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知らない人について行ってはいけません

知らない人について行ってはいけません  4年1組 山口 浩

こないだ、他のクラスの女子が、大人の人に連れて行かれそうになったそうです。今日のホームルームのとき、先生が話してくれました。その女子は、夜、一人で駅前の本屋に行って、立ち読みをしていたそうです。そしたら、大人の人が来て、「おかしを買ってあげるよ」と言ったそうです。その子は、「どんなおかしを買ってくれるのかな」と思って、ついて行ったそうです。それで、その大人の人の自動車に乗ろうとしたら、その近くにいた近所のおばさんが、「どこ行くの」と聞いたそうです。そしたら、その大人の人は、にげて行ったそうです。そのあと、その子は、おばさんに、「知らない人について行っちゃだめじゃないの!」とおこられたそうです。

それで、先生は、話し終わったあと、「だれが悪かったのかな?」と聞きました。そしたら、右野つばさくんが、「知らない人について行くのはいけないと思います」と言いました。みんながそうだそうだと言っていたら、こんどは左田ふえ美さんが、「連れて行こうとした大人の人の方が悪いと思います」と言いました。みんなは、また、そうだそうだと言いました。

先生は、「どっちが悪いのかな?」と聞いたら、みんな考えこんでしまいました。ぼくもよくわかりませんでした。そしたら、中野道子さんが、「どちらも悪いと思います」と言いました。みんなはまた、そうだそうだと言いました。先生は、「どうしてどちらも悪いと思うのかな?」と聞きました。中野道子さんは、「連れて行こうとした大人の人も悪いけど、わたしたちはいつも、『知らない大人の人について行ってはいけません』と言われています。でも、その女子の人は、それを守らなかったので、それは、いけないと思います」と言いました。

そしたら、左田ふえ美さんが、「そんなことはないです。連れて行こうとした大人の人だけが悪いんです」と言いました。そしたら、右野つばさくんが、「言いつけを守らなくてもいいの?」と言いました。そしたら、左田ふえ美さんは、「子どもには、夜一人で本屋に行くけん利があります。あぶない目にあった子どもが悪いなんておかしいです」と言って、なき出しました。みんなこまってしまいました。

そしたら、先生がぼくに、「山口くんはどう思う?」と聞きました。ぼくは、けん利という言葉を知らなかったので、左田ふえ美さんが言っていることが、よくわかりませんでした。連れて行こうとした大人の人も、ついて行った女子の人も、どっちも悪いと思いました。でも、それは、同じ悪さではないような気がしました。それでぼくは、「その大人の人の悪さと、その女子の人の悪さはちがうと思います」と言いました。

先生が「それはなぜ?」と聞いたので、ぼくは、「大人と子どもはちがうからです」と言いました。先生は、「なるほど。大人にくらべて、子どもはまだ力も弱いし、ものごともよくわかっていないからね。だから子どもは、お父さんやお母さんとか、先生とかみたいな、大人の人に守ってもらわなければいけないんだね」と言いました。

それで、ぼくは、「でも、その駅前の本屋には、その女子の人のお父さんもお母さんも、先生も、いませんでした」と言いました。そしたら先生は、「そうだね。だから先生は、君たちに、夜、一人でそういうところには行ってほしくないなあ。きっとその子のお父さんやお母さんもそう思うだろうね」と言いました。左田ふえ美さんは、「子どもにもけん利があります」となきながら言いました。先生は、「むずかしいことばを知ってるね。でもね、お父さんやお母さんには、子どもを守るために、子どもにいうことを聞かせるけん利があるんだよ」と言いました。そのとき、チャイムが鳴ったので、ホームルームはそこで終わりになりました。

よくわからなかったので、夜になってから、お父さんに聞いてみました。お父さんは、「子どもは悪くないよ」と言いました。ぼくが、「じゃあ、言うことを聞かなくてもいいの?」と聞いたら、お父さんは、「そうじゃない。小さい子どもが言うことを聞かなかったら、それは親のせきにんだってことだよ」と言いました。ぼくが「せきにんって何?」と聞いたら、お父さんは、「かんたんにいうと、『その人がやらなきゃいけない』ってことかな」と言いました。

それで、ぼくは、「じゃあ、その女子の人のお父さんやお母さんが悪いってことなの?連れて行こうとした大人の人は悪くないの?」と聞きました。そしたらお父さんは、「悪いことをしたせきにんと、子どもを守るせきにんは、別のものなんだよ」と言いました。

ぼくは、やっとわかりました。大人の人と子どもはちがうからせきにんがちがうのではないのです。悪いことをしたせきにんは、その悪いことをした大人の人にあります。でも、大人の人が悪いことをしてもしなくても、ぼくたち子どもは、自分を守らなければなりません。それは、ぼくたちのせきにんです。でも、ぼくたちには、力や知えがなくて、自分では自分を守れないから、かわりに、お父さんやお母さんや、先生が、ぼくたちを守らなければならないのです。つまり、ぼくたちを守るせきにんは、ぼくたちのかわりに、お父さんやお母さんや、先生とかにあるのです。だから、ぼくたちは、お父さんやお母さんや、先生の言うことを聞くせきにんがあるのです。

ぼくが、「子どもにはけん利がないの?」と聞いたら、お父さんは、「もちろんあるよ」と言いました。それで、ぼくが、「じゃあ、夜、一人で本屋に行ってもいい?」と聞いたら、お父さんは、「うーんそれはどうかな。じゃあ、いっしょに行こうよ」と言いました。

それで、そのあと、お父さんと本屋に行きました。そしたら、お父さんは、いつまでも立ち読みをしていて、ぼくが「もう帰ろうよ」と言っても、「もうちょっと」と言って、なかなか聞いてくれませんでした。ぼくは、お父さんの立ち読みにつきあうのは、ぼくのせきにんなのかな、と思いました。でも、これからは、夜、本屋に行きたくなったときは、お父さんではなくて、お母さんに守ってもらおうと思いました。

家に帰ったあと、お父さんが、「自分を守る方ほうは、これでべん強するといいよ」と教えてくれました。
ドキドキまあちゃんゲーム

あと、お父さんが、「この本もなかなかよくできてるよ」と教えてくれました。

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