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August 05, 2008

内閣支持率の世論調査結果を比較する

どの報道を見ても「福田改造内閣」という文字が躍っていて、なんだあの人の下の名前は「改造」だったのかと思うくらいだったのだが、世論調査結果がいろいろ出ていたのでメモ。

いわゆる大新聞5社と共同通信のを並べておく。

内閣支持41%に好転、「麻生幹事長」評価66%…読売調査
読売新聞社が1日夜から2日にかけて実施した緊急全国世論調査(電話方式)で、福田改造内閣の支持率は41・3%、不支持率は47・0%となった。
単純比較はできないが、面接方式での7月世論調査(12~13日)の支持率26・6%、不支持率61・3%に比べて評価は好転した。自民党幹事長への麻生太郎氏の起用を「評価する」は66%に上っており、実力者の起用による政策実行力向上への期待感が政権への評価を押し上げたことがうかがえる。
内閣支持横ばい24% 麻生幹事長高評価 本社世論調査
福田内閣の改造を受けて朝日新聞社が1、2の両日実施した全国緊急世論調査(電話)によると、内閣支持率は24%で、前回(7月12、13日)の24%から変わらなかった。不支持率は55%(前回58%)だった。自民党役員人事で麻生太郎氏が幹事長になったことについては、「評価する」51%が「評価しない」29%を大きく上回った。
内閣「支持」38%に上昇日経世論調査
日本経済新聞社とテレビ東京が2、3日に共同で実施した緊急世論調査で、福田内閣の支持率は38%と、6月末の前回調査に比べて12ポイント上昇した。不支持率は49%で依然、高水準だが前回より14ポイント下がった。内閣改造が「能力重視」と受け止められたことなどが支持率に好影響を与えたようだ。自民党支持率は37%で1ポイント上昇、民主党支持率は2ポイント低下して33%だった。
福田改造内閣支持率29・3% 政権発足後初の上昇 産経・FNN合同世論調査
産経新聞がFNN(フジニュースネットワーク)と合同で、福田康夫内閣の改造と自民党役員人事後の2、3の両日に実施した世論調査によると、福田内閣の支持率は29・3%で、過去最低を更新した前回調査(7月12、13日)の21・7%から7・6ポイント上昇した。不支持率は51・5%で前回より9・7ポイント低下した。内閣支持率は昨年9月の政権発足後から下落傾向が続いており、回復したのは初めて。国民的人気が高い麻生太郎幹事長を起用したことなどが、一定の効果をもたらしたとみられる。
福田改造内閣:支持率3ポイント増の25% 評価せず56%--毎日新聞世論調査
 内閣改造・自民党役員人事を受け、毎日新聞は1、2日、電話による全国世論調査を実施した。2日に正式に発足した福田改造内閣の支持率は7月の前回調査比3ポイント増の25%だった。今回の人事に対する評価では「評価しない」が56%。「内閣改造によって首相の目指す政治がはっきりしたと思うか」という質問への回答も「思わない」が72%に達した。今回の人事が必ずしも政権浮揚に直結していないことが浮かび上がる結果となった。
改造内閣支持31%、やや回復 全国電話世論調査
共同通信社は福田康夫首相による内閣改造と自民党役員人事を受け1、2両日、全国電話世論調査を実施した。改造内閣の支持率は31・5%で、前回7月の調査から4・7ポイント上昇した。不支持率は48・1%で、前回より5・4ポイント低下した。


各社調査結果がまちまちなのは別に珍しくもないが、ちがいっぷりが比較的大きいように思われるのが興味深い。それぞれの記事によると、支持率の前月からの変化はこんな感じ。

読売 26.6%→41.3%(+14.7ポイント)
朝日 24% →24% (±0ポイント)
日経 26% →38% (+12ポイント)
産経 21.7%→29.3%(+7.6ポイント)
毎日 22% →25% (+3ポイント)
共同 26.8%→31.5%(+4.7ポイント)

総じていえばプラス方向だが、濃淡はけっこうある。上がり方が一番大きいのは読売、日経。それに産経が続く。やや好転が共同と毎日で、まったく変わらずが朝日。絶対水準でも、7月の調査ではいずれも20%台でそろっていたのに、こんどは20%台から40%台までさまざま。ごくおおざっぱにいって、もともと支持率が高めだったところのほうが上がり方が大きい傾向がありそうな印象がある。テクニカルには、質問のしかた次第でかなり回答に影響を与えられるだろうが(実際のところたぶんこれが大きな原因ではないかと思ったりするんだが)、その点は突っ込むとめんどくさいのでこの際捨象しておく。

いくつか思うところを手短に。

よくわからないが、いずれも電話によるものだろうか。いわゆるRDDみたいな方式かと思う。サンプルの不偏性を保つため、であるわけだが、さてこの結果はどうなのか。仮に対象者を選ぶ際にはランダム性が確保されていても、電話による調査を受けるかどうかで対象者側の選択が働くのは想像に難くない。嫌いな会社の調査は受けたくないだろうからね。ある意味「逆選択」があるわけだ。だとすれば、がんばっても、こうした調査はなかなかバイアスから逃れられないということになる。

だからといってこうした調査に意味がないとか、問題があるとか言いたいのではない。このことはおそらく、各社がそれぞれ主張を持っているために、それへの好き嫌いが調査結果にも反映するからだろう。しかし、報道機関が情報を取捨選択し自ら加工して発信していくものである以上、完全に「中立」になることは実際上非常に難しい。

となると、中立性というのは、特定の機関レベルではなく、全体として保たれればいいと考えるべきではないか。各社には各社の「色」があるが、それらを総合してみると、なんとなく傾向が見えてくる、というわけだ。となると重要なのは、できるだけ多様な見方が提示されるようにすることと、それらをかいつまんで把握するためのメカニズムということになるのではないかな。

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