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March 29, 2008

タコさんウインナーの作り方 in English

引き続き東京国際アニメフェア関連。よく海外で、マンガの描き方の本をいろいろ目にするのだが、これらの本を出版しているのがジャパニメ㈲。ブースで「新作」を見つけたのでチェック。Chihiro Hattori, The Manga Cookbook, Japanime Co Ltd., 2007.

表紙の女の子、Miyukiという。なんだかいかにもな髪型に服装。隣の男の子はボーイフレンドで名はHiroshiだそうな。「I like to cook too, but I like eating even more!」と、politically correctながらやや微妙な発言。で、足元のあたりで跳んでるんだか浮いてるんだかなのはCooというんだが、いったい何なのかは不明。自称「料理の名人」。

当然、ただの料理本ではない。どんな本かというと、裏表紙にこうある。

Reading manga sure can make a person hungry! Food appears frequently in Japanese comics, but what exactly is it that the characters are eating? Introducing The Manga Cookbook, an illustrated step-by-step guide to preparing Japanese cuisine, Learn to identify and make the same things you see in all your favorite manga . . .

日本料理も最近はあちこちに店があるが、必ずしも正統なものばかりではないし(中国料理屋の隅に寿司カウンターがある店だってざらにある)、そもそも、レストランが出す料理と私たちがふだん食べているものだってちがう。この本で取り上げてるものの多くは、そういう、日本食レストランではなかなか食べられないもの。

たとえば、この本に出ている最初の「料理」はというと、「Usagi Ringo」。なんつうか、そのまんまだな。これを料理と呼ぶべきかという向きもあろうが、じゃあ料理じゃなければ何なのかといわれると、やはり料理の仲間なんだろうな。この本の親切ぶりは、これの作り方を2ページにわたって詳細に解説していることからもわかるだろうが、さらに解説がついてる。

In the West, most apples are small enough to be eaten whole with lunch or as a snack, but in Japan the typical apple is too large to bite into.

確かに、小さいリンゴで作ろうとするとちょっと難度が上がるかも。

で、タイトルにある「タコさんウインナー」。英語で何というかというと、いや実にシンプルに「Tako Sausage」。基本的にマンガファン向けだから、英語にしようとかいう発想がないわけね。こちらは実に4ページを割いて詳細に解説。たとえば足を8つに切るという部分の解説はこう。

Slice the bottom third of each wiener vertically, then rotate the wiener and make another vertical slice across the first one, creating four "legs." Rotate and cut two more times to create all eight legs.

ここまで書けば疑問の余地はなかろう。足を切った後に「Poke three holes into the top of each wiener, two for the eyes and one for the mouth.」とあるのは、生物学的にちがうと思うが、それはおいといて。で、その後もさらにしつこく、タコさんだけでなく、カニさんだのイカさんだのの作り方もちゃんとある。知りたい方は本書でチェックいただきたい。で、日本では食べ物を美しく見せることがよく行われる、と文化的な解説もあるので、そもそもなんでタコさんにしようとするのかもちゃんとわかる。

さらに米の炊き方(なべで煮るのだな基本的に。この本ではふたをしてるが、ふたをしなくても一応ちゃんとご飯になることをアメリカで教わった。「赤子泣いても」と教わった身としては、この点は衝撃的だった記憶がある)とか、それを使っておにぎりを作るとか、味噌汁(だしの取り方も一応書いてある)とか卵焼きとか、まあ基本中の基本が登場するので、まあ安心して見ていられたんだが、そのうち「Rice Burgers」(こんなの家で作るか普通?)とか「Nama Udon」(粉をこねるところから始まるんだぜ!?)とか、しまいにゃ「Anko」まで作っちゃう。なんつうかこのDIYぶり。そのうち、刺身のためにマグロを釣りに行っちゃうんじゃないか、と思うくらいの勢い。

ともあれ、こういう本があれば、マンガをより深く理解できるというわけだ。そういえば子どものころ、「奥様は魔女」を見ていて、盛んに出てくる「シシカバブ」ってどういう味なんだろう、と思ったりしていたな。視覚で味を表現するのは難しいから、あらかじめ知ってないと、細かいニュアンスまでは伝わらない。その意味で、最近は海外で売られてるマンガもすごく種類が増えてきてるけど、「料理マンガ」はなかなか難しそうだな。

↓ この本はこれから発売するらしい。「まったりと」とか、なんて訳すんだろう?


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