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December 10, 2007

2008年米大統領選予測市場

2008年米大統領選は近年まれにみる混戦らしい。と、テレビ東京の2007年12月9日放送「日高義樹のワシントンレポート」でいってた。

なるほど。じゃあ今予測市場はどうなってるかね、と思うではないか。

「ワシントンレポート」では、カール・ローブ米前大統領顧問のほか、「ブルンバーグ」ワシントン編集長のアル・ハント氏、「ナチュラル・レビュー」ワシントン編集長のケイト・オバーン氏あたりにいろいろ聞いてる。こういう場になると必ず出てくる政治評論家のロバート・ノバック氏の姿も。

で、実際にはどう混戦なのよというと、マスコミで優勢が伝えられるヒラリー・クリントン上院議員が実際には大統領になれないのではないか、という話。理屈を聞いてみると、最大の原因は「アメリカ国民は変化を求めているのに、『クリントン』ではなんか前にも聞いた名前で変化がない」と。あまりにわかりやすすぎてかえってわかりにくい説明だが、そういうもんなのかね。共和党政権が2期続いたから変化を期待する意味で民主党優勢なんだが、かつ民主党候補の中では確かにヒラリーが優勢なんだが、いざヒラリーが大統領にとなると拒否感が強いと。なんだかどこかの国のよく似た名の党と瓜二つの状況で失礼ながら笑っちゃうね。

基本的に政局トークで、日本では政治評論家と称する選挙屋さんの方々がやる類なんだが、そういうあたりを「○○年の選挙ではどうだった」とか、「過去○回の大統領選挙の平均でみると」だとか、妙に説得力のあるデータに基づいてさも科学的っぽく話すのが米国流。でも、じゃあ結局誰が勝つのよというあたりになると急にケムに巻き始めるあたりは日米共通だったりする。それから、党レベルと候補レベルで世論の支持が割れちゃったりする「非合理的」なところもけっこう共通なんだな、というのは、個人的な今回の「発見」。

では予測市場では現在どうなってるのかというと、たとえばNewsFuturesではこんな感じ。まずは民主党。

クリントン候補が民主党の大統領候補に選出される可能性:67%

© NewsFutures

オバマ候補が民主党の大統領候補に選出される可能性:32%

© NewsFutures

数字ではクリントン優勢だが、価格は下り気味。対するオバマ候補は巻き返し中。党全体としては優勢を保っている。

民主党候補が08年大統領選に勝利する:62%

© NewsFutures


続いて共和党。さらに混戦。

ジュリアーニ候補が共和党の大統領候補に選出される可能性:35%

© NewsFutures


ロムニー候補が共和党の大統領候補に選出される可能性:26%

© NewsFutures


ハカビー候補が共和党の大統領候補に選出される可能性:23%

© NewsFutures


マケイン候補は失速。本命ジュリアーニ候補は下り気味。ロムニー候補も同様。代わって勢力を伸ばしているのがハカビー候補だが、まだそれほど。で、共和党候補が大統領選に勝利する確率は38%と。


© NewsFutures

この数字だけからみると、やはりクリントン優勢、なんだがね。さて。


もう1つ、Iowa Electronic Marketsの状況もメモ。

まずは民主党。

SymbolBidAskLastLowHighAverage
CLIN_NOM0.6210.6340.6200.6200.6230.621
EDWA_NOM0.0570.0640.0650.0600.0650.065
OBAM_NOM0.2900.2940.2940.2900.2940.294
DROF_NOM0.0230.0250.0260.0230.0260.025

Uspres08demnom071209


続いて共和党。

SymbolBidAskLastLowHighAverage
GIUL_NOM0.3430.3600.3580.3570.3580.358
HUCK_NOM0.2310.2360.234---------
MCCA_NOM0.0890.0990.0990.0910.0990.097
ROMN_NOM0.2300.2450.2470.2470.2470.247
THOMF_NOM0.0420.0440.044---------
RROF_NOM0.0310.0330.035---------

Uspres08repnom071209


で、選挙自体はというと、まずWTA市場はこう。
Uspres08wta071209

SymbolBidAskLastLowHighAverage
DEM08_WTA0.6130.6190.6180.6180.6180.618
REP08_WTA0.3860.4040.3860.3860.3860.386


で、VS市場はこう。

Uspres08vs071209


SymbolBidAskLastLowHighAverage
UDEM08_VS0.5110.5280.528---------
UREP08_VS0.4790.4910.496---------

いつもながら、予測市場間でそれなりに「裁定」っぽくなってるあたりは面白い。

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Comments

> 妙に説得力のあるデータに基づいてさも科学的っぽく話すのが米国流

これはアメリカ的スタイルというよりは、20世紀末以降のアメリカのメジャースポーツのテレビ解説者のスタイルではないかと思います。昔はNFLにろMLBにしろ戦力分析は主観的な「スカウティング・レポート」にもとづいてやっていましたが、いまでは過去のデータベースに基づいて予測をするのが専門家(またはコアなファン)の仕事になってます。
 (日本のテレビ演出も中継画面にデータが出てきますが、解説者の役割がことなっていて、過去の実績にもとづいた予想よりも中継画面に導線を書き込むといったAR的アプローチに進化している。)
 さてこの方法だとイチローの評価が低くなるといった限界もあるのですが、
http://number.goo.ne.jp/baseball/mlb/column/20070206-east.html
ついに野球データ解説者が大統領選挙の勝敗を専門家として予想!
http://number.goo.ne.jp/baseball/mlb/column/20081003-2-1.html

Posted by: 山根 | October 07, 2008 01:52 AM

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» CNETで詳細レポート:Google楽観主義・梅田望夫氏講演の米選挙の質問に自己中を見た! [したらば掲示板限定シリーズ三部作雑記]
かなり詳細なレポートなのであるが自分語りのモノローグ が続きウメダモチオヲタにとってウハウハだろうけれども… 面白くなるのは質疑応答で梅田氏というテーマを離れての ことがかえってこの梅田望夫氏という特徴を現しているところ。 ――米国大統領選挙において....... [Read More]

Tracked on December 17, 2007 11:45 AM

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