平均1日3時間程度(最近はもう少し短いですね)に抑えれば、そこそこの時間を作り出すことはできます。コツは眠る時間を90分の倍数にすること、起きる時刻を決して変えないこと、起きたらすぐ朝日を浴びて朝食をとることです。学生時代10時間以上眠らなければつらかった意思の弱い私にすらここ15年ぐらい続けられているくらいですから、 成功者への道 Live with Passion!さんにはその気にさえなれば容易なことかと思います。ぜひお試しください。

んーさん
ええと、「くだらない本ばかり」というのはどなたのことでしょうか?よくわかりませんが、まあいいや。ともあれ、ファイナンス研究者の立場からは、投資をされる方で巷の投資本を参考にしようという方には、ぜひ「survivorship bias」ということばを覚えておくことをお勧めしますね。私も宝くじが当ったら、「宝くじ必勝法」の本でも書こうかと思います。

Posted by: 山口 浩 | November 10, 2007 09:25 PM

> コツは眠る時間を90分の倍数にすること

あ、なるほど。睡眠の周期を考慮するということですね。
気がつきませんでした。

私は、起きる時間は、(週末を除いて)毎朝、同じ時間
ですが、そういえば、15-20分、就寝時間が変わっただけ
で、翌日、妙に眠いということがよくあります。

Posted by: ひろん | November 11, 2007 09:18 AM

ひろんさん、コメントありがとうございます。
「90分」は受け売りですが、実際やってみてうまくいっているような気がしていますので、たぶん理にかなっているのでしょう。実際には横になってから眠りにつくまでの時間はどうなるんだとかよくわからないところもあるんですが。ただ、これも体験からですが、たとえ眠れる時間が90分を切っていたとしても、1日1回は横になる時間を作ったほうが体調はいいような気がします。なので「完徹」はお勧めしません。
私は休日も平日と同様の生活をしていますので、それより早く起きる必要があるとき以外は毎日同じ時刻に起きています。実は決め手はここなのではないか、とも思っています。日によって起きる時刻を変えているとつい体が甘えてしまうのではないかと。体というより精神的なものかもしれませんが。

Posted by: 山口 浩 | November 12, 2007 03:43 AM

今週、実際にやってみました。今まで、5:30の睡眠だった
のを、4:30にしてみましたが、特に問題はありませんでし
た(多少眠いですが、すぐに慣れると思います)。

なんか、1時間、得した気がします。といっても、DVDを
見ていたのですが、シリーズものなので、全部見終ったら、
読書の時間にでもしようと思います。

Posted by: ひろん | November 16, 2007 04:40 PM

目覚ましかけずに、普通に起きたら、6時間でした。
4時間半 + 90分 = 6時間なので、90分の倍数
というのは、やはり、(個人差はあるでしょうが)睡眠
のリズムに合っていると思いました。

Posted by: ひろん | November 17, 2007 09:08 AM

ひろんさん
うまくいって何よりです。ただ、理屈にこだわりすぎると問題が出ることもあるかもしれません。6時間とれるならいいのですが、それより短いのはふつうはあまり体にはよくないのではないかと思っています。あくまで体の声に従ったほうがいいんじゃないですかね。
ちなみに私も、何もしなければ6時間で目が覚めます。ただそれは、あまり横になっていないせいで、6時間以上横になると背中が痛くなってしまうためで、あんまりいい状態とはいいがたいですね。

Posted by: 山口 浩 | November 17, 2007 09:26 AM

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