« 「現代のエスプリ」no.492「ネットジェネレーション:バーチャル空間で起こるリアルな問題」 | Main | 「死に神」とは失礼な »

June 18, 2008

硬い文章に柔らかい語尾をつけると人気トレーダー風になれる、という遊び

この件すでにあちこちで流れてる話ではあるが、私はこの人のことをほとんど知らないし、どうこういうつもりもまったくない。もちろん他人の傷に塩を塗りこむようなことも趣味ではないので、名前も書かない。そこらへん誤解なきよう。どのメディアをみても「美人トレーダー」「人気美人トレーダー」と紹介されているが、こういう肩書きがあることを初めて知った。トレーダーも顔が命、なんだろうか。

ただ単に、面白かったのだ。このことば使いが。言語執着系としてはさ。

この件に関しては、ネットのあちこちに出ている情報と、手元にある週刊朝日2008年6月27日号の記事を見たのみ。どうもこの方のウェブサイトにブログがあって(今は閉鎖されたらしい)、その文章が日経QUICKのニュースと酷似している、という話らしい。

週刊朝日の記事に、6月10日のブログ記事とニュースのキャプチャー写真がついてる。書き写すとこんな感じ。まずはニュースのほう。

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が9日の講演で改めてインフレ警戒姿勢を示したことで、物価上昇による世界的な景気悪化が意識され、新日鉄やキヤノンなど主力株を中心に幅広い銘柄が売られた。インフレ懸念で連休明けの上海株と香港株が急落したため、後場はリスク許容度の低下した投資家から売りが増え、日経平均は取引時間中としては8営業日ぶりに1万4000円を下回る場面があった。東証株価指数(TOPIX)も続落。
バーナンキ議長の講演に先立って、ポールソン米財務長官が9日、「為替介入の選択肢を排除しない」と発言。外国為替市場で円相場が1ドル=106円台に下落したため、朝方は輸出関連株中心に買いが目立ち、日経平均は・・

で、こっちが件のブログ。

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が9日の講演で改めてインフレ警戒姿勢を示したことで、物価上昇による世界的な景気悪化が意識され、主力株を中心に幅広い銘柄が売られましたね~(>_<)
インフレ懸念で連休明けの上海株と香港株が急落したため、後場はリスク許容度の低下した投資家から売りが増え、日経平均は取引時間中としては8営業日ぶりに1万4000円を下回る場面がありました
ヽ(´~`)ノ
バーナンキ議長の講演に先立って、ポールソン米財務長官が9日、「為替介入の選択肢を排除しない」と発言したため、外国為替市場で円相場が・・

確かに似ているが、そんなことより、このことば使い、なんかえらく面白いではないか。思いっきり硬い文章なのに語尾だけ妙に柔らかくなって、顔文字までついてる。こうやると「人気美人トレーダー風」になるのだろうか。ちゃんと本文も直しておけば自然だったのに、よほど手を抜いていたか、あるいは自分の文章力を信用していなかったか。この語尾にさしかかって急にふにゃっとなるところがなんともいえない味。

試してみたい。ぜひ、試してみたい。

で、試してみることにする。硬い文章といえばまず思い浮かぶのは判決文。判例データベースから見つけた、事件番号平成19(ク)1128、「婚姻費用分担審判に対する抗告審の変更決定に対する特別抗告事件」に関する平成20年5月8日付最高裁判所第三小法廷決定

・・本件は,家事審判の手続において妻である相手方が夫である抗告人に対して婚姻費用の分担金の支払を求める事案であり,原々審が,抗告人の負担すべき分担金として,抗告人に対し,過去の未払分95万円と1か月12万円の割合による金員の支払を命ずる審判をしたのに対し,原審は,抗告人の負担すべき分担金として,過去の未払分167万円と1か月16万円の割合による金員の支払を命ずる決定をしたものなんですね~d(ー.ー )
原審は,抗告人が相手方に対して正式に離婚が決まるまでの間婚姻費用として支払う旨約した月額5万円の仮払金の既払分を原々審の審判と同じく25万円であるとしているが,本件抗告理由において,抗告人は,原決定までの間に更に仮払金を支払ったと主張しているんですよ~゛(`ヘ´#)
仮に抗告人の主張するような仮払金支払の事実があったとすれば,抗告人は,原決定の執行力を排除するために,その事実を異議の事由として請求異議の訴えを提起することができるものと考えられるが,本来,仮払金支払の事実の有無については,原審において審理されるべきものじゃないですか(。・_・)ノ
ところが,本件記録によれば,原審においては,抗告人に対して相手方から即時抗告があったことを知らせる措置が何ら執られていないことがうかがわれ,抗告人は原審において上記主張をする機会を逸していたものと考えられるんですね~ヽ(ーдー )ノ
そうであるとすると,原審においては十分な審理が尽くされていない疑いが強いし,そもそも本件において原々審の審判を即時抗告の相手方である抗告人に不利益なものに変更するのであれば,家事審判手続の特質を損なわない範囲でできる限り抗告人にも攻撃防御の機会を与えるべきであり,少なくとも実務上一般に行われているように即時抗告の抗告状及び抗告理由書の写しを抗告人に送付するという配慮が必要であったというべきであることになっちゃうんです~d(゜ー゜)o

なんか妙な説得力。というか、適当に丸めこまれた感じがぷんぷんと。でも、それでいうなら、問題のブログの文章も同じなんだよな。ああいう語尾で、読者の皆さんは「なるほどぉ」とか思うものなんだろうか。しっかし判決の文章って長いな。

次、平成20年1月18日、第169回国会における福田内閣総理大臣の施政方針演説。冒頭部分。

第169回国会の開会に当たり、国政に臨む所信の一端を申し述べちゃいますね( ´ ▽` )ノ

先の国会において、各党各会派による真摯なご議論の積み重ねにより、改正被災者生活再建支援法や改正政治資金規正法などが成立しましたよ~
\(^O^)/

政治資金の問題については、政治に対する信頼を取り戻すため、一層の透明化に向けて更に努めてまいりますね( ̄ー ̄)ゞ

補給支援特措法については、国際社会の一員としての責任を果たすとともに国益にもかなう給油活動の再開が必要との考えの下、国会で十分なご審議を頂き、残念ながら野党の皆様にはご賛同を得られませんでしたが、成立させていただきました(*^-'*)>

今国会においても、国民生活に直結する予算や重要法案など政策課題が山積しているんですよ~
(# ̄3 ̄)

与野党が信頼関係の上に立ってよく話し合い、結論を出し、国政を動かしていくことこそ、国民に対する政治の責任であると私は信じてるんです
(゜ー゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)

自由民主党と公明党の連立政権の基盤の上に立って、政策を分かりやすく、丁寧に説明し、野党のご意見も積極的に取り入れながら、責任ある政治を遂行することに、引き続き全力を尽くしてまいっちゃいますからね(`ー´)

国民の皆様並びに議員各位のご理解とご協力を改めてお願いしちゃいます~\(^_^=^_^)/

・・うーん。なんか猛烈に腹立たしくなってきたぞ。これはあんまりよくないかな。でも、こういうほうが親近感がわくという人もいるかもしれない。内閣のメールマガジンあたりでやってみたらどうか。

最後に法律。独占禁止法でやってみる。

第6条 事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはいけませんよ~(`ー´)
第7条 第3条又は前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第8章第2節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができるんですね( ̄ー+ ̄)
2 公正取引委員会は、第3条又は前条の規定に違反する行為が既になくなつている場合においても、特に必要があると認めるときは、第8章第2節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為が既になくなつている旨の周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができちゃうんですよ~(´Д`)
ただし、当該行為がなくなつた日から3年を経過したときは、この限りでありませーん♪O(≧∇≦)O

法律も文章がやたら長いのだが、それ以上に顔文字の選択が難しい。なんつうか、文章から感情を読み取れないのだな。当たり前といえば当たり前だけど。うまく「人気美人トレーダー風」になっただろうか。

ともあれこの方法、効果抜群(?)な割にえらく簡単。すぐできるので、皆さんもぜひお試しあれ。


顔が命、といえばこれ。


こちらの「カブ」は比較的安心してお勧めできると思う。

あ、ただし、このカブのお勧めは一般的な情報提供を目的としたものであり、内容について万全を期してはいるものの、その正確性及び安全性を保証するものではない。具体的な購入のご案内・ご指示ではないので、このカブの購入、利用に関する最終的な決定は、ご購入者ご自身の判断でお願いしたい。万一当該情報に基づいてこのカブを購入した結果損害をこうむった場合でも、私は一切の責任を負いかねるのでご了承いただきたい。

|

« 「現代のエスプリ」no.492「ネットジェネレーション:バーチャル空間で起こるリアルな問題」 | Main | 「死に神」とは失礼な »

Comments

初めてコメントさせていただきます。あまりにも面白かったので(笑)。私には思いっきりツボでした。
でもせっかくなので、最後のヘッジクローズも「人気美人トレーダー風」で締めていただきたかった気がします。典型的には「…ご了承下さいね~m(_ _)m」ですかね。。。

Posted by: ・・・みたいな。 | June 25, 2008 12:36 AM

・・・みたいな。さん、コメントありがとうございます。

締めくくりのことばは、件の人気美人トレーダーのサイトに書いてあったdisclaimerの文章をもじったものです。コラムの硬くて柔らかい文章と比べるといかにも硬質で面白いですね。

Posted by: 山口 浩 | June 25, 2008 05:24 PM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 硬い文章に柔らかい語尾をつけると人気トレーダー風になれる、という遊び:

« 「現代のエスプリ」no.492「ネットジェネレーション:バーチャル空間で起こるリアルな問題」 | Main | 「死に神」とは失礼な »