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コンビニを閉めさせればすむ話なのか?

手短に。環境対策とやらで、コンビニエンスストア等に深夜・未明の時間帯の営業の規制を検討する自治体が相次いでいるとの報道がある(参考)。両者の主張があまりにもかみ合わない感じはむしろ面白いくらいなんだが、まあ面白がってばかりもいられない。

上記リンク先の記事にはこんなふうに書いてある。

現代ニッポンの社会インフラと言えるコンビニエンスストア。その存在感ゆえに、深夜営業規制派は「エネルギー多消費型の生活スタイルを見直す国民運動の担い手になるべきだ」と求める。一方、業界など慎重派は24時間営業ならではのインフラ機能の重要性を訴える。

で、検討しているのが埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、愛知県、京都市。検討予定があるのが群馬県、京都府、横浜市、浜松市だそうな。この記事は両派の主張だけじゃなくていろいろな事情も比較的ていねいに紹介していて、なかなかいいと思う。自治体についても「金をかけずに政策を競いたい自治体のアイデア勝負という側面もある」なんて指摘しているし、一方で「省エネは、コンビニ各社にとって企業イメージと収益性の向上の「一石二鳥」になるという側面もある」という業界側の事情も書いてる。

思うに、両者の主張がかみ合わないのは、お互いに一番肝心なところに触れてないからではないか。その意味で、この記事に出ている、深夜利用の実態に関する調査結果は興味深い。

内閣府の07年8月の「地球温暖化対策に関する世論調査」によると、深夜から早朝に24時間営業店を頻繁または時々使う人の割合は、20代に限ると計55%。コンビニでは深夜はスナック、デザート、酒のまとめ買いが目立ち、午後11時~午前7時で売上高の15%程度を占める。「ニーズがなく、採算も合わない所では、そもそも24時間営業などやらない」というのが、業界の立場だ。

「へえそうなの」でもあり「やっぱりねぇ」でもある。ニーズってのは「顧客が来るからある」のか「コンビニが開いてるからその時間に行く」のかって問題もあるんだろうが、まあ利便性が高いのは確か。銀行とちがって深夜でも値段が変わらないし。

「エネルギー多消費型のライフスタイル」っていうのはコンビニというよりむしろ私たちのことを指している。そこを変えない限り、実態は変わらない。コンビニを規制したらその分自動販売機が増えるだろうが、自販機も規制するかね?(全世界調べたわけじゃないけど、知る限りで日本ほどやたらに自動販売機を置いてる国ってないぜ。あれって電気食うんだよね) その昔、オイルショックのときには野球のナイトゲームも時間を早めたりしなかったか?テレビの深夜放送や繁華街のネオンサインも自粛してたよね?そこまでやるか。それでも、家庭で照明を煌々とつけてネットやらゲームやらをしてる人たち(もちろん本を読んでる人もいる)がたくさんいる。夜間ネット接続禁止令か?ならば電話も止めてしまえ。要するに「夜は寝てろ」ってことだな。

まさかここまでいう人は多くあるまいが、要するに最大のポイントは、私たちの生活なのだ。深夜にコンビニに買い物に行く顧客、つまり私たちは、深夜にビールが飲みたくなったりおにぎりが食べたくなったり、マンガを読みたくなったり電池切れで困ったりしているから、コンビニに行くのだ。コンビニが営業していなければ、別の手で買おうとするだろうし、買えなくても、家で寝ているわけではない。コンビニ業界だけを狙い撃ちにするようなやり方はどうかと思う。

自治体の方々は、もし本気でやりたいなら、もっと広範な規制を検討すべきではなかろうか。私たちが根本から生活を変えざるをえないような。少なくとも、「生活を変えよう」というメッセージを前面に出して主張することはやるべきだ。もし人気取りでなく、本気で環境問題を考えているならば。私たちが変われば自治体や政府とコンビニの利害は対立しない。火は火元に水をかけないと消えないのに、上に立ち昇る煙に向かって水をかけてる感じがする。

一方、コンビニ業界の主張で、雇用への影響というのがあるが、あれも気になる。業界のえらい人たちの主張はよく見聞するんだが、現場というか、店長さんとかバイトさんとかがどんどん反対の声を上げてるというふうに見えないのは単に報道されていないからだけなんだろうか。この業界も現場ではいろいろな問題があるようだが、深夜営業に関しても現場にしわ寄せがいったりしてることはないのか。深夜営業の採算性がそうしたものの上に成り立っているとすると、それはまた別の問題になる。いい機会だから考えてみるといいんじゃないかな。

こんな話があったらやだな、というあたりを以下で。

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» [memo]第1回「環境にやさしいライフスタイルを考える市民会議」@京都市 [【情トラ】附゛録゛]
 先般から次の報道等で何かと話題の標記会議を傍聴してきました。 コンビニ、京都市の深夜営業協議不参加 「自粛ありき」 2008年8月23日1時3分 (略)  コンビニ12社や主要外食チェーンなどでつくる日本フランチャイズチェーン協会の土方清会長(サークルKサンクス会... [Read More]

Tracked on August 28, 2008 at 05:01 PM

Comments

深夜電力が安いのは、電力はベース部分と変動部分にわかれ、値段は変動>固定だからだと理解していました。さらに変動部は夜間電力<昼間電力を補うためだと
発電は一定の方が効率が良いでしょうから、夜間電気が安いわけです。であれば夜間に電気を使わない業界にペナルティを与えた方が合理的だと思いますが。暇人は昼間寝てろと。

Posted by: wood | August 28, 2008 at 12:01 PM

初めまして、

NHKのニュースでやっていましたが、一部のコンビニでは夜間にお客が集まらず、夜間は赤字垂れ流し状態で、従業員も集まらず店長が時間超過で勤務して維持しているのが実態、という店舗が少なくないそうです。

そういった店舗では、夜間に閉店するとと一ヶ月あたり10万円以上黒字が増えるらしいです。

当然夜間は閉店したいと本社と掛け合う店長も多いのですが、契約上それはできないことになっているそうです。オーナー店長であってもできないらしい。

それでコンビニ店長でグループを作って自治体に掛け合った結果、夜間閉店という条例が出てきたようなのです。

Posted by: べっちゃん | August 28, 2008 at 02:13 PM

■京都市のコンビニ深夜規制、早くても来夏から-地球温暖化二酸化炭素説は錦の御旗ではない?!

こんにちは。京都市のコンビに深夜規制、「錦の御旗」は、結局は「地球温暖化二酸化炭素説」だと思います。私は、多くの人たちが、この説に呪縛されていると思います。少し論議をして、都合が悪くなれば、「錦の御旗」を出す。そうすると、不思議な効果が現れ反対派の人の多くも、賛成派も思考が停止してしまうようです。以前にどなたかが、民主党とナチスを比較して物議をかもしましたが、確かに過去のナチスと同じようなことになってしまうかもしれません。開戦前のナチスの「錦の御旗」は、「民族自決」でした。これによって、おびただしい数の人々が犠牲になったのは、皆さんご存知だと思います。私たちは、自らものを考えているようで、錦の御旗の前では思考力を失っているのかもしれません。ここには長くコメントできません。詳細は是非私のブログをご覧になってください。

Posted by: yutakarlson | August 29, 2008 at 09:32 AM

コメントありがとうございます。

woodさん
ほほー逆をいくわけですね。まあ負荷の平準化によるコスト削減は道理ではありますな。それでいくなら、ピーク時の電気料金を思い切り引き上げるという対策もあります。上記の自治体の役所はピーク時に冷房オフ、でお願いしましょうか。・・いやまあそういう嫌がらせが趣旨ではないのですがね。

べっちゃんさん
深夜営業の影響は店によってちがうということですよね。そうなんです。だから法律や条令で決めちゃいけないんです。一方、コンビニ業界の方々も、実情をもう少し細かく見てはいかがですかということで。深夜閉めても差し支えない店、無理して開けてる店はありませんか?と。

yutakarlsonさん
「思考停止ワード」ですね。確かに環境問題もそういう要素があります。ただ、一方で反対派の主張もやや頭の堅いところが見えるような気がします。どこかに「思考停止ワード」がはさまっているかもしれませんね。あと、ナチスを持ち出すのは、いろいろ別の連想を引っぱってくるので、あまりお薦めしません。「ナチス」もそこで議論を紛糾させる「思考停止ワード」の1つです。それから、ご自分のブログを紹介されるのでしたら、コメントではなくトラックバックのほうがいいですよ。

Posted by: 山口 浩 | August 29, 2008 at 09:37 AM

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