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September 19, 2008

カトカン、ニコ動に降臨しニコ厨を誘うの巻

加藤寛という人がいる。ふつうの人が知らなくても恥ずかしいと思う必要は必ずしもないだろうが、少なくとも日本で経済学を学んだ人にとっては、人前で知らないなんて言うとちょっと恥ずかしいよなというぐらいには有名な人といっていいだろう。知らない人はこっそりWikipediaでも見ていただくといい。慶應大学総合政策学部学部長、千葉商科大学学長を経て、今年4月から嘉悦大学学長になってる。自身だけでなく、教え子たちも含め、日本の経済政策に長期間大きな影響力を持ってきた人物だ。まあどうみても「大物」。

で、何がびっくりかっていうと、この「カトカン」が、知らないうちにニコニコ動画に「降臨」していたのだ。最初に見たのがこれ。うわっと叫んじゃったよ。

見ていただいた方はわかると思うが、まごうことなき大学の宣伝。しかもケンブリッジ大学を引き合いに出してる。なんとも大胆な。さすが「大物」。ちなみに嘉悦大学について知らない方もいるかもしれないが、嘉悦女子短期大学が2001年に大学になったらしい。もともとビジネス系の教育がウリだったから別に不思議はないといえばないが、背景はまあ想像できる。カトカンを迎えたのもその一環だろう。

この動画、タイトルを見ればわかるが6番目。しゃれや冗談じゃないのだ。大学が作っているんだろう。思い切り本気なのだ。最初の動画が上がったのは2008年8月11日だから、けっこうなペースだ。前の5つも全部挙げとく。


今は大学にとっては一大広告キャンペーンの時期にあたる。マスメディアへの広告はお金もかかるし、最近の若い人に見てもらえるかわかんないし、ということだろう。ならば新しいメディアとして注目の集まる動画投稿サイトを使おうというのはまあわかる発想だ。

ただ、ちょっと待てよ?動画投稿サイトならYouTubeもあるよね?公式動画を出す側としては、コメントで荒らされにくいYouTubeのほうがやりやすいんじゃないの?とも思える。実際、政党なんかの動画発信はほとんどがYouTubeからで、ニコニコ動画を利用しているところはあんまりないはず。嘉悦大学はYouTubeも使ってるのか?と思ってみてみたら、ちゃんとチャンネルは開設されていた。ニコニコ動画と同じ「降臨」動画も上がってるが、上でいう「その1」だけ。つまり嘉悦大学、というかカトカンは、明らかにYouTubeよりニコニコ動画に重きを置いているわけだ。「その1」のタイトルに「ぷぷ!バカだなー」なんてつけるあたりからみても、先生ノリノリではないか。どうせなら
「消費税増税m9(^Д^)プギャー」ぐらいやってほしかったがな。

とすれば理由は1つ。ニコニコ動画ユーザー、いわゆるニコ厨の皆さんに見てもらおうとしているからだろう。YouTubeと比べれば、ニコニコ動画のユーザーは年齢層も下、中高生が多いだろう。こうした動画配信を行う目的からすれば、自然な選択ということになる。大学のサイトをみると、過去5年間の一般入試の実質倍率(受験者数÷合格者数)はだいたい1.5前後だ。正直もっと増えてほしいだろう。

ただ今のところ、PVもコメントもあまり多いとはいえない。礼賛コメントが多いのは「内輪」だろうから、要するにニコ厨たちにはほとんど見られていないということだ。まあ見たってわかんないんだろうなぁ、と正直なところ思う。たまに自分でも「ニコニコニュースメーカー」を使って架空ニュース動画を作って遊んだりしているが、ちょっとむずかしくするだけでPVが目立って減るのを経験しているからわかる(参考)。残念、な話ではあるがこればかりは何とも、というわけだ。

ともあれ、ぜひ今後ともがんばって発信し続けていただきたい。ニコ厨はだめでも大人が見てくれるかもしれないし。「小泉改革」を支持される皆さんや、たきつけるのつもりはないが目の敵にされる皆さんは、この人が当時の改革の支柱であった竹中平蔵大臣(当時)の師匠であり、後ろ盾であったことをお忘れではなかろう。カトカン先生、今も元気に怪気炎を吐いていらっしゃる。こんな大先生にコメントつけられるなんて光栄ではないか。ニコニコ動画上で論戦に参加されてはいかがか。


※2008/9/20追記
おお、なんかPVもコメントも増えているではないか。中には「知らぬが仏」ってのはこのことだな、といいたくなるようなものもあるが、まあ大先生には痛くも痒くもなかろう。ご本人は新しい試みを楽しんでおられるようだし、いいことではないか。特に若い皆さんは、これを機にいろいろ勉強されるといいと思う。世の中にさまざまな意見があるのは、皆がいいかげんであるからではなく、皆が真剣に考えているからだ。現在の社会の姿は、過去いろいろな人たちがいといろなやり方でやってきたいろいろなものごとの積み重ねなわけだが、こういう人たちがそれを短いことばで表現するのはそれが単純に表現できるからではなく、全部いうと長くなるから表現されていないあたりは勉強しといてねという期待をもって省略しているからだ。「同じ場で発言」していても、「議論に参加」しているかどうかはまた別ってこと。勉強したい方はぜひ嘉悦大学へ!なんて他大学の宣伝に加担する気はないけど。

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