「日本企業の東アジア戦略:米欧アジア企業との国際比較」
深尾京司・日本経済研究センター編「日本企業の東アジア戦略―米欧アジア企業との国際比較」日本経済新聞社、2008年。
タイトルの通りで、日本企業の東アジア戦略を国際比較で評価するというもの。各章のタイトルはこんな感じ。
第1章 アジアにおける日・米・欧企業の国際人事管理:本社と子会社の役割
第2章 東アジアにおける生産ネットワーク:日本企業と米国企業の戦略的行動
第3章 日・米・欧多国籍企業の東アジアにおける研究開発活動
第4章 わが国海外子会社の財務戦略の特徴と問題点
第5章 グローバルなライバル企業間の競争的相互作用:韓国と日本の多国籍企業の市場参入行動
第6章 国際的アウトソーシングと垂直統合:組織の経済学の視点からの理論的展望
第7章 中国における日本企業の現地化の度合いと現状:日本海外現地法人の実証研究と中国自動車産業のケース・スタディ
第8章 中国における知的財産権保護および技術流出防止の戦略:日・米・欧の戦略比較
第9章 日本・欧米・アジア企業のタイにおける企業行動:日本企業にとっての示唆
このうち第4章の著者は米澤・山口・山本・南部となっていて、2番めの「山口」は一応私なのだが、正直なところ、私が関与したのはこの文章と共通内容の英語論文で、日本語の文章そのものには関与していない。というか、英語論文への関与もかなり小さいので、正直、自分の著作であると表現するのは気が引ける。メインの著者は山本さんで、それを米澤先生が指導した、といったところか。私はほんの少しだけお手伝いした、ぐらいにとっていただければ(このあたりの名前の順番というのはいろいろ機微があったりすることも多いのだが、この場合はどうも年齢順っぽい)。
この章は、簡単にいえば日本企業が海外進出にあたって、内部資金や親子ローン、邦銀や邦銀現地支店からの借り入れに強く依存していて、多様化が進んでいないという、経験的にはよく知られた事実について、実際の個票データを使って国際比較による検証を行ったもの、ということになる。
こういうあたりは他の章にもある程度共通していて、実際、本の帯にある宣伝文にはこうある。
現地化の課題を 初めて定量的に把握した 画期的研究!
販売・調達から人事管理、研究開発、財務まで、日・欧米・アジア企業の国際企業戦略を多角的に比較分析。現地化の遅れが日本企業の収益率に及ぼす影響も明らかにし、感覚的議論に終止符を打つ意欲的国際共同研究。
あまり一般の方々には興味のない内容かもしれないが、関心のある方にとってはけっこう面白いテーマがたくさんあるので、よろしければぜひ。「データで語る」というのはこういう場合には重要、と思う。
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