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September 21, 2008

「Centrist Messenger」が面白い

こういうのはAd Innovatorあたりで取り上げるのがスジではないかと思うのだが、いやもう取り上げてるのかな?知らんがともあれ。

Centrist Messenger」が面白い。あんまり時間がなくて詳しくみてないのでまちがってたらごめん、だが。

このサービス、いくつかの側面を持っている。

(1)小口の広告代理店
参加者は州と時間帯を指定して広告枠を買い、応援する候補の政策に関する広告をテレビやラジオなどのマスメディアに流すことができる。たとえばカリフォルニア州は民主党が優勢だから、そこへ共和党の広告を打つ、といったことができるわけだ。ラジオは25ドル、テレビは価格システムが複雑なので問い合わせよと。この会社はそれを取り次ぐ立場であるから、運営会社であるCentrist Messenger, LLCは広告代理店ということになる。広告の価格は、応援する候補が優勢になるほど安くなる由。買うところはなんだかまるでネット通販なんだが。

(2)米大統領選に関連する個人の新たな政治参加の手法
参加者が個人として、小額の資金で勝手に両党の候補を応援できるわけで、個人の新たな政治参加の手法ともいえる。この「Centrist Messenger」という名は、選挙だからといって「赤か青か」(念のため書いとくが、赤が共和党、青が民主党の色)の二択で盛り上がるのではなく、きちんと政策を論じようという趣旨らしい。

(3)ユーザー参加型の広告創造システム
参加者はサイトに提示された広告の中から選んで買うわけだが、この広告を自分で作ることもできる。作ってYouTubeとかに投稿し、それをこのサイトに申告すると、運営側が審査していいものなら採用する、とある。審査自体を集合知でやるとかそういうことではないらしい。まああんまり「自由」にやられるといろんな意味でいろいろありそうだし。

(4)予測市場のビジネス応用例の1つ
で、上記の点以上にユニークなのが、MBA(Money Back Agreement)なるもの。自分が応援する候補が当選できなかった場合、自分が投じたお金は返ってくるらしい。応援した候補が当選してハッピーか、使ったお金が返ってきてハッピー、どちらでもハッピー、というわけだ。詳しくは書かれていないが、このためにEvent Futures, LLCなる会社と契約している。この会社、西インド諸島St Kitts-Nevis(セント・クリストファー・ネイヴィーズ連邦)なる国にあるらしい。いわゆるタックスヘイブンだ。ペーパーカンパニーである可能性は高い。これ以外の情報はなく詳細は不明だが、ここがIEMとかIntradeがやってるような選挙先物をリアルマネーで提供しており、これでリスクをヘッジしている、とある。Centrist Messenger, LLCとは別会社とあるが、「かなり近い関係」ではあるのだろう。

正直なところ、しくみはいまいちよくわからないのだが、想像するにこういうことか。ユーザーが広告を「購入」すると、その資金は広告購入だけに使われるのではなく、2つに分けて約半分をIEMなどとは逆に「当選しない候補」を予測する予測証券の購入に充てる。応援する候補が優勢になれば「当選しない」の確率は下がるから証券価格も下がる、よって広告価格も低くできる、と。とはいえ、両候補の証券の販売量は完全にマッチしているわけではないから、Evnet Futuresはリスクをとるポジションになっているだろう。Centrist Messengerの立場からすれば、それなりのカウンターパーティリスクが存在するはず。

ともあれ、なんだか面白そうなのは事実。9月上旬にオープンしたばかりなのだが、基本的に11月には選挙が終わっちゃうわけで、かなりの短期決戦。今のところすんごく盛り上がってるという状況にも見えないが、まあ推移に注目、ということで。一般の広告ビジネスに応用する可能性は、・・どうかなぁ。


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