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だから問題はそこじゃないんだってば、と思った話

国会議員宿舎がなんだか問題になってるらしい。Googleで一番上に出てきた東京新聞の記事には、「参院清水谷宿舎の移転、建て替え計画は地元住民らの反対で中断している。一方、「豪華」と批判されている赤坂宿舎には約百戸の空室がある」とある。

なんかしっくりこない。少なくとも個人的には。

2つの議員宿舎の名が挙がってるわけだが、それぞれ別の理由で、でも問題としてはからんでるみたい。清水谷宿舎のほうは、老朽化のために建替えようとしたら地元住民から反対の声が上がったと。せっかく風致地区なのに、自然環境を破壊すると。猪瀬副知事は「話にならぬ」とコメントしたそうで、なんだかえらく怒っている。「話にならない」というのは、3LDK中心のプランから、1LDKの小さな住戸を混ぜて建設する案に変わったことを指している。都の側では環境の問題でいっているのにプランを変えたって何の意味もない、ということのようだ。

で、このうえに、例の衆議院の赤坂宿舎問題が加わる。こっちには「豪華」という批判が、とどの報道も伝えている。Wikipediaには、設備について、「食堂、ジム、会議室、社交室、医務室、スカイラウンジ、地下2階分の駐車場、家具等 」とある。食堂があるからにはそこで働く人もいるんだろうか。医務室もあるのかぁ。医療スタッフはどうしてるんだろう?スカイラウンジって、まさかそこにも人が?それにジムって、まさかそれも家賃に込みなのか?民間なら家賃月額50万円ぐらいが相場らしいところが9万2000円、とある。批判を気にして、300戸中100戸ぐらい空いてるんだそうで。だったら空いてるところに参議院議員も入ったらいいじゃないかという話も出てきて、なんだかそれじゃいやな面々がいろいろ言って、という流れらしい。

要するに環境問題に豪華な宿舎と。ふうんなるほど、なわけだが、なんかどこか少しずれてるような気がするので少し考えてみる。

まずは参議院の清水谷宿舎のほうから。「いやもちろん環境は大事なんだろうけどさ千代田区ってのは東京の中ではきわだって緑の多いところじゃん」的なアレもなくはないんだが、わざわざ風致地区にしてるぐらいだから、客観的に価値のある環境なんだろう。まさか都内に緑はいらんというわけにもいかんし、大きな木を切ってまで建てる必要があるか、という猪瀬副知事の主張は、それなりにわからなくもない。

「それなりに」というのは、問題の本質は「環境」ではないのではないかと思ったからだ。じゃあ問題の本質は何なのさというと、それが議員宿舎だってことなんじゃないか。そもそも議員宿舎みたいな「公益性」があるもの場合は風致地区の中でも大きな建物が建てられる、という事情があるからこその問題なんだが、そんな必要があるのか、というわけだ。いいかえると、なんで国会議員のためにそこまでしてやらにゃいけないのか、ということ。

この話は衆議院の赤坂宿舎のほうにもあてはまる。報道をみてると「豪華」が問題みたいになってるけど、じゃあ豪華なのをやめればいいか、というと、そういうことではないだろう。清水谷宿舎について提案されてるのと同じように、3LDKが1LDKだったらよかったのかといわれれば、いやそうじゃないといいたい。Wikipediaには、新党大地の鈴木宗男氏が「家賃が月9万2000円という安さが問題だ」と発言した旨書かれてて、家賃相場が92000円じゃなくて50万円なんだから50万円とればいいんだという主張もわからなかないけど、でもそれも本筋じゃないと思う。

いや別に国会議員を大事にしなくていいといっているのではない。地方の議員のために住宅が必要なのはわかる。国会議員なんだから国会から遠くないところにすべきだというのもわかる。でもさ、だからって国が用意してやる必要はないじゃない。他から借りればいいじゃない。じゃああのあたりに借りられる住宅はあるのか?といわれれば、ある。「賃貸住宅 千代田区」でぐぐってみればほれこの通り。いくらでもあるじゃんか。広いの狭いのよりどりみどり。

業務上必要だから国が用意すべきだ、という意見もあろう。確かに必要かもしれない。特にこの人たちは、有事の際にすぐに集まれる必要がある。だから国会の近くに住んでないといけない、というんなら、まさにその通り。ならば、それに必要な措置をとるべきだ。

「有事の際」を考えれば、5分、10分のレベルで集まれなければ意味がない。国会議事堂と現在の国会議員宿舎との位置関係は下の地図みたいになってるんだが、これを見ると、最も遠い衆議院九段宿舎からは、どうみたって2~3kmはある。問題の清水谷宿舎だって1km近くありそうだ。これでは遠すぎる。有事に間に合わないではないか。もっと近く、限りなく近くしないと。


拡大地図を表示

もし本当に業務が目的なら、92000円どころかもっと安くたっていいかもしれない。基地の宿舎にいる自衛隊員が家賃を払ってるのかどうかは知らないが、それと同じ類であるなら、無料とか最低限の料金設定とかでもよかろう。当然ながらそれに関係ない贅沢な設備はいらない。必要最小限でいい。だったら、国会の敷地内にカプセルホテルでも建てたらどうか。これならすぐに集まれる。容積率なんてたっぷり余ってるはずだ(議員会館に回しちゃったかも?だったら緩和すればいい。んなこたその気になれば簡単にできる)。確か議員会館はPFI方式で建て替えるはず。だったら議員宿舎もPFIで行けるだろう。

いやそれでは安全が保てない、という意見が仮にあるなら、国会の地下にシェルターでも掘ってそこに住むことを検討するといい。カプセルホテルよりは高くつくかもしれないが、国会から離れたところにある豪華な議員宿舎より、少なくとも業務上のニーズはよりよく充たせる。

国会と至近距離にあれば、国会の施設を共用できる。国会にだって食堂はあるだろうから、食べたければそこに行けばいい。きっと医務室だってあるだろう。スポーツクラブとかラウンジとかはないかもしれないが、そういうものは、どうしても行きたければ自分で金払ってどこへでも行くがいい。来客は、議員会館で会えばいいではないか。いっそふだんから議員会館で寝泊りするというのもアリだろうと思う。ソファ1つで足りる。

ともあれ、日本庭園だのスポーツジムだのが議員の職務上必要とは考えられない。もし「カプセルホテル」(というか、要するに必要最小限のもの)がいやなのだとしたら、それは国会議員のフリンジベネフィットの問題として考えるべきだ。だいたい、東京在住の議員は議員宿舎に入居できないってあたりですでに、これが福利厚生のための存在であるという性格があらわれてる。もちろん、国民が納得するんならOK。議員の威厳を示すためには豪華な家に住む必要があると思うなら、正面からそう主張すればいい。世の中には、国民の代表たる国会議員の先生には贅沢してほしいという国民だっているかもしれないし。

こうやってつらつら考えてくると、要するに、業務上の必要性の部分と議員の特権の部分が都合よく使い分けられているように見えるあたりが自分は気に入らないんだ、ということがわかる。本来フリンジの部分のはずのところを業務上の必要性で説明されるからおかしくなるんじゃないかな、と。

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Comments

議員宿舎を別個特別に設営するというのは仕事の効率以外に必要性を感じられないのであって、野外作戦本部に寝泊まり出来ないような要員を戦争に参加させられないようなものではないのかとも思う訳で、政治という高度に国益を優先する戦場において「豪華」とは不似合いな表現であり要望であり、戦士に払われる給与額を優に超えているように思うのであって、それならロボット博のオモチャみたいなのを飾っておいた方がナンボかウケるんじゃないか、みたいな。。。

Posted by: katute | December 07, 2007 at 10:00 AM

katuteさん、コメントありがとうございます。
国会議員は威厳を保つために銀座の一番館とかで50万円くらいするオーダーのスーツを着ないといけないと聞いたことがあります。お金がかかるんですね。私は別に国会議員に威厳とか期待しないんですが、世の中には期待する向きの方が多いということなんでしょう。だとしたら、威厳を保つために豪華な議員宿舎が必要であると正面から説得すればいいのに、と思ったりもします。

Posted by: 山口 浩 | December 09, 2007 at 12:09 AM

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