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January 25, 2008

「NEWS ZERO」に出た話

昨日の夕方、GLOCOMの井上さんから電話があって、日本テレビの人に電話しろとのこと。電話してみたら、高校生が「マビノギ」で仮想通貨をだましとったという事件(記事参照)についてのコメントを求めるという趣旨で、なんだかんだ話してるうちに、当日の「NEWS ZERO」に出ることになった。

本当はIGDAの新さんあたりの方が適任だろうと思うのだが、新さんがつかまらなかったのでお鉢が回ってきたらしい。出るといってもあらかじめビデオで収録するもので、当然ながら発言の一部を切り取られるわけだ。放送されたのを見たら、「罪の意識がない子どもがいるのではないか」というくだりが使われていた。もちろんあの前後にいろいろな話があったわけで、あれが話の中心ではなかったのだが、必ずしも本旨とずれているというわけでもない。あの話には確たる裏づけはないのだが(そうことわっているところはカットされている)、どうも子どもたちの一部には、オンラインゲームにおけるチート行為を一種の「裏ワザ」のように考える傾向があるのではないか、という印象がある。今回つかまった子どもも反省するようすが見られないそうだが(今回のは単なるチートというより完全に法違反の不正アクセスだが)、罪の意識がないとすればそういう関係もあるのではないか、という趣旨だ。

ただ、私の主張の中核は、本来少年犯罪の問題は教育によって解決すべきで、それをゲーム会社やRMT業者に求めるだけではだめだ、というもの(もちろんやるべきことはまだあると思うけど)。そもそも少年犯罪の多くは窃盗犯と粗暴犯だ。それに比べたらネットがらみの犯罪はずっと少ないし、オンラインゲームがらみはもっと少ない。少年の問題はネットの中でも発生するが、リアルでのほうがはるかに多く起きてる。それは問題がネットの中ではなく少年の心の中にあるからで、ネットの中の人たちを叩いても規制しても解決しない。第一義的には家庭、それに加えて学校での教育がカギではないか。即効性もないし完全な抑止もできないだろうが、規制に走っても完全な抑止は不可能だし、それで問題自体を地下にもぐらせるほうがよほどこわいと思う。

この種の報道ではゲーム会社あたりを悪者にして溜飲を下げるのが定番の落としどころだが、それではかえって問題の本質を見誤ると思うので、そこはがんばってみた次第。それから番組にゲストで出ていた星野仙一さんが「子どもは元気に外で」とかコメントしてたが、これも定番の紋切り型図式で弊害の方が大きいと思う。これまた裏づけとかはないが、健康面のことはともかく、部屋にこもってる子どもが犯罪やら非行やらに走りやすくてスポーツやってる子どもが健全なんて幻想ではなかろうか。

まあ、誰しも自分以外のところに問題があると思いたいものではあるんだけどね。

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Comments

> 部屋にこもってる子どもが犯罪やら非行やらに
> 走りやすくてスポーツやってる子どもが健全
> なんて幻想ではなかろうか。

私が子供の頃は、逆だったような気がするんですけどね。
運動部の方が、不良(死語か?)の巣窟だったような気が
する。


> まあ、誰しも自分以外のところに問題があると思い
> たいものではあるんだけどね。

言えてますね。問題がある本人だけが、問題に
気がついてい、なども、よくあることです(笑)。

Posted by: ひろん | January 26, 2008 09:24 AM

ひろんさん、コメントありがとうございます。
>私が子供の頃は、逆だったような気がするんですけどね。
どちらがという話ではないように思います。スポーツをやってようがやっていまいが、悪いことをするやつはする、と。でも自分にとって身近でないほうを悪く見てしまうのでしょう。社会心理学でなんだかそういう感じの理論があったのではないかと思います。

Posted by: 山口 浩 | January 27, 2008 12:29 AM

> でも自分にとって身近でないほうを悪く見てしまう
> のでしょう。社会心理学でなんだかそういう感じの
> 理論があったのではないかと思います。

そういった理論があるとは知りませんでしたが、確かに、
直感的に、"身近でないほうを悪く見てしまう" という
のは、ありそうな気がします。
勉強になります。ありがとうございました。

Posted by: ひろん | January 28, 2008 10:04 AM

ひろんさん
ただ一方で、身内だからこそ厳しくあたる、というのもあるそうです。「勉強になる」というのは、ちゃんとその分野の本を読んでからのほうがいいと思います。

Posted by: 山口 浩 | January 28, 2008 03:50 PM

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